No.226
コロナなんかぶっ飛ばせ
[八塩山(矢島町 721m 2020年5月24日)]
 前回の保呂羽山が3月19日だから、ほぼ2か月ぶりの山行である。
 矢島まで向かう道路脇では盛んに田植えが行われている。5月の末に田植えというのはこれまでの人生でも経験がないが、暖冬やコロナ過やここにも影響を与えているのだろうか。
 今日は総勢4人で八塩山矢島口ルートだ。何度も行っているが、ここは秋田の山では一番好きなコースだ。10数年前、物故した藤原優太郎に連れて行ってもらい、ほとんど人気がないのに、実にキレイに整備された登山道とうっそうとした自然に見せられ、5年ほど前、Sシェフに苦労を掛けて「再発見」したルートだ。
 閉塞感で息苦しい自粛が続く中、新しいスタートをこの山から切ることができたのは幸せだ。朝起きるのが少し辛かったが、それよりは山を歩ける歓びが勝っていた。登山道はいつもの通り、誰とも会わないが、きれいに下草が刈られ、周辺のヤブも刈り掃われている。これは去年、業者の人たちが作業していたから、そのおかげだろう。往路は3時間20分、復路は2時間20分、歩きっぱなしの6時間半だった。今日は新しいザックのお披露目の記念日でもあった。先月、仙台の著者(女性)から突然、「ザックを使わなくなったので、使ってもらえないか」と連絡をもらった。ほとんど未使用のものだ。ありがたく使わせてもらうことにした。なにせ自分のものはもう15年選手で、そろそろ買い替えないと思っていたところだ。
 天気は晴天、鳥海山の眺望もくっきり、20度をこす暑さも苦にならなかった。身体は確かになまっていたが、歩くにしたがって調子は上向いてきた。往路と復路の所有時間が違うのは、行きでワラビやタケノコ、コシアブラなどの山菜採りに「夢中タイム」が入っているためだ。この山は人が入らないせいかウドもニオサクもいくらでも採れるから質が悪い。1メートル近くあるアオダイショウともあった。

鳥海山もくっきり

アオダイショウも逃げない
 行きも帰りも高低差が少なく、そのくせアップダウンがやたら多い山なので、登りと下山も同じくらい筋力を使う山でもある。疲労の溜まっている下山のほうがむしろしんどいというヘンな山でもある。今日は2カ所ある「眺望場」から見事な鳥海山の雄姿がくっきりと見えた。まだほとんどが雪に覆われているが5月しょっぱなの定例の払川ルート直登登山が中止になったので、今年中に登れるか、少し不安になる。
 下山後、家に帰ってから夕食のため、街に出たのだが、駅前の市街地はゴーストタウンのようで怖かった。都会では自粛解除が出され、人出も戻っているというニュースとは裏腹に、田舎ではいまだに過度にも思える自粛が続いているのだ。タクシーがほとんどつかまらないから、夜の街に出ていっても帰宅が大変、という声も聴いた。
 日曜日だったので店もほとんど開いていない。開いてる店もスカスカ。夜に外に出るのは、この2か月間なかったから、これほどまでにひどい状況とは思ってもみなかった。先が思いやられる。

 温泉は由利本荘市前郷にある「ゆりえもん」。天然温泉ではなく、北海道のラジウム、カルシュームなどの湯の華や原石を使用した温泉だが、シンプルでジェットバスも水圧が強い。玄関からは秀麗な鳥海山が眺望できる。

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