No.228
百花繚乱のお花畑を歩く
[笙ヶ岳(山形遊佐町1635m 2020年7月17日)]
 金曜日だがこの日しか晴れ間はない、との判断で登ることにした。笙が岳は故藤原優太郎が愛した山で「花のメッカ」として有名だ。鳥海山の小峰で山形県側にある山だが、稲倉山荘のある象潟口からも行ける。今回も山形の吹浦口登山口ではなく稲倉山荘象潟口からのスタートになった。
 週日なのに天気が良かったせいか、けっこうな人手があったのにまずはビックリ。さらに驚いたのは、ニッコウキスゲをはじめ、赤、青、白、黄の花々たちがこれを先途に咲き誇っていた。花の真っ盛りだったのだ。自粛による運動不足解消が目的で全く花の期待はしていなかっただけに、正直なところ度肝を抜かれた。
 花々に歓迎され、天気も良く、おまけに雪渓が多く、山の風が冷気を帯びて汗をひかせてくれた。汗っかきなので今回初めて3リットルのウォーターパックを用意していったのだが、半分も飲まなかったのは山の冷気のおかげだ。

いたるところに雪渓がある

背後には常に鳥海山
 いつもなら三峰あるうちの秋田寄りにある三峰だけに登ると下山するのだが、今回は二峰、一峰まで歩き、一峰にある三角点を確認し、そこで昼をとった。一峰から山形側の深い谷を除くと、深い森の中に真っ赤な屋根の万助小屋が見える。先月はこの周辺を歩いている。鳥海山の懐は大きい。
 それにしてもいたるところにある雪渓が七月の登山であることを忘れさせてくれる。いや15年前はこの時期でも三峰の頂上から斜面をいきなり尻スキーで一気に滑り降りることができた。いまは三峰の斜面に雪は一切ないのが寂しい。
 週日に関わらず登山客の数が多いのは、この時期が花の最盛期と知ってる人が多いからなのだろう。偶然とはいえ、いい日に登ったものだ。
 温泉は象潟夕日の宿「さんねむ温泉」。源泉はここから2キロほど離れた九十九島のひとつ、苗代島から湧出する単純硫黄泉をひいているものだという。大浴場がひとつだけのシンプルな作りだが、眺望はいいし、日帰り入浴量も350円と安いし居心地はいい。


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