No.234
70代の太平山奥岳
[秋田市 1170メートル 2020年11月12日]
 平日だが太平山・奥岳に登ってきた。山行の話があったのはわずか3日前。ずっと雨模様で週末の山行はなしだったので、天気が回復しそうな今日、奥岳に行かないか、というSシャフの誘いに乗った。
 奥岳は登るのがけっこうハードな山だ。登山愛好家のトレーニング用として人気が高い。長い自粛生活で山行回数もめっきり減っているこの時期、自分の体力の都合も考えずにいきなり太平山はちょっと無理筋なのだが、何もしないで家でくすぶっているよりは、難しい山にチャレンジするのも刺激的では……と思い決めた。
 登山口の川に架かっていた橋は台風で破損して長く通行禁止だったのだが、ちゃんと直っていた。う回路の分だけ得した気分で登山開始。天気は良好で、寒さも風も穏やかなもの。歩き始めて本格的な登りに入ったあたりで山の斜面が白くなった。雪だ。これは予想していなかった。こんなに雪があるのか。落ち葉の上に乗っかった雪なのでスリップが怖い。
 山頂までは3時間40分。ヨタヨタと登ったのだが、疲労はそれほどでもない。よく登ったものだと自分でも感心するが、最近はグループの最後尾につけてマイペースで歩くことを心がけている。先頭に引きずられないことをモットーにし始めてから足の痙攣や息が上がることがなくなったのだ。
 途中の御手洗で「ここでやめるか、上まで行くか」と採決をとったらみんなが上に行くことを選んだ。登山客が少ないのはいいのだが、やはり雪がけっこう深く滑る。山頂でランチ。いつものお握りにゴマ塩を振りかけただけのものだが、自分で握ったおにぎりはコンビニものより数倍美味しい。
 下山は登る以上に厳しかった。登るのにほとんどのエネルギーを使ったせいかもしれない。足はピクピク痙攣寸前。ヨロヨロと表現したほうが正鵠を射ている状態でどうにか降りてきた。朝8時から登り始め、家に帰ってきたのは夕方4時。もうヨレヨレ、あとは寝るしかない。

御手洗でこんな雪

山頂にて
 さすがに翌日は筋肉痛で、ほとんどロボットダンス状態。登りはヨイヨイ帰りは地獄というやつだ。でも70代になっても太平山奥岳に登れたことには自分なりの感慨があった。体重が100キロ近くあった30代、40代には登ろうなどと考えもしなかった山だが、エアロビクスで身体を鍛えていたころは奥岳まで走るように2時間ちょっとで登頂したこともあった。それが年とともに2時間半になり、60代に入ると3時間を切ることはなくなった。昨日は3時間40分。これが目いっぱいだ。後期高齢者になるころには4時間かかっても山頂には立てないのかもしれない。まあその時はその時だ。ひさびさの筋肉痛にいわく言いがたい充足を感じた山行だった。

 温泉は市内のさとみ温泉「りらっくす」。露天風呂がやけに熱かった。ここは高齢者が多いところだ。その高齢者が「今日は熱いなあ」と愚痴をこぼしていたほど。ハードな山行でクタクタの身体に熱い湯はなんだか効き目がありそうだ。

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