No.256
泥まみれで紅葉もイマイチ
[秣岳・東成瀬村・1424m 2021年10月10日]
 全国ニュースで「密の行楽地」として栗駒山が紹介されていた。この時期にあえて「密の山」を選んだ理由は何といっても紅葉。山頂付近のこの山の紅葉の美しさは格別である。密の山に登るのは憂鬱な気分でもあるが、わがモモヒキーズはこの栗駒山の予想される大混雑を避け、隣にある秣岳を目指す。この隣の山を選んだ理由はもう一つある。駐車場だ。栗駒山は岩手、宮城、秋田三県の山なので押しかける登山客で駐車場は早朝からごった返し、すぐ満杯になる。もうここで密状態なのだ。車を停められなければ山歩きどころではない。なにせ、あぶれた車がわざわざ隣の秣岳駐車場まで車を停めに来るほどなのだ。だから油断はできない。だから朝は5時半出発。駐車場確保のためだ。

 天気予報は「晴れ」だったのに、登り始めから山頂につくまで曇天のまま、風も強く、高層湿原(しろがね草原)もガスがかかって何も見えない。草原の木道で寒さに震えながらランチをとった。
 秣岳は「馬の飼葉」のこと。栗駒山は6つの火山群で構成される山だが、そのうち唯一秋田県側(東成瀬村)にある山が秣岳である。その尾根の部分は天馬屋根コースとも呼ばれ、いまの時期、紅葉のメッカといわれる人気の場所だ。黄金色の低い草葉が斜面一面に生い茂り、風になびいている。新聞はその光景を「神のジュータン」と表現していたが、今日の悪天候のため紅葉はイマイチ、さらに登山道は前日の雨のせいかズブズブのぬかるみ状態。私たちは勝手にこれを「こしあんロード」と名付けている。天気が良くても登山道には雨が残っている。そのため雨は降っていないのに下半身が泥だらけになるのは栗駒山系特有の現象だ。でも靴やズボン裾の汚れは「登山上手な人ほど」少ない。初心者ほどドロドロになるから一目でその力量が分かってしまう。

紅葉盛りの山頂

靴も裾も泥んこ
 今年の紅葉は、そんなわけでがっかりだったが、下山すると嘘のように青空が広がり始めた。まあ人生はこんなもんである。
 家に帰ると何はさておき、登山靴とズボンの大量の泥落とし作業。外で水を流しながらの汗まみれの洗濯である。よくもこれだけと思える泥の量で、登山靴は丸洗い、乾くまで1週間はかかりそうだ。
 温泉は東成瀬村の「なるせ温泉 東仙歩」。客は誰もおらず貸し切り状態。ここの透明なお湯は大好きだ。なにせ昂大の浴場がひとり占めなのだから大満足。こんな宿で1週間ぐらいのんびりしたいなあ、と思い宿の主人に「泊まれますか?」と訊いて見たら、「ダム工事の連泊で満杯です」とあっさり断わられてしまった。

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