No.311
前岳・夏は標高が高くなる
[太平山前岳・774m・秋田市――2024年7月13日]
 今日は晴れたので(本来の天気予報は曇りのち雨)、金山滝から前岳コース。3連休の初日だ。「夏は出来るだけ登りたくない」メニューだが、気力だけで山頂にたどり着いた。達成感も満足感もなし。義務感だけで登って帰ってきた、という感じか。これでいいのかジブン。  
 登り始めてすぐ、崩落した登山道が手づくりの用具類で補修されていた。山の中にどこかに不備があると、誰に命令されたわけでもなく、誰かがすぐに補修する。お役所頼みではないのが、ここの山の魅力の一つかもしれない。幹回り4メートルという赤松まで30分、暑いが意識的に水を取る回数は押さえている。4番石仏まで1時間。ここでこの山の石仏を調査しているSさんと会い雑談。私の近所の広面にある2つの神社について、耳寄りな情報を教えてもらう。疲れ切った時の癖で金毘羅石碑の前で長く休む。ここで上へ行くか下がるかを決めるのだが、たいがいは、「ここまで来たのだから上に行こう」という決断になる。重い腰を上げ、ここまでヒルに取りつかれていないかを入念に確認し、またヨボヨボと登り出す。女人堂を出て前岳山頂手前で登山道を塞ぐように若いブナの木が倒れていた。この木も次に来るときまでは切り払われているのだろう。ありがたいことだ。

補修された道

倒木が道を塞いでいた
 2時間半もかけてようやく山頂へ。なぜこんな苦労をしてこんなことをしているのか、少々落ち込んでしまう。山頂であった常連の方と雑談をしていると、あの崩壊道を補修してくれた方だとわかる。下山途中、道に3匹のヒルがのたうち回っているのを見つける。こんなふうに地面に隠れているのか。すぐその後には緑色のちょっとヤマカガシに似た太いヘビを見た。この山はヘビと縁がある。アリの大きさにもビックリする(いま、ちょうどファーブルの「昆虫記」のアリの章よ読んでいる)。
 今秋の収穫は、暑い夏山だったが、消費水分が昔に比べて少なくなったことか。

 今日は3連休の初日。夜は東京から来た先輩お二人の接待で「みなみ」がある。最後まであきらめずに登ってよかった。
 朝起きて鏡を見たら右目下のまぶたが赤黒く腫れている。あれッ、昨日の山で虫に刺されたのかな。それ以外に思いつかない。でも痛くもかゆくもない。……たんなる日焼けだった。目の下の肉がたっぷり垂れ下がって、その膨れたまぶたに直射日光が当たって、そこだけ焼けてしまったのだ。プロ野球選手がデイゲームで目の下に黒いペイントをする、あれと同じだ。

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