No.62
鳥海山に見守られ、飛島まるごと紀行
[柏木山(57.6m・酒田市飛島)――2014年4月20日]
 珍しく山行のない日曜日、飛島に一人旅することにした。海を見たいし、海から見える鳥海山もながめたい。というわけで6時起床。車で2時間ちょっと酒田埠頭に着いた。年々道路が整備され(高速道は金浦まで通っている)酒田は近くなる一方。
 快晴、波も穏やか。でもこの季節は往復1便の船便はない。
海から直接立ち上がったような鳥海山の威容が美しい。船からみる鳥海山はすごい。島の山に登ってウォ―キングをするつもりなので寒さ対策のアウターも手袋も装備していったのがよかった。海風の強い甲板に出っぱなしで、美しい雪帽子をかぶった鳥海山を見続けることができたのは、この装備のおかげ。
 鳥海山の山容を堪能して約75分で飛島・勝浦港着。
下船してすぐに島の南端にある岩壁の「舘岩」に登り、対岸のウミネコ繁殖地を観に行く。ここは国指定の天然記念物。山には持っていくことのない双眼鏡を持っていったのも大正解だった。
 舘岩を下り、すぐ横にある道路から柏木山への山道に入る。標高は、「576」mではなく「57」m60センチ。これまで登った山で最も低い。ここから島を縦断し、島の逆側、北東はずれにある島内最高峰の高森山(69m)にも登って帰ってくる計画だ。

船からみえる鳥海山

これ西郷隆盛を祀る酒田市にある神社
 経緯度観測地点でもある柏木山山頂は、歩き始めてものの5分で着いてしまった。いつも来るたびに感じるのだが、周辺の畑には打ち捨てられた廃車(物置代わりに使っている)が目立つ。廃車処分するためには船で本土にその車を運ばなければならない。廃車のためにかなりの金額のお金がかかってしまう。経済的にはとても合わないのだ。
 静かな森を歩き続けても人とは会わない。鳥の声だけがかまびすしい。渡りでやってくる鳥たちの休憩地なのだろう、この島は。
 花はどこにでもあるイヌノフグリが目についたが、目を皿のように探してもお目当ての「オドリコソウ」は見つからない。ヒメオドリコソウは外来種でどこでも目にできるが、この島のオドリコソウは日本古来種のオリジナルなもの。貴重種なのだ。
 1時間半ほど森を歩いて島の端っこにある高森山登り口に到着。時間は12時半を回っていた。往路の船は1時半の出航。その前に島の名物であるトビウオ・ラーメンを食べたい。コンビニも商店もないから昼は食堂でラーメンを食べるしかない。高森山は断念、定期船発着所に急いだ。ところが港にある食堂はどこもしまっているではないか。シーズン(夏)にならないと開けないのだそうだ。昼飯を食べ損ねる。もう食べ物はどこにも売っていない。水を飲んで飢えをしのぐしかない。歩数計は2万歩弱。疲れた。
 帰りは船内ではぐっすり寝込んでしまった。目を覚ましたらもう酒田港。                
 酒田に着いたのが3時前、そこから遊佐にある日帰り温泉「アポン」へ。2階も温泉で「遊楽里」とあった。あれっ本荘市(東由利)にある黄桜温泉も同じ「湯楽里」のはず。「遊」と「湯」の違いだけで、どちらも「ゆらり」と読む。これはちょっとまずいでしょう。それはともかくとして温泉のレベルは秋田が圧倒的に上。山形側の洗い場のあまりの狭さに驚いてしまった。
 ホテルはいつもの「酒田リッチ&ガーデン」。大好きなホテルだ。
夕食は、著者でもあるカメラマンのSさん夫妻を招いて、いつもの中華料理「香雅」で食事。ここの中華も大好きで中華が食べたくなると酒田までやってくるほど。食事の後はタクシーで街の中心部にある日和山に夜桜見物。酒田はちょうど今が満開、これでもう桜は満腹だ。

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