No.97
なぜウサギがいなくなったのか考える
[高尾山(383m・秋田市――2015年2月22日)]
 2週間ぶりの日曜登山(雪山ハイク)は秋田市にある高尾山。雪のない季節ならまったく行く気のない平凡な自然公園だ。それがこの季節は表情が一変する。まるで雪山ハイクのために存在するような、起伏に富んだダイナミックなアドヴェンチャーコースに変貌する。特に、高尾神社入り口の鳥居から山頂まではけっこうな急坂になる。ここはけっこうハードだ。ぐるりと1周するだけで4時間近くかかる。
 この時期に毎年、雄和・女米木集落側から登っているのだが、今回は川沿いの白川集落からはじめてトライだ。
 雪の少なさが問題だったが、けっきょくは最初から最後までスノーシューをはいたまま下山。これはラッキーというしかない。2月のこの時期に雪山の「雪の少なさ」を問題にするというのも、なんだか微妙な気分だが、山だけは雪がたっぷりあったほうがいい。

この鳥居でその年の雪の量が分かる

この鳥居でその年の雪の量が分かる
 ハイク中、雪中にウサギの足跡をたくさん見た。最近はウサギの足跡すら見ることが少なくなった。ウサギがいなくなったのは低山に萱場(かやば)がなくなったためだそうだ。『唱歌「ふるさと」の生態学』(ヤマケイ新書)に書いていた。この本のサブタイトルは「ウサギはなぜいなくなったのか?」。日本人の愛唱歌から自然と動物の生態を追いかけるという発想が素晴らしい。昔、農家には必ず家畜がいた。家畜のえさを確保するには「茅場」という草原が必要だった。堆肥もこれが材料だ。茅葺屋根を葺くのにも使われた。 その萱場が消えてしまった。そこを生活の場にしていたウサギの数が減るのも当たり前である。ひとつの山で2,3羽の足跡を見つけるのも珍しいのだが、高尾山にも10羽以上の足跡を見つけた(同じウサギかもしれないが)。
 夕方からは雨と言う天気予報だったが、日中は見事な晴天。山頂からは鳥海山もくっきり姿を現していた。メンバーから嬌声が上がるのは、この鳥海山が見えたときだ。
 温泉は「ユアシス」。最近また長湯が苦痛になり、身体を洗うとカラスの行水ですぐに上がってしまうようになった。長湯はあまり良くないという説もあるので、気にはしていないのだが、体質的に温泉との相性が悪いのかもしれない。

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