Vol.1033 20年10月17日 週刊あんばい一本勝負 No.1025

暖房を入れた日

10月10日 昨日からモモヒキをはき始めた。ユニクロのアンダースパッツ(というのかな?)だ。軽くて暖かい下着がいまや1000円台で買えるのだからありがたい。50年前、ダンロップから発売された同じ機能をもつスポーツ用下着は1万円もした。もうアウトドアの下着類はユニクロで十分だ。明日は美郷町にできたモンベル店を見学する予定だが、買うものは何もない。

10月11日 山行は横手高校の裏手から登る黒森、御岳山ルート。けっこうクマのいるところなので難易度は低いが警戒が必要だ。昨夜からまた左肩から上腕部の痛みがぶり返してユーウツだ。歩くと痛い。寝ていると自然に痛みは遠のくのだが、それでも昨夜は痛みでよく寝られなかった。天気はいい。寒くもない。行ってきます。

10月12日 数日前から左上腕部の痛みが復活し、特に散歩をしている時と睡眠時に痛みが激しくなる。不思議なことに昨日の山行はピタリと痛みが治まった。どうなっているの。山行の後、美郷町にできたモンベルに寄るつもりだったが、ものすごい人出で駐車場も確保できず断念。

10月13日 自分はエンゲル係数がかなり高いのでは……と最近思いはじめた。本は必要経費だし、旅費もほとんどが出張費。個人的な出費は週に3回は行くスーパーでの買い出しがほとんどだ。料理や食材に金を遣うことに後ろめたさはないが、問題は買い物がスーパー1カ所で済まないことだ。駅前スーパーまで行かなければ手に入らない食材やメーカー品もあり、一気に食糧調達がかなわないのが目下の最大の悩み。

10月14日 北秋田にある藤里町までお出かけ。日帰りの車での出張だ。昔話で恐縮だが3、40年前までは県内の隅々までよく出かけていた。高速道がないので日帰りはできない。南は大曲市、北は能代市が日帰り地点の限界地域で、そこをこえるとホテルや旅館に泊まるのが常識だった。高速道ができて県内泊はほぼなくなった。

10月15日 料理で延々と続いているのが手作りヨーグルト。野菜を育てるようにヨーグルトを作っている。このカスピ海ヨーグルトの種はA長老の家で作ったものをいただいたもの。週に何回か作っているのだが最近雑菌が増えたのかうまく固まらない。またA長老に頼んで種をもらい、慎重に容器を消毒し、再挑戦中だ。ヨーグルトも納豆も素人が簡単に作れると思っている方も多いが、いやいやそんなことはない。継続はなんでも結構ハードルが高い。

10月16日 あまりの寒さに暖房を入れた。ストーブを焚くまでには至っていないが、今年もいよいよ長い冬がはじまった。山歩きのせいで雪になじんでいるから抵抗はほとんどない。山場の雪は楽しいことばかりだ。まずクマに襲われる心配がなくなる(冬眠するので)。虫やハチも姿を消し、草木や泥や岩石で転倒の危険もない。汗もかかないので水の心配もないし、山行後の温泉は極楽だ。日暮れが早いので近場の山にしか行けないから早起きをしなくていい。心ゆくまで白銀の森に身を浸すことができるスノーハイキングは大好きだ。
(あ)

No.1025

東京物語
(集英社文庫)
奥田英朗

 またしても奥田の本である。コロナ禍で自粛を余儀なくされ、たっぷり本を読む時間に恵まれに最も貢献してくれた、ありがたい作家だ。  
 『ララピポ』『真夜中のマーチ』『噂の女』『ヴァラエティ』『港町食堂』を読み倒し、後半はじっくり『無理』『邪魔』『最悪』と長編に挑んだ。奥田の作品は大きく分ければ長編の犯罪小説、短編の連作小説集、スポーツエッセイに分けられ、そのいずれも大好きなのだが、本書はちょっと毛色が違っている。昭和80年代の自らの青春を描いた自伝的色彩の強い青春グラフィティなのだ。奥田の作品は短編連作も長編小説も主人公は一人ではなく、いわば群集劇のように主人公が替わるのが特徴だ。たった一人の人物が最初から最後まで登場して物語を構成する作品は珍しい。本書は20代の著者自身の物語だ。78年に18歳で退屈な町を抜け出し上京する。キャンデーズの解散、ジョン・レノンの殺害、幻の名古屋オリンピック、ベルリンの壁崩壊……バブル景気に向かう時代の波にのまれ、著者(主人公)はコピーライターとして業界の荒波を乗り切っていく。小説家として名を成す直前までを描いた、奥田作品では異質ともいえる感動の青春小説だ。

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