Vol.1084 21年10月9日 週刊あんばい一本勝負 No.1076

旭又コースでリベンジ

10月2日 ひざが痛い。1カ月前から始めた筋トレ、特にスクワットの影響だろう。毎日100回ほど丁寧にスクワットや腹筋運動をするのが日課だ。痛みを感じたら、それはどこかやり方が間違っているのだから、即トレーニングを中止するように、とSシェフには言われている。でも筋トレは暮らしにもう定着しつつある。ある有名人が、「何十年も続いた習慣(トレーニングや趣味)が突然途切れるのは、たいていがちょっとした体調不良(風や疲労)から」といっていた。筋トレを軽いものに変えるか、もとの何もしない暮らしに戻るか考えている。

10月3日 今日は太平山旭又コース。最初から体が重いかった。左ひざにかすかなスクワットの影響で痛みがあり、我慢のまま1時間ほど登り続けたら、汗が噴き出し、身体が山歩きのリズムになじんできた。痛みも疲労もけだるさも消え、足の回転が滑らかになった。山頂付近の鳥居の急階段は、いつも疲労困憊状態で引き返したくなるのが常だが、今日は余裕でゴール。登りは約3時間、下山はもっと早かった。2時間10分ほどか。最近、登山靴を高山用のハイスペックなものに変えた。ちょっと重いが岩場も木の根っこもへっちゃらで、おまけにすべらないし、足場の隙間の空間をがっちりとキャッチしてくれる。靴と筋トレのおかげで先日の宝蔵コースの屈辱をどうにか払しょくできた。

10月4日 昨日の太平山(奥岳)は標高こそ低いが急峻な登りの続くハードな3時間コースだ。トレーニングには適しているが、特に眺望や花がいいわけでもない。逆に石ころや木の根だらけで平坦な休み場のない、ストレスのたまる山でもある。一夜明け、体には何の異変もない。筋肉痛もひざや足指の痛みもない。達成感や心地よい疲労だけの残っている。まあこんなことはめったにあることではない。ちゃんと記憶にとどめておこう。

10月5日 大学生協の学食でランチ。コロナ禍で大学自体が閉鎖されていたのだが、無性に学食の安い小カレーライスとうどんのセットが食べたくなった。この二つを食べても500円もしない。おまけにカレーは「小盛」なのに普通の食堂の大盛り並み。安くて速くて量がある。ここ以上の食堂にいまだ出合っていない。食後はキャンパス内の木陰のベンチで一休み。本を読み、うたたねをして、やわらかな風で目が覚めた。まるで別天地だ。学生時代はキャンパスで「憩おう」ことはなかった。齢70を超えて、散歩コースにこれだけのオアシスがあることを幸運に思った。

10月6日 夜中3時前、大きな揺れがありベッドから飛び起きた。朝のネットニュースで確認してみるとと「岩手沖震源で青森で震度5強」と報じられていた。災害は忘れたころにやってくる。3・11のことを強く意識して飛び起き、あの震災で学んだ「適切な行動」を頭の中で反芻を試みたのだが、ほとんど忘却の彼方。恥ずかしい。お隣の県で震度5強の地震があっても、それが収まれば危機意識を失って、すぐに熟睡してしまった。自然災害をなめ切っている自分が情けない。

10月7日 最近ラジオを聴かなくなった。番組が幼稚で姦しく軽薄なDJが多く、静かなクラッシック音楽や穏やかな語りの番組が少なくなった。テレビもジャニーズ系タレントが出ているものはまず見ない。偏見はないが、彼らが出演するのは商品が売れる若い女性層がターゲットの番組なので、最初からこちら側(高齢者)はおよびでないのだ。CMの低質化にも耐えがたい気持ちになる。薬を飲めば関節痛やシミやあざが消え、過去のサラ金の過払金を取り戻してやると喚き散らす。司法書士や弁護士が詐欺まがいのCMを流す時代に暗澹たる気持ちになる。無音というのも、味気なさそうだが、ジッと聞き耳を立てると、いろんな音が聞こえてくる。退屈はしない。

10月8日 秋田駅舎はずっと工事改修中でエレベーターも止まったまま。昨日、駅舎の中に貼られている秋田県の観光ポスターをみるため出かけてきた。見知らぬ読者から「白神山地岳岱を散策するペアーの登山客のポスターに秋田犬も一緒に写っているが、世界自然遺産の場所に犬連れはまずいのでは?」という電話があった。それを確かめに行ったのだが、ポスターはすべて「サキホコレ」一色の新米キャンペーンに替わっていた。国定公園などの山に犬はダメだ。ウンチをするので、それを食べた小動物が病気感染する。ポスターの犬はたぶんCGなどで事後処理した合成映像だろうが、まあ確かに配慮が足りないと言われれば、その通りかもしれない。でも私に訊かれても困る。秋田県の観光課に訊いてください。お願いします。
(あ)

No.1076

痛風の朝
(本の雑誌社)
キンマサタカ編

 去年あたりからピタリと痛風の症状がなくなった。いろんな要因はあるが一番は酒量が劇的に少なくなったことだろう。夕食は夫婦2人、冷蔵庫のあまりもので済ませるせいか晩酌も進まない。数年前までは定期的に年に3,4回は痛風に襲われた。日常的に尿酸値を抑える薬を飲んでいるのだが、いまはときどき思い出したように飲む程度だ。昔は仕事が忙しくなり、飲酒の回数が増え、ストレスがたまると、決まって出張中の電車やホテルで突然発症するケースが多かった。酒、ストレス、プリン体食の三位一体が原因とわかっているから、魚卵系、内臓系、ビール系の食は遠ざけ、できるだけストレスから離れる(山登りなど)努力する。本書は、抱腹絶倒、身につまされるユーモア体験談の詰まったアンソロジーだいきなりグラビアカラーで禍々しいウニ、いくら、レバー、あん肝、ラーメンの写真で脅す。でも目次には「痛風は文学だ」「痛風は人を笑顔にする」「痛風を知ってから毎日が豊かで彩り豊かになった」……といった肯定的な論調のオンパレードだ。アル中に似て痛風は治らない病気、と書いている記述もあり、ヒヤリとしたが、これからも油断せずに薬をのみ続けるほうが得策のようだ。

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