Vol.1239 2024年9月28日 週刊あんばい一本勝負 No.1231

ノンアルの日々が来るのだろうか

9月21日 雨だ。いつのまにか「秋田は全国有数の自然災害のメッカ」になってしまった。カミさんと2人の夕食で、ニュースを見ながらの会話はいつも、「雪は大変だけど、どうのこうの言っても、自然災害と無縁な秋田は幸せ」というのが定番の会話だった。今やそれも昔である。南北に長い県内の、どこかでいつも大きな被害が出ている。今日は雨の中、友人とドライブを兼ねて外出。心は憂鬱なのだが、身体は外に出られる喜びに打ち震えている。

9月22日 雨の中を由利本荘地区を走ったのだが、まだ刈り取られていない田んぼが多く驚いてしまった。今年は遅いのだろうか。雨に打たれた稲穂が、なんだか恨めしそうに首を垂れていた。道の駅に入ると、入り口から建物の奥まで、展示を微妙に変えながら、大量のお米を売っていた。たぶん今が一番高く売れる「売り時」と業者は判断したのだろう。ハイカラなデザインをまとった100グラムから5キロまでの色とりどりのパッケージにくるまれたコメ、コメ、コメの行列だ。

9月23日 HPトップ写真は「実家」跡の、更地になったコンクリートから見える風景。右の家は「料亭」で、その左奥によく遊んだ空き地がみえる。実家はもうないのだが懐かしい。今日は久しぶりの青空で3連休の最終日。前2日間はもっぱら買いものやら料理でリフレッシュ。具体的にはカレーライスを作ったのだが毎回のように、どうしてもドロリとしたトロミがつかない。今日はジャージャー麺を作る予定だが、前岳に行く選択肢もあった。じくじくと雨が降っていたから山道はたぶんドロドロ。行くとすれば午後からだが、いろいろやりたいことがある。

9月24日 散歩の途中、汗に濡れた両腕と背中、首筋のあたりがモーレツにかゆくなった。ダニか悪い虫でもついたのだろうか。それとも何かのアレルギー? 医者に診てもらう前に、念のためネットで調べてみた。汗でかゆみが出るのは、汗の塩分やアンモニアなどの成分が、バリア機能の低下した表皮の「角層」を働かせてしまうからだ、と書いてあった。この説に納得したのは、「皮膚の温度を下げるとかゆみの知覚神経の興奮はおさまる」と続けて説明されていたからだ。私のかゆみも家に帰って一息つくと自然に収まってしまう。「バリア機能の低下」の原因は気になるところだが、とりあえず「かゆく」なったら患部を冷やせばおさまるようだ。

9月25日 朝の新聞切り抜きで手が止まってしまった。「ips再生医療の現状」という記事と、「大潟村のもみ殻活用計画」の記事が、ちょうど新聞の裏表の同じ場所にあったからだ。どちらかを優先すれば、もう一方は不完全な切り抜きになり記事としては役に立たなくなる。こんな時は一応のルールを決めてある。記事の大きな方を切り抜くのだ。そうすると裏面記事の「ダメージ」がいくらかは少なくなる。同じ位置で同じ分量の裏表の記事というのはめったにない。

9月26日 久し振りに市役所へ。市民なのに役所を利用することはほとんどない。市民講座の講師のようなものを務めて(ほぼボランティア)、終わってから2階の食堂でラーメンを食べて帰ってきた。人々は忙しそうに働いていて、別の世界に来たような違和感で「パリのアメリカ人」状態だ。仕事場に帰ってきて、ホッとしながらお茶を飲んで、ようやく人心地がついた。仕事場にうずくまって、虫のように本の中に潜り込み、動かずにじっと、この居心地のいい空間で、生をまっとうする……。まあそんな人生が理想です。

9月27日 「汗とかゆみ」だが昨夜の散歩では、でなかった。夜、珍しくお酒を飲まなかったので、このアルコールと「かゆみ」は関係があるのかも。そのお酒だがジワジワと身辺にノンアル派が増えている。ノンアルか、酒席には出ない、という人が多くなった。昔の禁煙運動に似た雰囲気で、欧米の最新の医学的見地では「酒は百害あって一利なし」というのが科学的「結論」だ。フランスではワインの消費量ががた減りし、近い将来、日本酒はアメリカからの逆輸入品になる、とまで言う識者がいた。複雑な心境だが、酒を飲まなかった翌日は、確かに心なしか体が軽く、気持ちも前向きになれるような気がする。う〜ん、私も「ノンアルで」と酒席で言う日が近いのかもしれない。
(あ)

No.1231

ニセ科学を10倍楽しむ本
(ちくま文庫)
山本弘
 「水は字が読める?」「ゲーム脳になる?」「有害食品」「血液型」「地震予知」「地球滅亡」「アポロは月に行っていない」……ほかにもマイナスイオン、ホメオパシー、陰謀論、現代医学や化学を否定するニセ科学の数々を一刀両断する。小説家である父の「パパ」と、数学と理科が得意な中学生の娘「夕帆」の二人の会話で本は進行しる。教養のある父親と、好奇心満々の若い娘の丁々発止のやりとり、という構成が素晴らしい。正当な科学的な理論を、数字をあげながら滔々と語られるのは……と思っていただけに、この父娘のやりとりには「見事」とうなってしまった。時折、この会話の中に夕帆の同級生、オカルト好きの勇馬と夕帆の母親も登場する。この本の最大の成功は、ニセ科学の土台になって、世間を騒がせたベストセラー本を画像入りでちゃんと紹介していることだ。ほとんどのニセ科学にはそのもとになったベストセラー本の存在があるのだが、他社の出した本を批判のために引用するのは、なかなかに勇気がいる行為だ。よく筑摩書房はやったものだ、と思ったのだが、そうではなかった。本書はもともと「楽工社」という出版社が出した本の文庫化を筑摩が引き受けた、という構造になっている。なるほどそういうことか、納得。

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