Vol.909 18年5月19日 | 週刊あんばい一本勝負 No.901 |
すごい週末豪雨でした | |
5月12日 1週間前、おろしたての白いYシャツを着て友人のお祝いの会に出た。オーダーで作ったYシャツだ。着心地よく次の日もまた次の日もYシャツを着て、4日目にはさすがにクリーニングに出そうと首回りや袖回りのチェックをしたら、まったく汚れていなかった。もう3日間、試しに着続けた。昔と違って新陳代謝が落ちていて身体からでる汚れが少なくなったのだ。それにしても着心地がいいYシャツだ。オーダーメイドって、たまには贅沢もいい。 5月13日 Sシェフから連日のように山菜が届く。ワラビにアイコ、ホンナ……食卓が贅沢感でいっぱいだ。たっぷりの削り節をかけて、お醤油でいただくのが定番だが、別皿に「煎り酒」を用意し、それに山菜をちょいとつけて食べてみた……ら、これがイケる。煎り酒は、酒を熱してアルコール分を飛ばし、そこに梅酢とかつぶしをいれた江戸時代の調味料だ。佐竹の殿様の食卓にも刺身調味料やめんつゆとして「煎り酒」が登場する。いまは九州の有名な調味料屋さんが発売した無添加ものが販売している。 月14日 山本周五郎の本はほとんど読んだことがない。沢木耕太郎が編者になってセレクトした短編アンソロジーが文春文庫から刊行された。これなら読んでみてもいいかも、と手に取った。まんまと文春の策略に乗ってしまった感もあるが、沢木が選んだ周五郎の短編9編はいずれも面白かった。文春の企画アイデアなのだろうが、沢木耕太郎と山本周五郎というマッチングは意外だった。 5月15日 今週はずっと1日1つ用事が入っている。ひとつひとつはさして重要なものではないが、1日がその用事を核に構成されてしまうのは辛い。何も用事がなければ、やることはいくらでもある。自分でやることを作るのは得意だ。ずっと自分でやることを自分で決めてやってきたようなものだから問題はない。問題は「やること」を外から決められた場合、それを窮屈と感じてしまう悪い癖があること。スケジュール表が約束で毎日埋まってしまう未来は、あまりぞっとしない。 5月16日 山を歩いていると、曰く言い難い「妖気」のようなものを感じる場所がある。たいていはそうした場所に祠やしめ縄があったりする。昔から現地の人たちもパワースポットとして認知していたのだ。こういう場所は古代から「何もない真っ白な場所」なので「しろ」と呼ばれていた。仏教伝来で社殿が造られはじめると「しろ」の場所には屋根が備えられ、「やしろ」といわれるようになった。日本の神様はそうした場所に時々やってきて何かいいことをして去っていく。それを折口信夫は「まれびと」とよんでいる。 5月17日 朝から歯医者。歯医者にはすぐ行くくせに他の医者にはなかなか行かない。もうほとんど左目が白内障なのだが、眼科には行っていない。そう簡単に医者嫌いは改善されないのはどうしてだろう。身体のいたるところにガタが来ている。これからは医者とどう付き合うかが重要な生き方になってくる。医者に対する偏見をはやく捨て去りたい。 5月18日、19日 二日間、雨に閉じ込められた。散歩にも出ないし買い物もダメ。そばを太平川が流れているから怖い。30年近く前、この川が氾濫し子供を保育園に送る途中の道路が冠水した。太平川が危険水域を越えたら家まで被害が及ぶ。テレビのテロップではしきりに「広面糠塚」とか「広面谷内佐渡」といった避難勧告地名が出る。知り合いから「大丈夫か」とご心配をいただいたが、大丈夫でした。何もできないので、ひたすら原稿を書いて気を紛らわせていた。こんな時に限って原稿はスイスイとはかどるから皮肉だ。 (あ)
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