Vol.919 18年7月28日 週刊あんばい一本勝負 No.911


こんな暑い夏は生まれて初めて

7月21日 実際に一度もお目にかかったことはないが、うちの本の読者の方からメールで「(耳は)突発性難聴ということもあるから…」と早めに治療をするよう助言をいただいた。カミさんから同じことを言われても反発するが無視するのに、見知らぬ方からのアドヴァイスとなると「よし、医者に行ってみよう」という気持になるから不思議だ。近所の耳鼻科に行くと耳垢の塊をいとも簡単に吸い出してくれた。すっきりした。やっぱり医者行きは正解、いやもっと早く行くべきだった。

7月22日 このところずっとストレッチと筋トレを続けている。少しはその成果も出ているはず。今日は鳥海山横に位置する笙ガ岳に挑戦。鉾立登山口から登り始め、雪渓を越えていく予定だったが、思った以上に雪が多く、御浜小屋まで行き、そこから長坂道を通って笙ガ岳コース。三峰全部に登って花を満喫し5時間半の山道を楽しんだ。毎日のストレッチと筋トレの効果抜群で、一度も痙攣や疲労、エネルギー枯れがなかった。

7月23日 昨日の山歩きは調子が良かった。まだ10日ほどだが筋トレの効果が出たようでうれしい。筋トレといっても具体的にはスクワットとカーフレイズだけだ。特にこのカーフレイズの効果を山で実感した。登りが実に楽なのだ。これはSシェフから教えてもらったトレーニング方法で、要するにふくらはぎのヒラメ筋と腓腹筋を鍛えるもの。棒切れに乗っかって、つま先で体重を支え踵を上げ下げするだけだ。これが第2の心臓といわれるふくらはぎの血流を促し、下腿筋を鍛えるだけでなく、足がつるのにも見事なほど効果がある。

7月24日 突然、ヘミングウェイの『武器よさらば』を読み始めた。背景の国際情勢がまるっきしわからない。そこで舞台である第一次世界大戦の基礎的なおさらいをしてから本を読み始めた。著者は三国同盟のイタリア軍に参戦したアメリカ人という設定。アメリカ軍が参戦を決めるのは、その敵の三国協商(イギリスやフランス)側だったはず。このへんがよくわからない。日本は関係ない戦争といいながら日英同盟の縁で中国に侵攻、中国のドイツ軍基地を攻撃して戦勝国になり、以後、中国侵略の泥沼にはまり込むきっかけになる。戦いの端緒になったオーストリアとセルビアの関係もようやくわかった。……教養のない人間が古典を読むのは大変だ。

7月25日 昨夜は、県南部の友人たちを招いて秋田市で一献。「和食みなみ」で食事して川反のバー「ル・ヴェール」で一杯。ここでちょっと飲みすぎてしまい今日は二日酔い気味。散歩も晩酌もストレッチも筋トレも中止。じっくり休んで体力の回復をはかった。本を読む気も起きないし、仕事も集中力が続かない。本当に酒に弱くなった。先日録画していて観たBS・NHKの「銀嶺の空白地帯に挑むーカラコラム・シスパーレ」を観る。おもしろかった。平出もすごいが中島もすごい。

7月26日 夏はソーメンを食べる楽しみがある。蕎麦も好きだが秋田市内には「ほぼ」蕎麦屋さんがない。今日の朝日新聞秋田版に「新屋地区うどんを名物に」という小さな記事。あるガラス工房が「新屋うどん」の提供を始めたという。この地区は昔からわき水に恵まれ、江戸時代は上方まで出荷していたそうだ。もちろん乾麺だが、「上方まで出荷」って北前船のこと? 北前船には製粉器が常備され寄港地で小麦を調達し調理(うどんをこねる)していたという記録はある。それを「上方まで出荷」と表現したものだろうか。

7月27日 一日中クーラーをつけっぱなし。さすがに寝ている間もクーラーつけっぱなし、という話はこちらでは聞いたことはない。朝から塩をなめながら水を飲んでいる夏、なんて生まれて初めての経験だ。この月末は何かとバタバタ、忙しい日々が続く予定だ。仕事に夢中になると水分や塩分補給を忘れてしまう。冷蔵庫に水や麦茶のペットボトルをたくさん作って入れこまめに補給するしかない。
(あ)

No.911

80'S エイティーズ
(太田出版)
橘玲

 これは面白い本だった。出版業界ものというジャンル分けになるのだろうが、この元『宝島30』編集長の回顧録は一味違う。バブルの足あとからその絶頂、そして崩壊まで、1982年から1995年までの長い青春を描く自叙伝だ。95年までの記述があるのは「オウム真理教」とのかかわりが著者の青春の締めくくりになるから。この当時、宝島誌は唯一といっていいほどオウムと接触を持てた「サティアン出入り自由」の出版社だった。祖霊供養や戒名授与、墓所管理や水子供養といった本来の仏教とは何の関係もない欺瞞を痛烈に批判したオウムが、「若いインテリ層」の人気を獲得したのは当然で、昨今のIS(イスラム国)とそっくり、と著者は振り返る。バカな頃が一番面白い。でも人はいつまでもバカではいられない、というのが本書の要諦だが、なぜ「宝島社」というのはこうして優秀な編集者を輩出する風土があるのか、個人的には興味がある。80年代に4階建ての宝島社を訪ねたことがあった。本書にも登場する石井編集長に会うためだ。当時、宝島社の社内は禁煙だったというのが新鮮で印象に残っている。よく考えればあの時、著者も会社で働いていたわけだ。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.915 6月30日号  ●vol.916 7月7日号  ●vol.917 7月14日号  ●vol.918 7月21日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ