Vol.105 02年8月31日号 週刊あんばい一本勝負 No.102


日本半周

 夏休期間に仕事の調査を兼ねて車で長崎まで行ってきました。どうせ行くなら『北前船』の再撮影もやってしまおうと、新潟、能登、島根、岡山、下関なども立ち寄ってきました。同行者はライターで山形県米沢市に住む伊藤隆弘さんと弘前の青木健作さん。青木さんは今「んだんだ劇場」に連載している『刈穂という酒蔵の一年』の取材のためで、金沢までの2日間一緒でした。途中、米沢、金沢、広島とホテルに泊まりながら長崎に着いたのは3日間めの夕方でした。その夜は長崎のフリーライター小川内さんと情報交換。ねっとりと暑い長崎の町を3人で徘徊し、異国情緒たっぷりの長崎料理と焼酎を堪能しました。
 翌日からは本格的な資料収集と取材の開始。ヨーロッパと長崎の交易や、宣教師たちの布教活動について休む間もなく勉強です。でも昼食はしっかりと長崎ちゃんぽんと皿うどんを食べることは忘れません。秋田のババヘラアイスと似た長崎のチリンチリンアイスの撮影もし、夜は長崎一の飲み屋街銅座町の「あかせや」という居酒屋で鯨料理をさまざま食べ大満足。その後、佐世保、平戸などを2日ほど取材して回り、九州最後の夜は博多の中洲に行き屋台で締めくくりました。
 瀬戸内沿岸で何カ所か『北前船』の再撮影をして京都に泊まり、翌朝は三重県の山の中にある「モクモクファーム」に直行、ここであんばいと合流して、半日かけて施設を見学しました。「モクモクファーム」は15年ほど前に出来た農業集団で、酪農と乳製品、ハム、パン作りなどを中心に生産活動をしていて、100人近い人が働いています。おそらくこのような施設では日本で最も成功しているところでしょう。あとは東京に一泊し、米沢に伊藤さんを送り秋田に戻るという充実した9日間の仕事旅行。走行距離は4500キロでした。
(鐙)

長崎料理を楽しむ伊藤さんと小川内さん

きょうも元気、掃除はたのしい!

 こんな気分にさせてくれる掃除道具を手にいれた。舎長が日曜日会社に出て、ぶあつい注文カタログをすみずみまで眺めて選んだ品物。スチーム掃除機とワックスがけのモップで、見ただけでは、「どこがスグレモノ?」と誰しも思うはず。使ってみるとこれが便利。スチーム掃除機は、タンクに水を入れてコンセントを差し込むだけ。スイッチを入れると水でなく温水がふき出すところがスグレモノ。なんぎな自転車や窓のサッシ、換気扇などのゴミやホコリの掃除に力を発揮する。「ほかに掃除するものはありませんか」と言いたくなる気分。
 もう1点のモップは、ワックスを入れるタンクが柄についているのがミソ。たったこれだけのアイディアなのに、毎日ワックスがけをしたくなる。これは、いいことなのか?
(七)

こんなところもきれいになるぞ

祇園で遊ぶ

 三重の「モクモクファーム」に視察に行く途中、京都の「梁山泊」で食事をし、祇園で遊んできた。梁山泊は橋本憲一さんのお店で、橋本さんにはこれまでも何度か祇園に連れてってもらっている。今回は小生が「また行きたい!」とわがままを言って実現したものだ。お店の閉店間際に福岡の福元さん(石風社)が突然飛び込んできた。橋本さんと福元さんは九州の大学時代の友人、三人で祇園へ。
 舞妓さんに見覚えがあったので「テレビに出ていたかたじゃない?」と訊いたら、やっぱりそうだった。「照こま」さんは東京都出身のまだ18歳。たしか日テレ系のドキュメンタリー番組で中卒後、舞妓さんになろうと奮闘する姿をカメラが追いかけていた。この照こまさん、口紅を半分しか塗ってないから正確には舞妓さんではないのかもしれないが、実に性格のいい知性豊かな女性で、こんな18歳が今時いるのかと驚いてしまった。好奇心旺盛で私たち50代のオヤジの会話にもちゃんと絡んでくる。祇園でも売れっ子なのもむべなるかな。ちなみに石風社の福元さんは東本願寺の憎たちへ講演にきて突然祇園に連れてこられたもの。
(あ)

照こまさんを囲んだ50代のオヤジたち

今週の花

 今週の花は白いリンドウ、ケイトウ、菊、ススキ。
 ケイトウは「鶏頭」と書きます。漢字から連想できるとおり、ニワトリのトサカに似ていることから付いた名前です。「花」とは言い難い形と、細かい毛が生えた花びらの手触りはちょっとブキミです。が、中国から渡ってきた花で「万葉集」にも出てくるほど歴史があるそうです。正岡子規の庭にも咲いていたようで「鶏頭」を詠んだ句があります。派手な色合いから夏の花のイメージがありましたが、秋の花だったのは意外でした。
(富)

No.102

ローマは1日にして成らず(上・下)(新潮文庫)
塩野七生

 「ローマ人の物語全15巻」がようやく文庫になりはじめた。刊行されたとき「文庫で読もう」と決めていた。やはり期待にたがわず面白い。中高年者がこの著者の作品を競うように読む理由がよくわかった。「女世界史版・司馬遼太郎」なのである。教科書と専門書しかない世界の間を取り持つ絶妙の語り部で、私のような世界史に疎い人間にも歴史のからくりがわかったような気にさせてくれる魔術師的存在である。それにしてもテーマの絞り込み方がきっちり読者を意識していてツボをはずさない。単行本は15巻構成なのに文庫はたぶん30巻以上の構成に変えるというのも、読者層やその消費性向を知り尽くしていて見事としか言いようがない(今年は単行本3巻分、文庫にして7冊分しか刊行されない)。ベストセラー作家というのはマーケティングのプロのことなのだ。複雑で難解な世界史をこれほどわかりやすく、おもしろく、単純にテーマを絞ってかけるというのも、まぎれもない才能である。10代でこんな人から世界史の面白さを教えてもらったら、ほとんどの人が歴史に親しみをもつだろうな。

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