Vol.112 02年10月19日号 週刊あんばい一本勝負 No.109


新品ストーブと駐輪場

 今冬から新しいストーブがつきました。かなり大型で縦長のため棚を切り落としてようやく設置できたものです。いったんストーブの長さを確認して棚を切ったのですが、ストーブの天井の熱を考えずにギリギリに切ったため、やり直し。けっきょく2度手間になってしまったのですが、最近、皆疲れ気味でこの手の判断ミスが頻繁に起きています。これで今年の冬は「まだら暖房」こと暑いところと寒いところがある部屋から開放されることでしょう。また事務所横には駐輪場も冬囲いとスロープつきでリニューアルしました。自転車の置き場所にけっこう苦労していたので、これで一安心です。
(あ)
新品ストーブと駐輪場

ISO取得に向けて

 無明舎でも「ISO14000シリーズ(環境マネジメント規格)」を取得することに決め、その準備に入りました。環境ISOは「地球環境を守るための活動や手法についての国際的な取り決め」でISOは「国際標準化機構」の略です。出版社がこの規格を取得するというのはまだ珍しいことのようですが、小舎の性格(東北地方の公官庁と仕事する機会が少なくない。地方自冶体との共同事業も多く)からして、これはどうしても取得しておきたい資格でした。

書類を読むだけでも一苦労
 先月は冨山が県主催の「取得のためのセミナー」に出席し、今週は知り合いの取得企業の担当者にレクチャーにきてもらいました。今月中には仙台で開かれる資格取得セミナーにも人を出す予定でいます。最終的には来年の夏前には書類作成や審査を終え、無事取得という段取りを組んでいますが、さてどうなりますことやら。
(あ)

『北前船』と拉致事件

 お待たせしました。無明舎出版30周年記念出版として制作したオールカラー版『北前船』が完成しました。企画開始から2年と1ヶ月、無明舎としても今までにない大掛かりな取材を行い、240頁カラー写真およそ1000点という本となって日の目を見ました。完成した本を手にして、企画から取材、撮影、編集と携わった私としても感慨深いものがあります。

真野町椿尾の高台に立つ石塔と日本海
 本が出たのと時を同じくして、北朝鮮に拉致された5人の人たちの里帰りが実現しましたが、5人の出身地名をニュースで聞いてドキッとしました。北前船の取材で訪れた町の名前が次々と出てきます。風光明媚な若狭湾の福井県小浜市、ここでは海岸沿いのホテルに宿泊しましたし、広々とした新潟県柏崎市では直接北前船の取材はしませんでしたが、海岸沿いの道路をうろうろしました。さらに佐渡島の真野町では海岸を足元に見下ろす丘の上でお地蔵さんの写真を撮ったりしました。その時はこれらの海岸が拉致の舞台だったとは知らずに取材をしていたのです。本の中では各地に残る中国や朝鮮との交流を示す朝鮮の神を祀った神社や国宝の朝鮮鐘、遣隋使が入った港などを盛んに紹介しました。日本海側が大陸に近く、船を使った交流が盛んだったことを示すためです。しかし、拉致や不審船問題ではその近さが災いして事件が頻発したことになります。北前船の取材で事件現場が身近になり、拉致への怒りがより強く沸いてきました。
(鐙)

川原の湯っこ

 宮城県境に位置する雄勝町秋の宮には「川原の湯っこ」という温泉があります。名前の通り役内川の川原に湧いている温泉で、スコップで砂利を掘って足だけつかります。先日、タウン誌の取材でモデルさんと一緒にこの温泉の撮影に行ってきました。静かな山の中で川の流れを聞きながら足湯につかるのは最高の気分です。しかし、そこまでセッティングするのに一苦労でした。源泉の近くはガマンできないほど熱いので、川の水でちょうどいい温度するのですが、この調節がなかなか難しいのです。結局、足首付近は熱くて足の裏付近は冷たい状態で撮影開始となりました。ただし、常に手で掻き回していればかなり気持ちいいので、もし近くに行くことがあれば、絶対お薦めです。場所は「秋乃宮博物館ぱーと1」の裏手にあるので、すぐ見つかります。
(富)

No.109

真夜中の太陽(中央公論新社)
米原万理

 フランス旅行中、彼女の「魔女の1ダース」(新潮文庫)をずっと読んでいた。海外旅行中は暇がありそうでなさそうで、無聊をなぐさめるために沢山の本を持っていくのだが、結局ほとんど読めないまま持ち帰ったり、現地の日本人の方に置いてきたりする。それでも本を持っていないと不安になるのだからどうしようもない。フランス旅行中、完読したのはこの1冊だけだった。『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』でがぜん彼女のファンになり、過去の作品にさかのぼっていま乱れ読みのまっ最中である。本書は20世紀末に書かれたエッセイの集成だが、今読んでも過激、新鮮、ウエットやユーモアがちっとも古くなっていない。通訳をやめて作家になってほしいと思うが、そうなると彼女の独特のポジションが消滅して「普通の女流エッセイスト」になってしまう危険もありか。彼女のような理知的でいながら下ネタもちゃんと押さえられる女性なら、テレビのワイドショーのコメンテイターにはピッタシだと思うが、今の日本の三流芸能テレビではちょっとハイブローすぎるかな。とにかく何も読んでも面白い旬のエッセイストである。

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