Vol.1286 2025年8月22日 | ![]() |
家の台所リフォームと内装工事が始まった | |
8月16日 年を取ると否応なく朝早く起きるようになる、と言われたが、後期高齢者になった今も、朝は8時ころにいやいや目を覚ます朝寝坊。たっぷり8時間は睡眠をとっている。食欲も年とともに落ちていく、と言われたが、これも嘘。アルコールこそ飲まなくなったものの食欲は相変わらず、体重は少しずつ増え続けている。体力だけはさすがに毎年落ち続けている。老眼については兆候がまったくない。製品のトリセツなどを仲間の前で読み上げたりするときは、ちょっぴり優越感を感じたりするほどだ。でもやっぱり年寄りらしく、早起きで食欲が薄く、人並みに老眼鏡をかけてみたい。
8月17日 ようやくトーマス・マン『魔の山』(岩波文庫)上巻読了。最後は愛の告白の、前半のクライマックスなのだが、ドイツ語とフランス語のやり取りを表すため、ここは全編カタカナ表示。実に読みにくく、目が疲れ、何度も本を手から落としそうになった。まだ下巻がある。上巻より100ページ以上多い700ページだ。おまけにこの文庫は改行なしの11級活字。普通の本の活字の大きさは14級だから、あまりの小ささに眼はショボショボ。昔のオフセット活字でいえば7・5ポイント、号数でいえば6号活字というやつだ。古典の名作と言われる小説は、やはりほとんど改行がないのが特徴だ。一行ごとに改行する小説を書いたのは五木寛之と昔からよく揶揄されていたが、すっかりそのパターンに私たちの世代は毒されてしまい、慣れ切っている。肺結核のサナトリウムで療養する24歳の若者の精神的成長を描いたものだが、上巻だけで主人公はまだ入所から7か月しか経っていない。今日からは下巻だが正直なところ夜が怖い。 8月18日 かかりつけ医の定期健診の日。最近血圧の高さが指摘され気にかけていたのだが160台の数値にガックリ。医者には「薬を飲んだら」と勧められるが、「次回まで、今少しの猶予を」と薬剤投与を拒否。2番目に気になっていたのは、去年のドッグ検査で高かった尿酸値。これは見事に平均値に戻っていた。ずっと痛風持ちだったのだが、いろいろ努力の末、薬を飲まずに尿酸値を平均値まで落とすことに成功した。それが自慢のタネだったのだが、去年だけ、なぜか数値が2倍近く跳ね上がった。ということもあり今回、尿酸値のための血液検査をしたのだが、やはり数値は正常。前のドッグでの数値がおかしかったのだ。しかしまあ、こうして健診の数値に一喜一憂する日々が待っていようとは、死ぬのも大事業だ。 8月19日 朝からあわただしい。今日から自宅の台所リフォームが始まった。これが1週間続き、その後は自宅居間の内装(壁紙張替え)にはいる。ほぼ10日間びっしり、家で食事はできないことになる。 8月20日 イギリス映画『日の名残り』を観る。カズオ・イシグロの原作も読んでいて、こちらも深く感動したのだが、映画もまた違った回路で、静かで淡々と人物と時代背景を映像でわかりやすく描いていた。アンソニー・ホプキンスの抑制のきいた演技がすごい。映画の中で笑顔を見せたのは一回だけ。読書と映画の感動はツボが違う。でも侯爵に忠実な執事という、ストイックな一人の男の悲哀を描いていることに変わりはない。それでも高倉健の任侠映画のように最後にカタルシスがある、ストイックな男の物語ではない。だから逆に感動は見る側に蓄積され、時間とともに深まっていく。 8月21日 両足(指)が痛くて、散歩が苦痛にしか感じられなくなった。原因はわかっている。靴が合わないのだ。体力が落ちているので最近、軽くて柔らかいランニングシューズを重宝し履くようになった。どうもこれがよくなかったようだ。靴に硬さや重さがないことで、足が自由に動き、楽なほうに足形が崩れてしまうのだ。この20年、ずっとミズノの重くて堅牢なウォーキングシューズ一点張りだったのだが、年には勝てず安易に安楽さのほうに流されてしまった。今日からは以前とおなじ、重くて堅牢なウォーキングシューズを復活させるつもりだ。 8月22日 家の台所リフォーム工事がピークを迎え、朝から何人もの職人さんが家に出入りしている。私は事務所に逃げていられるが、カミさんは行くところがないので、市立図書館に逃げ込んで仕事をしているようだ。台所が使えないので食事もできない。昨夜は二人で駅裏の焼肉屋さんへ。ノンアルになったので車でどこへでも食べに行ける。今週いっぱいで台所は終わり、来週からは内装(壁紙張替え)工事だ。老夫婦の外食はまだまだ続く。 (あ)
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