Vol.363 07年8月25日 週刊あんばい一本勝負 No.359


いろいろあった1週間でした

 15日の健康診断は人間ドッグ。初めてです。糖尿病の検査や検便、骨粗しょう症や眼底検査など、いつもの健診と違ったメニューがたくさんあり5時間以上拘束されてしまいました。
 16日は朝早くから飛行機で東京へ。これも久しぶりです。あわただしく用事を済ませ1泊して仙台へ。東京1泊というのは極めて珍しいのですが、正直なところ東京への興味はすっかり失せてしまいました。時間があるとひたすら今度出す本の原稿に手を入れてました。旅をしながらこんなに仕事をしたのも初体験です。
 本の街といわれる神保町ですが、本の社会的ステータスが低くなることと連動して急速に「普通の街」に変わりつつあります。泊まったのはJR田町のそばにあるVホテルで、ここが最近の東京の常宿で気に入ってます。仙台ではちょっと体調を壊し(というか古傷が急に痛みだし)、晩御飯を食べた後はずっとホテルで本を読んでいました。
 秋田に帰ってからも原稿の手入れの続きがあり、ずっと事務所にこもり続け。こんな作業が好きなんでしょうね結局。
 22日は「山の学校」の街道歩き企画「俳人芭蕉の道をたどる」旅に参加。あいにくの雨で参加者も少なかったのですが、いつものように自分がいかに何も知らないかを知った旅でした。
 原稿を書いたり、旅をしながら、吉村昭の文庫本をいつも携帯、読んでました。「破獄」と「間宮林蔵」を読破、次の本を探していたら突然「いつまでもデブと思うなよ」(岡田斗司夫・新潮新書)が飛び込んできました。ネットで購入し3時間ほどで読了、にらんだとおり、この本は最近自分が考えている減量法とほぼ同じ。彼は実践し、私は考えているだけ、の違いです。テレビでこのオタク研究者がげっそりやせていたのをみて驚いたのはつい先日で、この本はタイミングがいい。1年間で50キロの減量に成功した評論家の実践記です。
(あ)
リーズナブルで清潔なホテルが東京にもある
山形最上町にある平坦地の分水嶺

No.359

20年後(理論社)
オー・ヘンリー(千葉茂樹訳)

 しばらく前から続いている現象なのだが、直木賞や芥川賞をとった作家の本を復刻で出したり、20,30年前の名作を新装本で再刊する版元が増えている。具体的に言えば九州出身の作家、佐々隆三の「復讐するは我にあり」を再刊した弦書房や「文政11年のスパイ合戦」を出した双葉社などだが、本書もそのひとつに加えていいだろう。オー・ヘンリーだけでなく星新一のショートショートセレクションも理論社は刊行している。文庫本の小さな活字で読むことをいわば義務付けられていた名作が、その文庫ですら読めなくなり、それでもどうしても読みたい読者のために大きな活字でハードカバーの立派な本になって蘇る。このこと事態は喜ばしいことだ。編集者にとれば「古くならない現代の名作」を探し出す眼力が試されることになるから、しんどい仕事ではある。
 値段は高くてもいいから読みやすい大きな活字で名作を読みたい、と思っている読者は目の弱くなった高齢者ばかりではない。これから本を読み始めようとする人や、年齢を重ねてから読書に目覚めた人など、多彩だ。ちなみに本書は400字詰め原稿枚数にすれば150枚そこそこのもの。それが上製46判216ページの本に変身するのだから、リニューアルというよりも、これは「新しい読者」に向けて、視点を変えた新刊といっていいだろう。

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