Vol.924 18年9月1日 週刊あんばい一本勝負 No.916


接待は難しい

8月25日 台風19号、20号の推移が気になり固唾のんでTV情報を注視中。関西の友人たちが8人で「大曲の花火」見学のため来秋するからだ。どうにか台風はうまく通過してくれたようで伊丹空港を無事飛び立ってくれた。県立美術館で藤田嗣治を観て、わが事務所でコーヒーを飲みながらおしゃべり。夜は川反「お多福」で郷土料理。今日は角館を回って大曲に。マイクロバス(レンタカー)の運転はFさん。うちのVIP接待の時、ドライバーを務めてくれる元タクシー運転手だ。

8月26日 大曲の花火を初めて観た。お客さんを刈穂のご厚意で特等席に案内、私は花火を見ないで秋田市まで帰ってきた。渋滞に巻き込まれないためだ。75万人の入場者数というのがどれほどのものなのか興味はあった。県人口の三分の二以上の人が雄物川の河川敷に集まる、というのだから信じがたい光景だ。わが関西の友人たちは審査員席にまで繰り出し、審査員の檀ふみさんを大声で呼び出し、勝手に大いに盛り上がっていた。

8月27日 関西から来た友人たちをアトリオン地下にある「県物産品コーナー」に連れて行きお土産を買ってもらい帰る、というのが旅の終わりの定番コース。今回はその隣で骨董市が開かれていた。ここで少し舞い上がって、ジャン・コクトーのリトグラフと、伴ようの版画を衝動買い。といっても金額は2万円以下だ。この頃、気に入ったものを見つけると買う。自分用ではなくプレゼント用だ。

8月28日 白内障手術から1ヵ月検診の日。メガネの度数も手術後の臨時で作ったメガネでOKということになり、駅前のメガネ屋さんでスペアーも含めて3本、新たに作ってもらう。昔のフレームを生かし、レンズだけを交換するだけ。ようやくすべて終わったという感じ。

8月29日 先日のアトリオン地下の骨董市が気になり、翌日もひとりで出かけてみた。額装された「10円紙幣」なるものがあって、2万円の値がついていた。それが気になっていたのだ。秋田工場で刷った極めて貴重な紙幣だという。骨董屋のオヤジと交渉して1万円まで値下げをしてもらい購入。家に帰ってさっそくいろいろ調べてみたら、なんと終戦直後の昭和21年、市内の聖霊高女の体育館で「超極秘に」印刷されたGHQ占領下の紙幣であることが分かった。詳しく調べるため昨日半日、県立図書館にこもって古い新聞のマイクロフィルムをめくり続けた。近いうちにこの調査報告を新聞などでするつもりだ。

8月30日 花火ツアーの疲れで、やる気がわいてこない。このツアーは半年以上前からプランニングして微調整を繰り返してきたもの。ひとまず無事に終了したことで心身ともグッタリというわけだ。読書熱もいまいち。『古賀史健がまとめた糸井重里のこと』(ほぼ日)という2時間ほどで読める薄い文庫本をペラペラ。他人の書いた糸井さんの自伝のような本。面白い。

8月31日 8月も終わり。もうすっかり秋だが、振り返ると暴風雨に脅え、暑いだけの夏だったなあ。金足農フィーバーのおかげで本はちっとも動かず、電話やメールの問い合わせも閑古鳥。せめてこういう暇なときに身体でも鍛えようと思ったが、雑用が邪魔をして思うようにならなかった。怨嗟の夏を見送り、実り多い秋の到来を願い、心新たに9月を迎えよう。
(あ)

No.916

ヤクザの幹部をやめて、うどん店はじめました。
(新潮社)
廣末登

 NHKドキュメンタリー「ノーナレ」で、この元ヤクザが始めたうどん屋のことは知っていた。面白い番組で好感も持てたのだが、本書はまた違った意味でインパクトのある活字本だった。まず一つは本書の著者が、その極道歴のある中本さん本人ではないこと。著者は北九州私立大学の非常勤講師で、犯罪社会学(ヤクザの研究です)を専門とする人なのだ。著書もたくさんあり、そのほとんどがヤクザもの。そのため構成も文体もこなれていて実に読みやすくわかりやすい。それが本書の一番の特徴といえるのかもしれない。ヤクザの生態に詳しい人の手になる「読物」だから、痒い所に手が届くような本になっている。主人公の中本さんがうどん店を地元の北九州市に開いたことも、驚きのポイントだ。堅気になるなら誰も知らない都市で、というのが常識なのだろうが、あえて地元でカタギ修行をするというのが感動的だ。というのも高本さんの所属先していた「工藤会」という組織は、今も日本では有名な武闘派暴力団なのである。報復や嫌がらせはないのだろうか、素人ながら気になってしまう。しかし、この辺の事情にも著者はちゃんと触れながら、その世界の内幕にまで踏み込んでいる。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.920 8月4日号  ●vol.921 8月11日号  ●vol.922 8月18日号  ●vol.923 8月25日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ