Vol.925 18年9月8日 週刊あんばい一本勝負 No.917


ダニ・筋肉痛・夜更かし派

9月1日 2週間ほど前から身体のいたるところがかゆくなった。これはもしかして「ダニ」かな、とおもったが、いつもの悪い癖で処置を先延ばししてしまった。かゆみの部位は日に日に増える一方で、背中や首筋まで這いあがってきた。寝室に「ダニアースレッド」を盛大に焚いた。寝室は真っ白な煙で覆われ、入っただけで息苦しくなるほど。これでダニも死んでくれるだろう……か。身体に何一つトラブルのない安寧の日々なんてないんだなあ。

9月2日 太平山旭又コース。Sシェフと2人なので安全面では何の心配もない。問題はこちらの体力だけ。「大平山を登れれば秋田県内の山はすべて楽勝」といわれるほどハードな山だ。筋トレやスクワットを続けてきた成果やいかに。というわけで、汗だくでどうにか山頂に立ち、ヨレヨレになって下山。達成感よりも疲労感が勝っている。

9月3日 筋肉痛はなし。明日あたりくるのかも。下山時に両モモに痙攣が来た時、Sシェフが持参のエアーサロンパスを「騙されたと思って」吹き付けてくれた。それでピタリと痙攣がとまった。「エッうそ!」と声に出してしまった。そういえば傷口の体液を吸収して膨らむ新型の絆創膏(バンドエイド)のすごさに驚いたのも最近のことだ。

9月4日 やはり筋肉痛は来た。それも猛烈なやつが。階段を昇降するのがしんどい。いい年して無理するんじゃないよ、と叱責されそうだが、筋肉痛は勲章のようなもの。よく頑張ったなあという自分へのご褒美だ、と前向きに考えて、嵐の過ぎ去るまでおとなしくしていよう。台風の進路が心配だ。この頃は雪や雨より「風」が怖い。こいつが一番の破壊者だということが年を取るにつれ、わかってきた。

9月5日 筋肉痛と嵐の夜は静かに本でも読むに限る。ということで乾くるみ『イニシエーション・ラブ』(文春文庫)を読む。通過儀礼の恋という意味かな。文庫本が出てから10年で65刷(!)というんだから圧倒的に支持されている青春小説だ。最後から2行目でどんでん返しがあるが、まあ老人からみれば(私のこと)軽い驚きて程度で読み流せる。普通の地方の大学生が恋をして、東京に出て、また恋をして、成長していく姿を描いたもの。微妙に変化する若者の心象風景の描き方が実にうまい。

9月6日 未明にズーンと沈み込んでいくような、あまり味わったことのない揺れ。関西の台風の後は地震かと寝ぼけ眼でおもったが、すぐにまた寝てしまった。朝起きてみると北海道で震度6。ローカルニュースでは秋田の震度を報じていなかったが、私ははっきり夜中に揺れを感じた。来週は北海道のアポイ岳という山に登るつもりなのだが、こうなると無理だろう。復旧で死に物狂いになっている場所に山遊びに行く勇気はない。

9月7日 かなりの「夜更かし派」だ。朝が弱い。普通は7時に起きているから弱いというのも変だが、山歩きの日は午前4時、5時が普通になる。これがもう山行よりも苦痛。夜の8時9時に寝床に入っても結局寝付けないまま朝を迎えてしまう。この年になると朝型に切り替えるのは無理なのだろうか。寝床に入る前にTVを見て、飽きると本を読む。この2つの時間が年とともにドンドン、ダラダラ、長くなるばかりだ。何かいい夜更かしの対処法はないものだろうか。
(あ)

No.917

旅する江戸前鮨
(文藝春秋)
一志治夫

 最近はグルメ本にほとんど興味が失せた。うまかろうが、すごかろうが自分の暮らしと無縁となれば何の意味もない。本書は自分の暮らしと直接関係があるので読み始めた。サブタイトルにある『「すし匠」中澤圭二の挑戦』でわかるように、「すし匠」の秋田店が近年オープンし、はやっているからだ。一度は行ってみたいと思っていたが、席に座るだけで2万5千円は覚悟してくださいと友人に言われ、いまだ二の足を踏んでいる。本を読むのは1300円で済むから、まずは本からである。著者の一志氏はこの手の本をかかせると定評のある人だから、内容は信頼できる。お鮨には「海鮮」と「江戸前」の2つがあるというのも納得。しかし「すし匠」はすでに四谷の店をたたみ、今はハワイに店を移しているという。国内には中澤の指導を受けた弟子たちが各地で店を開き、そのことごとくが名店として今も名を馳せている。本書は7章立てなのだが、6章は『秋田「新政」とノースショア「波花」』とお酒に1章が割かれている。ここにも秋田が出てくるから、読んで損はない本だった。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.921 8月11日号  ●vol.922 8月18日号  ●vol.923 8月25日号  ●vol.924 9月1日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ