Vol.938 18年12月8日 週刊あんばい一本勝負 No.930


関西風のおでんが食べたい

12月1日 体重は思うように減らないのに、首回りだけは老化とともに確実に細っていく。シャツの一番上のボタンをしめる習慣がなかったし、その必要もない(ネクタイをしないので)生活が長かった。でも最近はシャツの一番上のボタンをちゃんとしめるようになった。ボタンを閉じるようになるとブレザーを着るようになったのも一石二鳥だ。外に出るときはラフな格好より少しカジュアルなブレザーで人目を意識した格好をする。これで背筋が伸びる。

12月2日 男鹿本山に登ってきた。山行ラッシュがとまらない。同じ山域なのに先週の男鹿真山とはまるで雰囲気が違う。ピーカンで登山客も少ない。静かでダイナミックで冬を待つ森の中を黙々と5時間、気持ちよく歩いてきた。下山して道の駅の「オガーレ」へ。ここで活きのいい捕れたての魚を買うのも本日の目的。でも海は「しけ」だったようで魚はほとんどゼロ。冷凍のタコとエゴ(海藻。九州のおきゅうとのこと)を買う。前回の真山の帰りには活きのいいヒラメがあり、店でさばいてもらいうまかったのだがヒラメはなし。

12月3日 いつ頃からの習慣だろうか。冷蔵庫に冷や麦を作っておいてペットボトルに入れ飲むようになった。山にも水代わりに持っていく。冬も事務所でも冷たい麦茶オンリーなのだ。冬はさすがに温かい飲み物のほうが体にはいいかな、と思い保温ボトルに白湯を入れ飲みだした。いつまで続くかわからないが、この冬の間は白湯で勝負してみるつもりだ。

12月4日 東芝という会社はもうなくなったんだっけ。「ダイナブック」はシャープが買収したというから、もうシャープの事業会社名だそうな。ところでシャープというのはどこの国の会社だっけ? 確か中国か台湾に買収されたはず。そのシャープの亀山工場で日系外国人労働者2900人が今年に入って「雇い止め」になった。3000人いた日系人労働者のほぼ全員だ。アップルのアイフォーンの減産が理由だという。外国人を含む非正規社員というのは、まったく都合のいい「雇用の調整弁」だ。出入国管理法改正案というのはこの調整弁をもっと巨大にしようね、そうすると日本人には被害が及ばないから、という法律だ。こんなことをいつまで続けるつもりなのだろうか、わが日本は。

12月5日 2時間ほどのインタビューテープを聞きなおして文字に起こす。その作業をするため駅ナカの喫茶店へ。ここで一心不乱に3時間、集中。それはいいのだが自分の取材したテープを聞くたびに、その受け答えの下手さに呆然となる。余計なことをしゃべりすぎだし、肝心の質問を忘れている。せめて質問項目をちゃんとメモしてからインタビューしろよな、ジブン。

12月6日 昔かった服で色合いが派手でけっきょくは着ないままになっていた服を引っ張り出し、勇気を出して着ている。赤だとかチェックだとかパステルカラーのシャツでも地味なブレザーと組み合わせると、それなりに収まりがいい。新しいものを買っても無駄になるだけだしリユースが一番。

12月7日 この時期になると「和食みなみ」のおでんが食べたくなる。澄んだツユに具材が浮かぶ江戸前のものではなく、関東炊きと言われる醤油色した味の濃い関西風おでんだ。残念ながらおでんはもう今年の営業を終わったという。「みなみ」ではいつも指定席のカウンターで呑んでいる。小上がりは胡坐が苦手なのでめったにはいらない。「掘りごたつ」風にすれば小上がりで呑むことに吝かではない、とエラソ―にオヤジに愚痴を言い続けていたのだが、近々リニューアル工事をするので掘りごたつにする、という。20年も通い続けると、こんないいこともある。うれしい。
(あ)

No.930

下町ロケット(ヤタガラス)
(小学館)
池井戸潤

 テレビドラマになっている半沢直樹シリーズや花咲舞シリーズの原作者だ。とはいってもテレビ番組を観たことはないし、原作も読んでいない。「下町ロケット」という中小企業の優れた技術者たちを描いた小説で直木賞をとったことは知っているが、その本も読んでいない。先日、NHKテレビで、無人農業用トラクターの特集番組を見た。北海道大学の野口伸(のぼる)教授が開発したビークル・ロボテックスが未来の日本農業を救うのでは、という興味深いテーマだ。この研究をテーマにした小説が本書であることも報じられたので、急いで読んでみたのだ。なるほど、もともとは下町の技術者たちが開発、製作した部品からなる宇宙衛星の精度が上がり、GPSでも数センチ単位の誤差しかなくなったことにより可能になったのが「無人農機具」なのである。農業とそれを取り巻く大手や零細の企業がしのぎを削るのが本書の物語だ。主人公の佃製作所の佃航平や巨大企業・帝国重工の社員や元社員が入り乱れる展開なのだが、こうした登場人物はこのシリーズの常連たちがほとんどだ。前作を読んでないものとして「とっつきにくさ」もあるが、TV放送を前提に書かれた脚本的物語なので、泣かせどころはツボを押さえている。

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