Vol.987 19年11月30日 週刊あんばい一本勝負 No.979


ベーグルを食べてみたい!

11月23日 道の駅などで車中生活する人たちを追ったNHKの番組を見た。ペットと一緒だったり、生活用具をビッシリ詰め込んだ車を見るたび、旅をしているのか、気ままでいいなあとうらやましくも思ったが、やむなく車中生活している人たちも少なくないのだそうだ。『カーネル』という雑誌がある。車中泊専門誌だ。雑誌のネーミングにも笑えるが、車中旅行のつもりが、そのまま車中が家になってしまうケースもあるのだそうだ。夫婦で車中泊旅行に出ても、カミさんは途中でイヤになり別れて、自分だけ車中旅を続ける人もいるのだという。

11月24日 能代市にある房住山(409m)縦走。メンバーは8人。車4台に分乗。縦走は登り口と下り口に車を各2台ずつ待機させておく必要がある。歩き出すと思った以上に気温が高く青空まで見えだした。正味5時間ほど歩きとおしてゴール。この山の面白さは登りに「ババ落とし」と言われるかなり急峻な登りがあり、山頂をこえると今度は「ジジ落とし」(我々が勝手に命名)と呼ばれる、ロープが張り巡らせた足のすくむ下りがある。下りが山のハイライトという山も珍しい。

11月25日 一晩寝ても昨日の山の筋肉痛がない。「山の歩き方」を変えたのが功を奏しているようだ。最後尾を自分のペースでゆっくり歩く。「足の疲れを歩きながらとる」というイメージで歩いている。ストックの持ち方も変えた。手の位置でストックの長さを自由に変えることにした。急峻な登りの度にストックの長さを調節する必要がなく、手の位置で適宜の長さを確保できる。山を下りてからの温泉も「烏の行水」状態から脱却。長く湯に浸かってものぼせないようになった。何事も慣れですな。

11月26日 忘年会のシーズンだ。毎年6つくらいはお誘いがあるのだが今年は3つほどに絞った。メンバーは最低4人から多いところで15人。山の「靴納め」もこの時期だ。年々お誘いも少なくなり、外に出る気力も減退し、飲み会のお誘いも師走も関係のない領域に突入していくのだろうが、まだ忘年会のお誘いがあることだけでもありがたい。普段は一人で事務所にこもって仕事をしているのが常態なので、たまに外に出て酒が入ると、にわかに饒舌になり、大騒ぎして呑みすぎる。翌日は立ち直れないほどの二日酔いと自己嫌悪で……もうこんなバカは繰り返しちゃあいけない年なのだが、今年も無理だろうな。

11月27日 山歩きの仲間たち(モモヒキーズ)の納会が近づいてきた。午前中に太平山前岳に登り、夕方から市内の居酒屋で宴会。今年の山歩きを振り返り、来年の計画を話し合う。。納会ではプレゼント交換もある。金額は1500円程度で「口に入るもの 入れられるもの」に限定されている。家にある高価だけども不要なもので代替できないのがミソ。毎年けっこう考えて結局は凡庸なものに落ち着くのだが、そのたびにオレってユーモアのセンスゼロ、と落ち込む。ところが今年は「いけるかも」という食品をこの時期に早くも思いついた。何年か前、小さな携帯保温ジャーが当たった。これ食品じゃないと思ったが、「口に入れるもの」というシバリはかろうじてクリアーしている。このジャーは今も山歩きに重宝している。

1月28日 山菜の瓶詰をよくいただく。昨夜はそのひとつを開けてサラダをつくろうとしたのだが、ふたを開けられなかった。腕の筋力が衰えているせいだ。脚力は人並みに自信があるのだが、腕力は間違いなく衰えている。昨晩、アマゾンのベレンに住む友人にライン(ワッツアップ)で連絡。用件は済んだのだが、こんなに簡単に地球の反対側とコミュニケーションが取れることに驚いてしまった。地球の反対側に電話してもタダで、必要なデータも無料で瞬時に送れる。世界の狭さと実際にフライトに要する時間や費用を考えると、現地に行く意味はほとんどないことに気が付いた。

11月29日 テレビでニューヨークのベーグルの食べ歩くき番組を見た。ベーグルとパンの違いが初めてわかった。最近パンのおいしさに目覚めた。朝も昼もよくパンを食べる。ベーグルも食べたくなったが、原料がそもそもパンと違うのだった。強力粉なので低炭水化物、しかも卵やバターを使っていない。こねてリング状に成型し「ゆでて」からオーブンで焼く。この「ゆでる」というのがベーグルの最大の特徴だ。パンに比べて表面が硬くて中がもっちり、なにより乳脂肪をまったく使わない。ヘルシーなのだ。近所のスーパーに入っているベーグル店なるものは砂糖菓子屋なので、そばに近寄ることもしなかったが、今度入ってみよう。
(あ)

No.979

もたない男
(新潮文庫)
中崎タツヤ

 うまく形容し難いのだがヘンな本には違いない。異才の人気漫画家が自分の異常な「断捨離ぶり」を語ったエッセイだ。漫画をほとんど読まないので著者のことはまるで知らない。でも本書を読めば、間違いなく本業の漫画も読みたくなる。その無茶苦茶な「断捨離ぶり」は、いま流行のミニマリストなぞ足元にも及ばない。「狂気」をはらんでいる。命と金と妻以外は何でも捨ててやる、というのだから笑うしかない。そんな捨て魔なのに人一倍物欲もあり買い物も好き、といったあたりの複雑さがほとんど漫画になっている。毎日毎日、何か捨てるものがないかを考え続け、最後はインクの減ったボールペンの軸まで削ってしまう。4台も持っていたオートバイはフェンダーを捨て雨の日に泥まみれになり、けっかオートバイそのものを捨ててしまう。ソファーは燃やし、印刷済みの生原稿はシュレッダーにかける。カーテンも本棚も財布も母親からの手紙もいらない。信じがたいのだが自分の出した本すら所有していないというのだから、極端ここに極まれりだ。この人の代表作は『じみへん』という漫画だ。本書が面白かったので、この漫画も読んでみた。山登りもする人のようで、登山に関連した漫画が抜群に面白かった。

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