Vol.1027 20年9月5日 週刊あんばい一本勝負 No.1019


整骨院通いの日々

8月29日 上腕部の痛みが始まってから食欲も落ちた。でも食べなければこの暑さを乗り切る体力が生まれない。そんななか強い味方が現れた。青森の印刷所から嶽キミが送られてきたのだ。ずっと毎日夕食はトウモロコシだ。大好きなので、これさえあれば何もいらない。1本まるまる食べると腹はけっこうくちくなる。おまけにどんな酒にも合うつまみになる。

8月30日 とつぜん漠とした不安や焦燥に駆られ、眠いはずなのに目がさえわたり、脳はかってにフル回転。こんな夜は本を読んで時間をうっちゃるしかない。南木佳士『トラや』(文春文庫)を読んだのだが、こうした既視感のある世界のほうが穏やかな眠りの導入剤になる。面白くて異次元の世界が開けてしまう新鮮な物語は逆にまずいのだ。

8月31日 明日からは9月。夜の風にはもう秋の冷気がかすかに混じっている。まだ上腕部の痛みが残っているので、何をやっても中途半端でイライラが募って集中できない日々が続いている。昨夜はノルウエイ映画『ハロルドが笑う その日まで』を観た。小さな家具店のオヤジが、その倒産の原因を作ったIKEAの創業者を誘拐するという荒唐無稽なコメディ。北欧の荒涼とした雪景色が寒々しく、画面を見ながら、ああこの冬景色が秋田にもめぐってくるんだ、と感傷的な気分になってしまった。

9月1日 初めての秋田出身の、しかも小生と同じ高校の先輩が総理になりそうで、こちらの周辺もなんとなくきな臭い。加えて、うちでマンガ本エッセイを何冊も出版してきたSさんも革新政党から国政選挙に出るようで、そちらの問い合わせもかまびすしい。でもどちらの「事件」にもあまり興味ない。政治的な話題で興味引くのは、今年の鹿児島県知事選で落選したミタゾノ何とか言う男のこと。ニュース番組のレポーター(コメンテーター)で人気が出たテレビ局社員だが、それをいいことに退職(定年?)し、脱原発、反政府市民派として鹿児島知事選に出て当選したが4年後、この男は原発推進派に転向し、自民党の支援を受け、ちゃっかり2選目を目指していた。鹿児島県人はよくこんな男を選んだものだが、この男の典型的なこズルい生き方を地元紙などでレポートがあれば、読みたいなあ。

9月2日 鍼灸治療を続けている。いまも身体の中に絆創膏でとめた小さな針が首筋に5本貼られている。針も灸もこれまでほぼ無縁だったのだが、慣れてしまうとこれがないと「身体がしゃんとしない」なんて年寄臭いことを言い出すのかもしれない。通院している整骨院はプロのスポーツ選手たちの専門治療院のようなところで何人もの先生がいる。選手たちの遠征についていくのも彼らの大事な仕事なので、特定の先生を指名するのがなかなか難しい。

9月3日 コロナの前と後で何か自分の行動規範や生活様式に変化はあったのだろうか。毎朝飲んでいた胃腸薬と便秘薬をやめた。20年以上習慣にしてきたことだからやめるのも勇気がいる。さらにランチの定番(りんごとカンテン)もやめ、毎日メニューを変えながらめん類を自分で作って食べるようになった。他にも料理をする時間がやたらと増えて、外食がほぼゼロに近くなった。飲食に関する話ばかりだが、酒が弱くなり、あまり飲みたいとも思わなくなった。毎朝のルーチンである体重を計る習慣もやめた。

9月4日 すごい雷だった。雨が降り出したのは夜の11時ころ。隣の事務所に寝巻のまま飛んでいき、しっかりと窓を閉めて寝床に入った。しかし寝室には大きな窓が2カ所あるため、ここから容赦なく雷光が花火のように飛び込んでくる。ピカッとくるたびに肝を冷やし、ドドンという地鳴りの雷鳴にビビりまくり。ひとつ重大な見落としがあった。駐車場の車のドアが開いていたのだ。今朝見てみると車中までけっこう雨が入り込んでいてシートもぐっしょり。外国の人から見たら、路上脇の駐車場の車にカギもかけず、窓も開けっぱなし、ということじたいが信じがたい暴挙、と言われるに違いない。
(あ)

No.1019

一晩置いたカレーはなぜおいしいのか
(家の光協会)
稲垣栄洋

 市販のルーの箱書きレシピ通りにカレーをつくれば美味しくできる、と信じて、ここ数カ月、何度かカレー作りにチャレンジしてきた。でもうまくできない。ルーを変えてみたり、具材の量を調整してもおいしくならない。どこに原因があるのだろう。昔からよく言われる一晩置いたカレーが美味しいのは、ジャガイモのでんぷんが溶け出し、片栗粉の役割でカレーにとろみがつくためだ。ようするに結果として辛さがマイルドになるのだ。これは科学的にも証明されていることだが、それをそのまま書名にした本があるのは知らなかった。さっそく読んでみると、この本は9章からなる身近な料理や食材の謎を科学的に解き明かす真面目な本だった。カレーは9つのうちの一つにすぎなかったのである。ちなみにの他の項目を要約すると、野菜サラダ、朝ごはん、チャーハン、お好み焼き、そば、お寿司、フルーツパフェショートケーキといった具合だ。それぞれが科学的、植物学的視点で、なぜそうなのかを理路整然と解いている。カレーの項でもわかるように、それぞれに奇抜で興味引く題名が付いている。

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