Vol.113 02年10月26日号 週刊あんばい一本勝負 No.110


茅葺き民家の再生現場訪ねて

 秋田県の県北部にある峰浜村手這坂集落の茅葺き民家を訪ねてきました。この集落には文化財でもなんでもない普通の無人茅葺き民家が4軒あり、その保全に秋田県立大学短期部の山崎光博教授を先頭にそこの学生たちが「公的補助に依存しない」で取り組んでいる地域です。小舎のHPでも山崎先生の連載が進行中ですが、その昔、江戸の紀行家・菅江真澄が「桃源郷」と呼び、美しい桃の花が咲き乱れる風景画を残しています。

これだけしかない集落だが、
再生にはいくつもの関門がある
 私が訪ねた日曜日には近くの田んぼで脱穀の真っ最中で、秋田県の県庁職員が草刈ボランティアをしていました。藁葺き民家4軒中、2軒の修復がはじまっていますが本番はこれから、というところです。この「手這坂活用研究会」の2年目の活動終了を記念して11月4日(月)には「手這坂桃源郷まつり」というイベントがひらかれます。集落の4軒の民家を使って餅つきや講演、猿倉人形芝居やシタールの演奏、蕎麦を打ったりパンを焼いたり、盛りだくさんの内容です。県内のお祭りやイベントにはほとんど関心はないのですが、ここは行く価値ありです。
(あ)

「アキタゴールド」はおいしいリンゴだけどなあ…

 秋田県立大学短期大学部(大潟村にある)の大学祭「秋輝祭」に出かけてきました。「種苗交換会」もそうですが農業(食)に関したイベントが大好きなので興味津々、学内を回ってきました。中で特に目を引いたのがリンゴの品種改良を勉強している研究室のブースで、ここではさまざまなリンゴの試食が可能なのですが、ここで一番うまかった(硬めで歯ざわりがシャリシャリして酸味が強いがおいしさが口に残り)「アキタゴールド」という品種が、これがなんと出荷してからタネにカビが生える性質があることがわかり出荷停止になったのだそうです。

これが試食リンゴ
 もちろん毒性のあるカビではないのですが消費者が嫌うという理由で商品価値はゼロ、の烙印を押されてしまったものです。いわば「幻のリンゴ」に終わる可能性が高いのですが、おいしさからいうと本当にピカイチです。食べたい人は短大まで行って食べてください。
(あ)

北前船ブックフェア

 今週はじめから東京の池袋西武にある池袋リブロブックセンター3階で、「北前船ブックフェア」が開かれています。無明舎の『北前船』刊行にあわせて始まったもので、北前船だけではなく「日本海」をキーワードにした企画です。担当の竹本ちひろさんのお話しでは「人文系の売り場ですが『日本海側から日本を見てみよう』ということで、歴史の専門書よりも一般の人にも分かりやすい本を選んでみました」ということでした。

フェアの場所は歴史書コーナーの近くです
 北前船に関する本以外に伊能忠敬や、中世に北の日本海で勢力を誇った安東氏、環日本海交流などの本が並んでいます。『北前船』で撮影した写真をもとに作ったミニパネルも展示されています。11月一杯開催されておりますので、興味のある方は是非足を運んでみてください。
(鐙)

神保町研修報告

 二泊三日で東京に研修に行ってきました。神田神保町の書店「書肆アクセス」の畠中店長を訪ね、なぜ神保町が本の街と言われるのか、またそうなった経緯、百軒以上の古書店や数十軒の書店が営業できている理由など、神保町や書店、本にまつわるお話をいろいろうかがってきました。古本屋巡りをしている最中、昔読んだことのある本を見つけて懐かしくなったり、店頭にある百円均一のワゴンの中に好きな作家の文庫本を見つけて興奮したり…。畠中さんの著書『神保町「書肆アクセス」半畳日記』に出てくる本物の半畳の事務所や、本に書いてあった店内の手作りリフォームの痕跡を発見してまた喜んだり。本の街は図書館のように静かな街かと思っていましたが、実際はとてもエキサイティングな街で、あの街に毎日通える人がうらやましくなりました。

アクセスの店内
 他には池袋の書店で開催している「北前船ブックフェア」の担当者に挨拶をして写真を撮ったり、ついでに南米から研修で秋田に来ているジュリアーナとファビアーナのリクエストを理由に東京ディズニーランドと東京ディズニーシーも楽しんできました。
(富)

No.110

英語で日記を書いてみる(ベレ出版)
石原真弓

 9月の13日から1日も休まず英語日記をつけている。最初は博文館の「5年連用日記」を買い、こまごまとした日常を記録しようと思ったのだが3日坊主が目に見えている。毎日体重や食べたものをひたすら記録するだけの実用日記も考えたが単調で、これも帯に短し襷に長し、そのまま日記帳をうっちゃっていた。それがある日、新聞広告でこの本の広告を見て「これだ!」と直感。英語で書けば日常生活や体重や食べたものといったごく平々凡々とした日常の細切れ記録でも、書くこと自体がスルルングで緊張感があり、難易度が高いので挑戦する価値がある、と思い立ったのである。障害があれば長続きする、この逆説はかなりの確率で正しいことを小生は自分の体験というか、経験則から知っている。日記だと長続きしないが英語で書かなければならないというハンディがあれば逆に続けられる可能性が大きいと踏んだのである。著者の写真がカバー袖に載っていて、その写真を見ていればあまりのケバさに買うのをやめたかもしれないが、それはネット書店ユーザーの悲しさである。『ゼロから始める英語日記』(ジュミック今井著・三修社)のほうが初心者用の本としてはよかったかもしれない。

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