Vol.1196 2023年12月2日 | 週刊あんばい一本勝負 No.1188 |
初雪が降った | |
11月25日 洗濯ほし場から裏庭に降りると満天星の赤に白い雪帽子がかぶさっていた。おまけに空は青空。赤と白と青の自然の見事なコントラストにため息。この色合いの美しさは時代劇映画のセットのようだ。昨日のこのブログを見た方から、ラジオの雑音の取り除き方についてアドヴァイスをいただいた。その通りにしたら見事に雑音は消えた。これも実に気分がいい。幼児的な疑問に丁寧に答えていただいた気持ちに感謝。 11月26日 今週の本棚の写真については説明が必要だ。これは小生の自宅書斎の本棚。コロナ禍前、思うことあってそれまでの所蔵本を取っ払い、この半世紀に無明舎で作ってきた本だけの「専用保存棚」にした。仕事で作った自舎コレクションである。たぶん小生の死後も引き継いでもらえる本棚かもしれない。ちなみに読んだ本は片っ端から人にやるか、古本屋に売っぱらう。ブラジルの友人に送ったり、手元に「蔵書」は一切おかない主義だ。「本のない生活」があこがれだ。 11月27日 初めてシェイクスピアを読んだ。デンマークの物語だがノルウエイやイギリスとの複雑な関係まではよくわからない。この本が書かれたのは1601年、関ケ原の徳川家康の時代だ。昔からこのあたりのスカンジナビアには「ハムレット伝説」のようなものがあり、それをシェイクスピアが脚色したとも言われている。まあ「日本むかし話」の系譜かな。言葉によって世界を切り分ける「言葉のオリンピックだなこれは」というのが第一印象だ。語彙の豊富な人には世界が色彩豊かに美しく見えている。世界中の人が読み継いで、いまも残っている世界が、これなんだ。なるほど。 11月28日 うっとうしい雨が続いている。毎日ちょっとずつだが原稿を書いている。これが励みになっている。書き終えると虚脱感が心配だが、たぶんまた次のハードルが待っている。結局、人生はその繰り返しだ。立ち止まらなければ落ち込むことも絶望もない。そのことを知っただけでも収穫だ。1カ月にわたった玄関リフォーム工事も後数日で終わりそうだ。雨のあいまを縫ってコツコツ作業をしてくれた職人さんには感謝しかない。 11月29日 近所の医院で健康チェック。血圧は132−88.低い方が少し高い、と言われた。来年は後期高齢者。この年までなんとか仕事をしてこられたのは、ひとえに「大病をしなかったこと」につきる。毎日、青汁に溶いた50CCの黒酢を飲んでいる。酢を食す習慣がないので飲むようにしている。よほどのことがない限り散歩だけは欠かさない。この2つが「健康のため」にやっていること。酒をあまり飲まないようになったのは意識してそうなったのではなく、自然に「飲めなく」なってしまったから。 11月30日 粉雪が舞っている。ときおり大粒の横殴りの雪に変わる。仕事場の2階から見下ろせる屋根はみんな綿帽子をかぶっている。今日で11月も終わり。昨日、駅ナカにあるロフトで来年の手帳やカレンダー類をまとめ買い。必要経費だ。カレンダーは年々余白が多くなっていくばかりだ。 12月1日 NHKのTV番組『映像の世紀――バタフライエフェクト』には世話になりっぱなしだ。苦手なヨーロッパ近代史を知る教科書として、これ以上のものはない。先日も「イギリス王室の百年―大英帝国の栄光と贖罪」を見て興奮を隠せなかった。ヴィクトリア女王からエリザベス女王まで、イギリスは2人の女性によって、この100年間、運命を左右されてきた。老後は世界の名作文学を読んで過ごしたい、と思っていたので、この番組はいい勉強の場だ。先日の「パリは燃えているか」もよかったなあ。ヒットラーにピカソやシャネルを組み合わせるアイデアや構成力には脱帽。加古隆のテーマ曲も素晴らしい。ブラジルの蝶のはばたきはテキサスでトルネードを引き起こすのだ。 (あ)
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