Vol.1231 2024年8月3日 週刊あんばい一本勝負 No.1223

白馬で夏休みを満喫

7月27日 1年前7月、あの集中豪雨があった。秋田で長く生きてきたものにとって「特別な大事件」のひとつだった。7月末には個人的には大事件がもうひとつあった。太りすぎが気になっていたのだが、猛烈な腰痛で歩けなくなった。急いで近所の病院に駆け込むと「初期の脊柱菅狭窄症で加齢によるもの」と診断された。そこでダイエットも兼ね、このころから散歩の途中に入念にストレッチ、上半身の柔軟性を意識して体を動かすようにした。ストレッチを始めると間もなく、腰痛はピタリと収まった。ちなみに1年後の現在、体重は2キロほど落ち、ストレッチは続いていて、体調はすこぶるいい。もちろん腰痛は、まったくない。

7月28日 外に出た途端、まといつくように湿気が身体を包み込んだ。ブラジル・アマゾン河中流にある都市マナウスのホテルで猛烈な湿気にまといつかれ一睡もできなかった夜があったことを思い出した。その夜は雨季直前の日で扇風機を回しても風が暑くて役に立たなかった。この熱帯アマゾンと同じ体験を日本でするとは思わなかった。

7月29日 世界最強の登山家といわれる平出和也と中島健郎の二人がカラコラム山脈のK2で滑落した、というニュース。あの2人でも滑落する山があるのか。今日の朝日は1面トップだが、遭難場所があまりに危険な斜面にあり、ヘリが救助に向かえないというのだからすさまじい。昔、田中陽希のNHKの人気山番組で太平山に来た時、画面の端に平出の姿があった。2人はこうしたTVの人気山番組の裏方として生計を立てながら、このK2西壁という最難関ルート登頂に賭けていたようだ。奇跡的に救出というニュースを、いまは待つしかない。

7月30日 今日から夏休み。朝6時に家を出て、いま長野県白馬のペンションに到着した。新潟県を抜けたとたん大雨、まいったね。明日から2日までこの辺の低山ハイキング。思っていた以上にわがボロ車が快調で、新車のような軽快な走りにちょっと驚いています。山の中のペンションに宿泊していますが、まわりには見慣れた杉林はどこにもなくカラマツの美しい林。ここでしばしリフレッシュです。Wi-Fiも問題なくつながり、雨が上がってくれることだけを願っています。

7月31日 白馬2日目。宿に帰って夕食をとるともうグッタリなのは歳のせいか。なかなかこの日誌を書く余力がない。山の中を歩きながら感じるのは秋田と違って登山者のファッションがカラフルなこと。秋田はもうほとんどがモンベル一色で、洒落にもならないが、こっちはほとんど見たことのないようなアウトドア・ブランドの服を着ている人が多く、それを見ているだけで十分楽しめる。若い人や外国人、親子連れも多い。半そで短パンの家族連れはほとんどが台湾の人たちのようだ。ハイキングとはいえ標高2000メートルの山での軽装だから、ちょっと心配だ。山頂の温度は16℃。今日一日で花の名前を多く覚えた。でも多分すぐ忘れてしまう。カメラで撮った画像を繰り返し見て、忘れないように心がけるつもりだ。まだ9時前だがおやすみなさい。

8月1日 白馬3日目。いろんなところを歩いいたが、なによりもベースにしているペンション「500マイル」の朝晩の食事が素晴らしい。メニューはどこにでもあるようなハンバーグや洋食系がメインだが、味は一級品。下手なレストランなど行く気がしなくなる。今日の夕食は私が持ち込んだ稲庭うどん。それを夕食メニューにうまく取り込んでいただいた。明日がここの最後か。あっという間に3泊4日の夏休みはだ。

8月2日 白馬4日目。朝5時起きの近所散策はパス。朝10時にお世話になったペンションを出て一路、今日の宿泊先である酒田市へ。同乗していたガイドのSさんが運転をしてくれていたのだが、新潟から山形に入ったとたん、ネズミ捕りにスピード違反で捕まってしまった。酒田市のホテルにチェックインする前、ホテル近くのコインランドリーで洗濯と乾燥を済ませてしまう。明日は家に帰ってすぐに仕事に入る予定だから、面倒なことは片づけてしまいたい。山行後の後始末というのは、けっこう時間も労力も食われる。ホテルにチェックインするも、もう明日の仕事のことを考えている自分が恨めしい。
(あ)

No.1223

西郷札
(新潮文庫)
松本清張
 松本清張の本はほとんど読んだことがない。ミステリーというのがあまり好きではないのだ。でも自分の好き嫌いで本を選ぶのはやめよう、というのが最近の読書テーマだ。本書は初期の歴史小説12編を収めた「傑作短編集(3)」とサブタイトルのついた文庫本だ。幕末から明治にかけての作品が6篇、徳川時代の初期を題材にしたものが6編で構成されている。「或る「小倉日記」伝」で芥川賞を受賞後の2,3年の間に書かれたものを集めたものだ。書名にもなっている「西郷札」は、西南戦争の時の不換紙幣を軸として、人力車夫になった主人公と義妹、その夫の高級官吏が織りなす、ロマネスクな筋立てで、最も読みごたえがある作品だ。「戦国権謀」という短編は、秋田(横手)に配流された本多正純の物語だ。幽閉当時は外出も自由だった正純が一転、虜囚状態になるのは、お見舞いに来た佐竹義宜に「当時は佐竹には40万石相当の領土を神君(家康)は与えるつもりだったが、私がいやいや半分でいい、と進言して決まったもの」と少々自慢気に語ったことが、時の将軍・秀忠の耳に入り、「配流の身で天下の仕置きのことを口に出すなど不届き至極」と激怒されたのが原因だ。佐竹が20万石を安堵された経緯が、松本清張という人気作家によって作品になっているとは知らなかった。

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