Vol.1228 2024年7月13日 週刊あんばい一本勝負 No.1220

梅雨はやっぱり鬱陶しい

7月6日 今日はオーパス・リフト口から中岳まで目指す。山の中は蒸し暑く、草木も山道も前日の雨で濡れそぼっていた。女人堂近くで山仲間のSさんと久しぶりに会う。下山中(金山滝)だったが、女人堂まで一緒に登り返してくれた。彼はいつも半袖シャツで登るのがトレードマークだが、むき出しの腕にヒルの血跡がくっきり。この山だけは地肌の露出は危険だ。前岳でランチを取り、雲行きを見て中岳はあきらめることにした。登山口に戻ってきてアイゼンを取ると、そこにヒルがひっついていた。間一髪だった。衣類が泥まみれになると、家のルールで洗濯機に入れるのは禁止なのだが、今日はギリギリセーフ。

7月7日 昨日のリフト登山口駐車場には一台の車もとまっていなかった。半分近く登ったところで登山道にものすごい数のキノコを見つけた。笠の上に黒い筋がある。山仲間たちが狂ったように採る「サワモタシ(ナラタケ)」にそっくりだが、サワモタシなら私ごときが発見する前にとっくに採り尽くされているはず。やはり毒キノコなのだろうか。心乱れながら下山後、写真でSシェフに確認すると「間違いなくナラタケ、なんともったいない」と怒られてしまった。よく考えると、あの登山コースには私が一番乗りだ。だから私の前に登山者がいれば、あのキノコは当然採り尽くされていたわけだ。

7月8日 この1カ月間、右肩に鈍痛があった。原因は不明だ。ところが先日、登山口で登山用グローブ(指だし)を付けようとしたら、右手袋だけボロボロに穴が開いていることに気がついた。ストックで登るのでグローブは必携なのだが右手だけが酷使されていた。ストックの使い方の偏りが、もしかして右肩痛を生じさせていたのではないのだろうか。原因がわかると気持ちが楽になり痛みも薄らいでいくから不思議だ。

7月9日 雨音の激しさを聴きながら、これが梅雨か、とあらためて思う。ここ数日よく眠れない。どうやらこれは梅雨の「湿度」と関係がありそうだ。科学的な根拠はともかく、天気が悪くなると寝つきが悪くなる。湿気が身体のコントロール能力を奪うからではないのだろうか。睡眠時にクーラーをつけっぱなしにする、という経験はないが、除湿をするという選択肢もなかった。夜はクーラーではなく除湿のほうが睡眠には有効なのではないか。

7月10日 棚から適当に抜き出したCDを聴いていたら、けっこう勇壮な曲でビックリ。ヤナーチェクの狂詩曲「タラス・ブーリバ」という曲だった。勇敢なウクライナのコサック隊長を主人公にした曲だ。昔憧れていたアウトドア用品「タラスブルバ」の基になった言葉だ。いまはユニクロやモンベルがアウトドア衣類の主力だが、昔はタラスブルバが圧倒的にかっこいい、イケてるアウトドア・ブランドだった。そういえば50代にずっと好きだったブランド・インターメッツオ(レナウン)もブラームスの曲名だ。イタリア語で「間奏曲」といった意味らしいが、衣服のブランド名とクラッシック音楽は相性がいいのかもしれない。タラスブルバはアシックスが長く展開していたが、いまは販売停止のようだ。

7月11日 火曜日(2日前)に友人と新屋(秋田市西部)方面に車を走らせたとき、途中で見た雄物川の水位が思った以上に高いのに驚いた。心配になって近所の太平川を見てきた。やはり水位は高い。太平川の土手を500mほど歩いてみた。土手横に住む住民が心配そうに外に出て川を眺めていた。「雪で苦しめられているから、そのほかの自然災害はほとんどありません」と胸張って他県の人に自慢していたのは、もう過去の話だ。線状降水帯には豪雪も形無しだ。去年の被害から広面地区は今もまだ道路の改修工事が続いている。今日一日だけでも雨がやんでくれれば、大事にはならないのだが……。

7月12日 間一髪、昨日は雨が降らなかった。降っていれば、けっこう大変なことになっていたはずだ。これからは暑さとの闘いが待っている。生れてから一度も「一晩中クーラーをつけっぱなしで寝る」という経験をしたことがない。世界的な異常気象の中、雪国といえども、これから何があるかは予測できない。そういえば「半ズボンで街に出たことがない」というのもある。これはまあ私個人の流儀なので、さしたる意味はない。
(あ)

No.1220

バカ老人たちよ!
(夕日新書)
勢古浩爾
 この10月で、はれて後期高齢者の仲間入りだ。今のところ体調はどこも悪くはない。服んでいる薬も逆流性食道炎のものだけで、他は「野放し」状態だ。この「健全」な状態は逆に心配でもある。そんなことあるはずない、どこかに落とし穴が……と疑心暗鬼、人生はあざなえる縄の如しだ。朝起きて思うのは、「こんな状態は長く続くはずはない」というネガティブな感情だ。本書は同年代の著者による定番のシリーズだ。相変わらずの勢古節に、スラスラと読了した。オビ文がいい。「いくつになってもつける薬なし?」「ひとのバカ見てわがバカ直そう」とある。本書のモチーフは「殷鑑遠からず」だ。殷鑑とは遠くではなく目の前に戒めがある、という意味の言葉だ。本の中で最高峰のバカ老人として挙げられているのが黒岩祐治神奈川県知事だ。あの不倫メールを週刊誌に暴露されたカッコつけゲス男だ。毎月のように高齢者の味方のような本を出し続ける精神科医・和田秀樹にも辛らつだ。「人生100年時代」に乗っかり、助言ではなく「煽り」で、無理くり稼ぎまくっているだけ。全く同感だ。同じく医師の帯津良一も「人がよさそうだが調子が良すぎる」と一刀両断、勢古節は健在だ。勢古の神髄は「ただ生きる」こと。これで充分ではないかというのが彼の言い分だ。

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