Vol.286 06年3月4日 | ![]() |
一本の映画にすくわれて | |
先週に引き続き今週も土日は全員出社、事務所には静かな緊張が流れている。検査入院中のAも一時退院(再来週あたりに再入院予定)、戦列に加わっている。3月中はこんな状態が続くのだろうか。しんどいなあ。このごろは夜の仕事はめったにしなくなった。できるだけ本を読んだり、ビデオ映画を観たり、仕事をしないように「努力」している。根詰めて仕事をすると身体に変調をきたす恐れがあるからだ。しかし大問題がある。最近とんと面白い本や映画に出会えない。選ぶこちら側の感度に問題があるのは確かだが、それにしても期待して買った本や借りてきた映画がまるでダメ。せっかくの夜の時間をムダにしたようで切ない。逆にいい本や映画に出会うと、なにものにも変えがたい至福の時間を神様からもらったような気分になる。まさに天国と地獄である。このところもっぱら地獄の周辺をウロウロしているのだが、週末に観たカナダ映画『おおいなる休暇』で少々溜飲を下げた。これはおもしろい映画だった。ほとんど何も期待せずに〈ミニシアター〉(まあ昔で言うアンダーグランドぐらいの意味だろうか)コーナーで選んだものである。実はカナダ映画ということも知らずに観だしたのだが、台詞はフランス語(かなり英語なまりのある)だったが、フランス映画にしては画像はアメリカっぽい(原色が強い)し、映像もダークな繊細さより突き抜けた明快さが勝っている。HPの映画情報で調べると最近のカナダのヒット映画であることが判明。なるほど。映画のテーマがユニークだ。スローフードや地域おこしの現実をあざ笑うコメディで、ユーモアのセンスも小生好み。過疎で年金暮らしの老人ばかりが住む島民と、そこに赴任することになる若き医師のドタバタ劇なのだが自然保護やエコロジー、定年帰村から社会保障の現実を、コメディでみごとに相対化している。この1本で何とか救われた週だった。
(あ) |
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