Vol.302 06年6月24日 | ![]() |
無気力な1週間 | |
もう30年以上こんな仕事をしているのに、この1週間はかなり特別な「日常」になってしまった。毎日ラーメンを作るようにルーティンワークを規則正しくこなすのが好きだ。単調で退屈そうだが、単調こそ持続と発展の礎、と信じているし、仕事は退屈の中によろこびを自分でつくりあげるもの。事務所に来て家に帰るまで、いや帰ってからの行動まで秒単位で同じ毎日を繰り返すのが苦痛どころか快楽に感じてしまうタイプなのである。ところがこの1週間、まったくそのルーティンワークをやる気が起きなかった。これはかなり珍奇で、とまどう展開である。ちょうど忙しさから抜けた仕事の空白帯だったのが直接的な理由だろうが、過去にもこんな時期はいくらでもあった。そんなときは自分で仕事を作り上げ、そこに集中するのが常だったのだが、その気も起きない。まったくどうしてしまったのだろう。事務所に行く気が起きず、そのまま朝から書斎にこもって昨晩の続きの本を読んだり、レンタルビデオの映画を見てしまう。まるで引きこもりだ。歴史が繰り返すというのは嘘。同じように自分の日常も年とともにまったく新しい領域に足を踏み入れつつあるのかも。仕事三昧の日常を見直す時期に来ているのかもしれない。ちなみに家では高野秀行の文庫を何冊も買い込み読んでいた。高野の本はあらかた読んだので、この次は山田稔の本を集中的に読破するつもり。映画は森繁の「社長シリーズ」と「駅前シリーズ」を10本ほど。この時代の役者のうまいこと。三木、小林、フランキー……淡路、池内、司といった女優もきれい。中学生の頃から「若大将シリーズ」より「社長シリーズ」のほうが好きだった。たぶんこの女優人のきれいさが原因なのかも。今週からは元のペースに戻りたい。 (あ)
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