Vol.298 06年5月27日 週刊あんばい一本勝負 No.294


ISOをやめることにしました

 環境マネージメントシステムのISO14001を取得してから早いもので3年の月日がたちました。この間年2回のサーベイランスがあり、その審査をクリアーするために事前の準備などに膨大な労力と時間を使ってきました。そうした費用はバカになりませんし、なによりも細かな数字とのにらめっこはヘトヘトに疲れる作業でした。半年毎の審査のたびに思っていたのですが、審査する人たちはどれほど真剣にその会社の内情を知り、そこにとってベターなアドヴァイスや指導をしているのか、という疑問がわいてきました。飛行機で前日にやってきて、その日の最終便であわただしく2名の審査員は帰っていくのですが、いつも指摘される「不備」は、瑣末な手続き上の問題や数字だけ。さらに取得の中心メンバーで、ISO取得の立役者の担当責任者・Sがこの間結婚、出産。不定期な形でしか関われなくなったのも大きな誤算でした。理系の頭脳を持つ彼女でしかできない作業が多くあったからです。
 最近、仙台市がISOをやめることを宣言しました。これは「仙台市独自のマニュアルよりもISOの環境基準が甘い。だから取得しても費用がかかるだけで意味がない」という背景があるようです。小舎も実は似たようなもので他の事業所に比べればもともと環境負荷は低く、だまっていてもISOの基準よりも厳しい規則で仕事をしています。「厳しい規則」というより「あたりまえのこと」として日常的にISO基準はほとんどクリアーしているのです。
 このような理由もあり、これ以上、取得認証にこだわっても何のメリットもないと判断しました。取得をやめたことで何かしらの不利益や問題が生じるようなことがあれば、今後、そのこともレポートしたいとおもっています。とりあえずは今後、あの煩雑な書類整備に煩わされることがないかと思うと、ホッとしている今日この頃です。
(あ)

No.294

反社会学の不埒な研究報告(二見書房)
パオロ・マッツァリーノ

よくわからない本だ。よくわからないが面白い。テーマも決まっていないし、言いたいことが何なのかもよくわからない。それでもぐいぐい引き込まれ、笑ったり、怒ったり、深刻に考え始めたりしているうちに、すんなりと読み終えてしまう。たぶん博学で天邪鬼などこかの大学の研究者か、辣腕の雑学強記のシャーナリストがその正体なのだろう。こんなふざけたペンネームでいろんな雑誌に書き溜めたコラムをまとめたものの、テーマの一貫性がなにもないのが、逆にアナーキーで知的エンターテイメントになっている。お得意の統計奇談からラーメン、GDP、勲章の話、子供嫌いから「武士道」論、ビジネス書への罵詈雑言と、論評不可能な守備範囲である。2004年にイースト・プレスから人文書にしてお笑い本という『反社会学講座』という本でデビュー、これが話題になったため、これが第2弾らしい。そういえば『反社会学講座』という本、買ったけど結局読まずに人にあげちゃったような気が…。この手の本が好きなんですねジブン。とにかく博覧強記なはちゃめちゃな人物であることは間違いないようだ。出版の世界のことを論ずる場合も、ちゃんと業界紙の「新文化」に目を通しているあたりはサスガ。おふざけな語り口やテーマ構成とはうらはらに、その知識がおそろしい知的読書に支えられている。

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