Vol.294 06年4月29日 週刊あんばい一本勝負 No.290


初めての出張

 先週の金、土、日、と三日間、福島県に出張に行ってきました。最近は東京と秋田の往復ばかりだったので、それ以外の県にいくことが嬉しくて、出発前夜さっそくインターネットで、三日間の夕食の計画と、予約したホテル付近のおもしろそうな場所を調べ、胸躍らせて出発しました。
 今回の仕事の内容は、奥州街道の名所を巡り、写真をとり、各名所付近の交通状況を調べ、そのデータをもとに地図を作成するというもの。ミスをしないようにいつも以上に集中して緊張感をもちながら仕事に取り組んだので、一日目が終わると、もうくたくた。予定していたレストランにいくのもやめ、近くのコンビニで弁当を買い、明日こそは地元の名物料理をたべるぞ! と思いながらホテルの部屋で一人寂しく食事。

郡山市日和田にある高倉城址からの風景
 二日目は長い渋滞に巻き込まれたり、道に迷ったり、そこにあったはずの史跡がなんらかの理由で別の場所に移動されていたりと予想外の出来事が連続、予定終了時刻を過ぎてもその日のノルマをクリアできず、結局車中でコンビニ弁当を食べ、ホテルに到着して寝てしまいました。三日目は前日の分のやり残しもやらなければいけないので朝5時にはホテルを出発しました。その日の最終の新幹線で秋田に帰ることになっていたので、朝飯も昼飯も休憩もなしでぶっ通しで仕事。作業が全て終わったのが午後8時半、新幹線の発車時刻が午後9時なので滑り込みセーフ。疲れ果てておなかがすいてることも忘れ、眠ろうといていると後ろのほうから「お弁当はいかがですかぁ」の声。また弁当か! と思わず叫びたくなりましたが、コンビニ弁当よりはマシかと買ってしまいした。でも、福島の電車の中で仙台名物の牛タン弁当を食べている自分に思わず笑ってしまいました。今回の教訓は(あたりまえのことだけど)「出張はあくまでも仕事である」ということ。甘かった。
(も)

No.290

「美の国」日本をつくる(日経ビジネス人文庫)
川勝平太

 この著者の名前はよく農業関係の雑誌などで見つけて興味あったのだが、本を読むのははじめて。略歴には「専門は比較経済史」とあるが、帯文は「歴史家の視点で21世紀の日本人に必要な発想をあきらかにする」とある。のっけから田中角栄の「日本列島改造論」を今日的観点から総括するという論考からはじまるのには驚いた。あまりに有名でスキャンダラスな「改造論」だが、その中身は逆に知らない人が多いのではないだろうか。これは日本をひとつの都市圏にするという構想で、具体的に言えば「日本全体を1日の行動範囲におさめる」という実に豪快であっけらかんとした政治経済構想なのである。そのことを著者はある程度評価しながら論は進む。著者の持論はGDPによる「分州」である。西日本や首都圏のGDPは英国やフランスに匹敵すること、東北・北海道でさえカナダのそれと匹敵することをあげ、日本を「森の州(くに)」(東北・北海道)「山の州」(信州・中部)「野の州」(首都圏)「海の州」(西日本)と4つの国土軸に分ける。なるほど、最初に田中角栄の構想を披瀝した意味がここで鮮明になる。しかしGDP至上主義には田中が落ちた落とし穴もある。「生活は文化である。経済は文化に奉仕する。経済発展は文化を成熟させるためにある」ので、経済至上主義への回帰をいましめる。

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