Vol.291 06年4月8日 週刊あんばい一本勝負 No.287


ご冥福をお祈りします。

 私どもにとっては大きな存在意味を持っていた事務所前の田んぼにアパート群ができて、もう1年以上の月日が経ちます。目の前の田んぼで四季の移ろいを知り、その景色の美しさを肴にいっぱいやったのも、もうはるか昔のことのような気がします。この田んぼの1年間の成長記録を『石井さんちのおコメ』というタイトルで朝日新聞社が本にしてくれましたし、エディタースクールから出していただいた私のエッセイ集のタイトルも『田んぼの隣で本づくり』です。田んぼの持ち主の石井さんには、ここに引っ越してきてからなにかと世話になっているのですが、その石井さんがこの3月末、亡くなりました。去年まで元気に田んぼに出ていた姿をお見掛けしていたのですが、突然の訃報に驚いています。享年は77歳、胃がんだったそうです。最後に会ったのは去年の確か秋口だったとおもいます。田んぼに建ったアパートに引っ越してきた若者が、なんと路上に七輪を持ち出し焼肉をやりだし町内中が煙で大騒ぎになったことがありました。そのとき石井さんに来ていただいたのが最後でした。そのときの石井さんはいつもと代わらずお元気そうでしたが、焼香にいったとき、ご長男に聞くと、もう入退院を繰り返していた時期だったそうです。本当に四半世紀、お世話になりました。ご冥福をお祈りしています。ありがとうございました。合掌
(あ)

東京・日本橋で街道本フェアー

 東京日本橋にある越後屋ステーションにて「日本橋・諸国街道市」が開催されています(4月2日〜4月9日)。これは「名橋・日本橋保存会」と、"街道からにっぽんルネッサンス"をテーマに活動する「全国街道交流会議」が主催するものです。このイベントでは全国から集められた街道ゆかりの物産品の販売や、各地の地方出版社が刊行する街道関連書籍の販売などが行われました。わが舎は、この街道本の取りまとめや会場での設営・陳列などを担当させてもらいました。
 会場は江戸時代の呉服商であった三井越後屋を再現した建物で、オフィス街のどまん中にあります。街道本フェアーの会場では、用意していただいた3台のワゴンに全国各地の街道関連書籍100種・500点を陳列しました。お客さんの入りは上々で、年配の方を中心につねにワゴンの周りに人の姿が絶えませんでした。また、この日は同時に、自動車の通行規制が敷かれた日本橋橋上でも開会セレモニーや物産市太鼓の演奏などがありました。普段はひっきりなしに車が往来する橋の上にはたくさんの人があふれ、売り子の掛け声や太鼓のお囃子が響きわたりました。頭上の首都高速が作る大きな影が前日よりも明るく感じられるほどでした。
(鐙)

日本橋の橋上には屋台が並んだ

街道本フェアーの様子

No.287

グーグル完全活用本(創芸舎)
知的生きかた文庫

 グーグルがすごいのはわかるのだが使い方がよくわからない。昔からそうだった。初めてコンピュータを買ったとき、「検索機能だけでも元は取れるよ」と進められた。近い将来、書斎は必要なくなるし、自分用の図書館をこの小さな箱のなかで所有したも同じ、という夢物語を聞いて「ほんとかなあ」と思ったものだが、理系の頭がない分、信じるのに時間はかからなかった。確かに実際に使ってみるとインターネットの検索機能は「革命」といっていい出来事だったが、その機能を使いこなせるようになるまで時間がかかるのが大問題だった。辞書を使うように毎日当たり前のように使っていればコツもつかめるのだろうが、思い出したような頻度でしか使わない身には、けっこう面倒なツールなのである。その技術を教えてくれるのが本書である。ハウツー本なのだが、最初から文庫本にしたのがいい。読んでみると目からうろこのテクニックが満載なのだが、ここでも問題が一つ。とにかく日常的に使っていなければそのテクニックを忘れてしまい元の木阿弥なのだ。この本はいつも手元に置いておかないと役に立たない。ここで文庫にしたハンディさが生きてくる。出版企画を考える際、グーグルで検索できないようなテーマの本を出す必要がある。かならず出版テーマをグーグル検索にかけ、ヒット数が少ないのを確認してから出版を決めている。いまやコンピュータの検索機能はそれほどの意味をもつにいたったのである。

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