Vol.297 06年5月20日 週刊あんばい一本勝負 No.293


初心者マークと車嫌い

 運転免許を取ったばかりのアルバイトのMの車の助手席にのり、私の車に初心者マークを2つもつけて市内の取引先や重要立ち寄り箇所などを一緒に回った。初運転の車に乗るというのも勇気がいるものだが、なんと私より運転がずっとうまい。私が下手すぎる、ともいえるのだが、それでも運転暦25年以上だ。調子に乗って湯沢市まで遠出して、力量のほどをチェックしたのだが、高速もすいすい、結局何も教えることはなく居眠りしてしまった。帰りもわざと途中で高速を降り難しそうな市街地を走らせたのだが、これも難なくクリアー。張り合いがなくなり窓の景色をボーっと眺めていた。運動神経や反射神経が年齢差35歳では段違いなのは当たり前だが、もう少し下手なら教えがいもあるのに。夜はどしゃ降りで、これも初心者運転講習には絶好の「悪天候」だったが、こちらが同乗する前にさっさと一人で夜の闇へとスタート。怖くはないのだろうか。こちらは年々運転が嫌いになり、できるだけ徒歩かタクシー、電車を利用する日々だ。自分の車に1か月間一度も乗らなかったなど最近は珍しくもない。できれば車など要らないのだが、秋田で仕事をしているとそうはいかない。交通機関が貧弱だからタクシーに頼るしかない。だから著者との打ち合わせやアポ、原稿の受け渡しは、最大限わがままを言わせていただき、こちらが外に出かけなくてすむ、わが事務所を指定するのが、もう何十年来の定番になっいる。「外で会いましょう」などと言い出せない雰囲気を長い時間をかけて構築してきたのだ。ここまで来ると「車嫌い」も筋金入りでしょう。
(あ)

No.293

買い物おバカ日記(文藝春秋)
カリン・ボスナック

 これまた「ブログ本」の一種なのだが、なんと「インターネット物乞い」というまったく信じがたいウェブサイトを作った若い女性のお話。前半は、大都会ニューヨークで、いかに無茶な借金を作ったかの克明な実録レポートで、後半が2万ドルをこえるカード負債を抱えて破産、それをウェブで公開して見事立ち直るまでの2章構成になっている。前半のショッピング狂いぶりは、日本を代表する「中村うさぎ」のそれにくらべれば「かわいい」というか金額的には小市民的なものだが、活字で読むと彼女のどこかのネジが確実に緩んでいるのがわかる。狂ってはいないが(この程度の衣食住の贅沢は許容範囲だから)緩んでいるのだ。それが際限なく繰り返されると、これはやっぱり病気としか言いようがない。そして物語はここからが本番で、彼女はなんと破産、失業したあと「求む、2万ドル」という物乞いをインターネットで始めてしまうのである。これがアメリカはもとより世界中でヒット(英語圏でない日本はさすがに圏外だが)。マスコミが押しかけ、時の人になり、「フォレスト・ガンプ」のプロデューサーが映画化を申し出るまでのサクセスストーリーなのである。「ブリジット・ジョーンズの日記」より何倍も面白く、読み始めるとやめられなくなるのは確実。

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