Vol.365 07年9月8日 週刊あんばい一本勝負 No.361


靴のサイズを間違えて半世紀

 山登りの靴を履くようになって、自分の靴のサイズが、もの心ついてからずっと間違えていたことに気がついた。遅すぎる。
 普段に履くサイズは26・5センチ。スキー靴でも革靴でもウオーキングやエアロビ用の運動シューズも、試し履きしてから買うことはほとんどない。見た目とサイズで衝動買いが常で、履いているうちに足になじむもの、と信じて疑わなかったのだ。
 その雲行きが怪しくなったのは5年ほど前、エアロビクス・シューズのつま先がきつく、運動中に爪にうっ血ができた。
 靴を買い換える時、ショップで従来のサイズより大きい27センチを薦められた。履いてみるとつま先に余裕があり違和感がなく履きやすい。少し大きめの靴を買って、ひもで調節するのがスポーツシューズの基本、ということすら知らなかったのだ。スキー靴がきつくて、足の負担が尋常ではなかったのもサイズが合わなかったからで、それまではスキー靴はきつくて履きにくいもの、と疑わなかった。
 このあたりから買う靴はすべて27センチにサイズアップした。こうなると以前買った26・5センチはすべて窮屈で、長く履いているのが苦痛になってしまった。
 今年に入って、歩くときの姿勢矯正のためMBT(マサイ・ベアフット・テクノロジー)というちょっと特殊なシューズを買った。この時にかなり正確に足のサイズを測ってもらった。裸足では左右とも26センチ。思っていたより小さい。でも靴の適正サイズは28.3センチ。これが一番フィットすることがわかった。自分でもビックリ。
 最近買ったハイキングシューズのサイズは28・5センチ。何足を履いてみた結果一番ピッタリなのが、このサイズ。つま先に余裕があり、横幅に窮屈感のないのが靴選びの重要なファクターである。靴は何足も履いてから買うもの、という当たり前のことを、還暦近くなって初めてわかったオヤジでした。
(あ)
アウトドア関係はすでにサイズアップ
普通履きはいまだ26・5で間に合わせてます

No.361

語るに足る、ささやかな人生(小学館文庫)
駒沢敏器

 う〜ん、この本の評価はむずかしい。とにかくタイトルを見た時、これだっ、とひらめいた。アメリカのスモールタウンだけを車で訪ね、そこで出会った人々の暮らしから短い物語をつぐんでいく……私の一番好きなノンフィクションの形だ。あの政治ジャーナリストでないほうの「上原隆」の世界ではないか。上原の最新作には失望したが、それに代わる人物の紀行ノンフィクションかも、と期待をもって読みはじめた。期待が大きかった分、失望も大きかった。おもしろいのだが、その面白度が残念ながら、ワクワクしてページをくくるのが惜しくなるような類ではない。陰陰滅滅とした寂寥感が行間から漂ってくる。ひたすら暗いアメリカの町や人物しか登場しない印象なのだ。明るければ良いわけではないが、これでは読者がふるいたたない。ある田舎町で文学少女と出会う。早熟な彼女の文学的見識を目の当たりにし、著者は「この娘は、たぶん成長したら、高名な文学者になるだろう」と確信する。どんな小さな世界にも早熟な天才は履いて捨てるほどいる。が本当の天才は「早熟な才能」から生まれるケースは稀だ。このへんが人生のおもしろさなのだが、そうした人生への考察の詰めの甘さが、ちょっぴり気になった。

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