Vol.379 07年12月22日 週刊あんばい一本勝負 No.345


再び「交通誘導員」と肥満について

道路工事等の交通誘導員は太っている人が多い。工事中の路上で見かける「交通誘導員」はなぜか体格のいい人が多い。これには何か事情や理由でもあるのだろうか……ということについて、先ごろこの欄で書いたばかりだが、補足というか新たな事実のようなものが、少しずつだがわかってきた。
交通誘導員の中には、相撲取りかと見まがう若者もいて、もしかしてこれは「肥満関係専門の求職斡旋所のような組織があって就職活動支援をしているのでは」と正直なところ疑っていたのが、これはどうも当方の単純な思い込みだったようだ。実はあの交通誘導員、建設会社の従業員ではなく警備会社からの派遣社員であるケースのほうが多いようなのである。となると彼らが太っている理由も納得がいく。警備会社では防犯上の理由から、武道などのスポーツ経験者を採用するケースが多いからだ。これは確かめたわけではないが、よく知られた事実である。柔道や相撲経験のある体力自慢、少々の辛さには弱音をはかない屈強な体格の若者たちが、「道路誘導員」として選ばれて派遣されている、と考えれば、これはなるほど、納得できる。どうだろうか。

今週は、ほとんど事務所の中に閉じこもって1週間が飛ぶように過ぎていった。朝起きて、事務所で仕事をし、夕方は自宅で食事。1時間ちょっとの夜の散歩をしてから、事務所で(大画面テレビで)DVD映画を観て、ベッドで30分ほど本を読んで寝る……という判で押したような生活を繰り返している。エアロビは月曜の一回のみ。冬の間は街道歩きも山歩きもなし。早くスキーに行きたいのだが田沢湖も雪不足。何にもすることがないから張り切って散歩をしすぎ、左ひざに鈍い痛みがある。とにかく1週間があまりに早いので、ものすごいスピードでゴール(死)に向かっているような気分になり、ひどく落ち込んだ。仕事では、ずっとうまくいかなかった写真絵本のレイアウトが、あるきっかけでようやくスムースに動き出した。明るい話題といえば、この程度。
(あ)
手をつないで横断歩道を渡る老夫婦。この2人とはよく出くわす
ビギナーズなんとかで、5箱ぐらい玉が出たので怖くなり、やめる
ご覧の通り、今週は真っ白なスケジュール・カレンダー

No.375

怪魚ウモッカ格闘記(集英社文庫)
高野秀行

 これは面白い。大げさに言えば「冒険とは何か」という問いの答えのような本、といってもいいかも知れない。ミステリー小説の犯人をばらしてしまうようで心苦しいが、著者は怪魚のいるインドに行きはするが実は入国していない。格闘はおろか現地探検すらしていないのである。なのに怪魚を追った立派な本が書けるのだから作家の手腕にまずは脱帽である。怪魚を探しに行きたくても、もろもろの事情があって行けない。その「行けない」ことをテーマにした冒険譚なのである。この人の『幻獣ムベンベを追え』も面白かったが、その本を読んだすぐ後、秋田のある通信社にその時のメンバーの一人が赴任してきた時は驚いた。彼は今どうしているだろうか。怪魚の棲む国インドに入国できなかった著者だが、そのイライラを解消するため2ヶ月かけて東京から日本最南端の人の住む村、波照間島間までの2500キロを自転車で走破している。神社、仏閣、教会やモスク、お地蔵さんや道祖神などに「インドに行かせてください」と祈願をかけながら走破しているのである。このインド入国祈願自転車旅のことは本書の巻末に触れているのだが、08年に『神に頼って走れ――自転車爆走日本南下旅日記』という題名で出版される予定だという。こっちも面白そう。 

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.375 11月24日号  ●vol.376 12月1日号  ●vol.377 12月8日号  ●vol.378 11月15日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ