Vol.380 07年12月29日 週刊あんばい一本勝負 No.376


今年もどうにかつつがなく……

仕事納めの28日に午後から用事ができた人が二人もでて、今年はけっきょく舎の忘年会も仕事納めもないまま、終了となりました。なんとなくけじめがつかない、ふにゃふにゃした年末でした。
さて、型どおり、今年一年の反省やら来年の抱負やら綴っておきたいのですが、この年末に象徴されるように、たいしてメリハリのない、ぬらりくらりの一年でした。仕事は例年より少なく忙しさに忙殺されたり、トラブルに頭を悩ますこともなく、まさに特筆すべきことはほとんどありません。来年は今年の分もまとめて忙しくなりそうな予感もするのですが、はたしてどうなりますやら。

個人的なことを言わせてもらえれば、今年は近来まれにみる激動の一年でした。2月に3年ぶりにスポーツクラブ通いを再開しました。これで弾みがつき4月からは「あきた山の学校」に入会。そこから狂ったように毎月3,4座の山を登り続けました。県境の街道もこまめに歩きました。この冬からはスキーまでやりだしました。なにやら60の手習いという感じで、手がつけられない感じです。そのため個人的な原稿料や講演料はことごとくアウトドアスポーツ用品の購入に費やされました。ですから来年の大きな目標は「ICI石井スポーツで買物をしないこと」、これに尽きます。エアロビの回数71回、山行30数座ですから、ほぼ3日に一度は外で汗を流していた計算です。

エアロビや山歩きが、生活の中で大きなウエイトを占めるようになったせいか、肉体的には今年一年でずいぶん変わりました。外で飲食するのはせいぜい月2回程度、晩酌も例年の三分の一ぐらいの分量に減りました。肉もほとんど食べなくなりました。夜は1万歩散歩が日課で、おかげで夜もぐっすり眠れました。風邪ひとつ引かなかったのは、この健康的な規則正しい生活の賜物だと思っています。この一年で体重は8キロ近く落ち、窮屈だったズボンやシャツが楽に着られるようになりました。昔買ってだぶだぶのスーツもリフォームし、普段着になりました。このへんは予想外のプレゼントという感じです。外に出ないから本もよく読んだし、DVDで映画もよく観ました。低調な仕事に比して、私生活は健康的で規則的に過ごすことができました。来年もこのペースで続けていければと願っています。
(あ)

No.376

床下仙人(祥伝社文庫)
原宏一

 家族小説が、けっこうお気に入りだ。いわゆる「再生もの」は苦手なのだが、家族をテーマにした喜怒哀楽のすったもんだには感情移入がたやすい。だから殺人事件がおきたり、暴力シーンがちりばめられた本は、よほどテーマに興味がない限りは食指は動かない。それと怪奇もの、お化けが登場するものもダメ。本書は怪奇もの家族小説といっていい内容だが、血の匂わない、どこかさわやかなユーモアが全編に流れている。このユーモアがない小説というのがシンドイんだよなあ。ユーモアがあるかどうかが読むかどうかの基準に十分になる。5編のサラリーマンとその家族や周辺をテーマにした家族小説だが、その発想のユニークさ、ユーモアにはうなってしまう。「床下仙人」「てんぷら社員」「戦争管理組合」「派遣社長」「シューシャイン・ギャング」と題名を挙げただけで、その物語をすぐに思い出すことができるほどインパクトは強い。特に「派遣社長」と「シューシャイン・ギャング」は面白い。ここでストーリーを書くわけにはいかないが、奇想天外な原ワールドに浸っているうち、「うんうん、これってありだよな」と、その非現実にすっぽりはまってしまう。現代ニッポンを風刺とユーモアを交えて看破する、というのは解説文の文言だが、その文言にウソはない。

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