Vol.465 09年8月15日 週刊あんばい一本勝負 No.460


お盆・秋田駒・ネット新刊案内

お盆休みは13日から16日まで。まあ普通のお盆休み、です。週明けからは「秋のDM」の印刷や発送作業が始まるので、小生個人はけっきょく、今年のお盆休みなし、ということになりそうです。編集長も青森、北海道でイザベル・バードの撮影があり、同じく休みなし。こればっかりはしょうがない。
また山歩きの話で恐縮だが、先日、秋田駒ケ岳に登ってきた。秋田の山で最も楽に登れるポピュラーな山だ。その駒に登って気がついたのだが、ピークである男女岳や男岳を極め、そこから横岳を通り馬の背から焼森、そして八合目に下りてくるコースは、はじめて経験だった。要するに何を言いたいかと言うと、秋田でもっとも有名な山、秋田駒をまじめにちゃんと登ったのは、実は先日が初めてだったのだ。最初は乳頭縦走コース(6時間)を考えていたのだが、不覚にも登山口行きのバスに乗る直前、登山靴のひもを足に絡めて転び、右ひざと左肩を路上で強打、登る前に「けが人」になってしまった。そこで、楽な秋田駒に急きょ行き先を変更となった次第。ま、ひとり登山の気軽さだが、路面に叩きつけられた肩と膝は、まだ痛い。
今年の秋の新刊は、自分でいうのもなんだが「力の入った」本が目白押しである。愛読者と言われる小舎の年4回のDM通信を受け取っている方々には案内がこの下旬には届きますので、乞うご期待。無料で新刊案内と通信をもらえるのはずっと愛読者の特権(それほどたいそうなものでもありませんが)だったのですが、この秋号からはそっくりそのままネットでも閲覧できるように計画中です。たぶん来週にはアップ出来るでしょうから、そうすれば正規の封書DMよりネット公開のほうが早いということになりそうです。

(あ)

No.460

1Q84
(新潮社)
村上春樹

 この本が売れない時代に、さしたる宣伝もしない本が、あれよあれよという間に100万部を突破するほど売れてしまう――これは異常事態である。まずはこの事実に興味ひかれた。ベストセラーにもなっていないのに、あたかもバカ売れのごとくに「仕掛ける」輩ばかりが横行する出版の世界で、本書の売れ方はどう考えても「ありえない」現象といっていいのだ。ベストセラー本はふだんから敬して遠ざけているのだが、本書だけは書店に並んで(というのは嘘でネット書店で)、すぐに買い求めた。流行に遅れないように急いで買い、急いで読了した。小説としては実に面白く、1000ページ近くの2巻本を一挙に読んだ。この難しい内容の小説を数百万人の人たちが「おもしろい」と思い読んでいる。この現実は田舎の零細出版社主にも大いに希望を与えてくれる。うれしいこと事実に違いはないのだが、ひとりの読者として本書と向き合うと、「もっと面白い本は、いっぱいあるのに、この本だけがなぜ?」という疑問と言うか、余計なひと言を付け加えたくなる。流行に遅れじと本書を買い求めたものの、完読までいたらない人も多いのではないのか。なにせ難解だし、これだけの長編小説を読みとおすには、ある程度の日ごろからの「読書トレーニング」が必要である。

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