Vol.462 09年7月25日 週刊あんばい一本勝負 No.457


魔の午後の6時間

 自分の一日二四時間を大雑把に、起床から昼まで、昼から夕食まで、夕食から就眠まで、そして睡眠時間、と四つに時間帯に色分けすることができる。
 朝起きてから昼までは、ほぼ分刻みでやることがあり、けっこう忙しい。あっという間に昼になってしまう。
 夕食に家に帰るのは六時。食事が終わり食器・風呂洗いがすむと一時間半の夜の散歩とストレッチが待っている。散歩から帰ると12時の就眠時間までDVD映画を見たり、本を読んで過ごす。この夜の時間も、あっという間だ。ちょっと散歩時間が長すぎるのかもしれない。
 ベッドに入るとスムースに睡魔が襲ってくる。夜中に一度、トイレに起きるときもあるが、まあ朝まではぐっすり熟睡できる。自分で言うのもなんだが、実に規則的な日々である(ような気がする)。

 問題もある。「昼から夕食まで」の6時間だ。午前中の仕事は前日から予定していたルーティンワークや事務処理などが主で、あたふたしている間に時間が経ってしまう。午後からは比較的長い時間を要する「創造的な仕事」をする。時間的に切迫していないが、仕事上は最も大切な時間帯だ。このあたりに来るとモーレツに眠くなる。とりあえず、とソファーに横になると1時間以上ぐっすり寝込んでしまったりするから始末が悪い。眠気覚ましに間食をしてしまうのもこの時間帯だ。部屋に閉じこもっているのが悪いのか、と自転車で近所を散歩してみるが、これも疲れるだけであまり効果がない。この時間帯に電話や来客が集中してくれれば、と思うのだが、思うようにはならない。実に静かな午睡タイムなのだ。

 数年前で、こんなことはなかった。毎週書かなければならない連載の原稿が複数あったし、個人的な調べ物をしているうちに、この午後の時間は勝手にどんどん過ぎて行った。いつもシブシブ、仕事を中断して夕食のために家に戻っていた。連載が次々に終わり、さらに週末は山歩きのためにいっさい仕事をしなくなってから、逆に平日の午前中はかなりの集中力と力技で仕事をこなすようになった。長くて煩雑な午後の仕事の一部は他の人に振り分け、分担してもらうことを覚えた。何もかも自分がやる、という体力がなくなった、という事情もある。こうした事情から、午後の半分ほどは時間を持て余すようになってしまったのである。貧乏性だし、精神衛生上あまりいいことではないから、いま、必死に時間を埋めるための仕事(遊び)を考えている。
(あ)

No.457

政治と秋刀魚
(日経BP社)
ジュラルド・カーティス

 ある評論家が、「麻生総理は漢籍の素養はあるし、書の腕前もかなりのものだ」とほめていた。にわかには信じがたいが、ひとえに彼をアホに見せているのは、「マンガ好き」を広言してしまったためで、「マンガしか読まないバカ総理」というイメージを私たちが勝手に信じ込んでいる面が大きいのも否めないのかもしれない。一国の総理になる人物が、「まちがいなくバカ」と多くの国民に疑われていること事態、異常だし、本当にそうなのか、という疑問が本書を読む動機だった。政治は本当にバカでもできるものなのか。本書には政治と人間、国の組織とシステムの問題が実にわかりやすく書かれている。たとえば、日本の政治には「政府与党連絡会議」なるものがある。これはほかの議会制民主主義の国にはない仕組だそうだ。ふつう与党と政府は同じものだ。ところが日本では与党(自民党)と政府は全く別物である。政府とは主に「官僚」が管理運営する行政府だからだ。物事を決定するには自民党内での決定を「官僚」にチェックしてもらう必要がある(その逆も)。与党と政府はべつものと言われるゆえんだ。総理総裁がアイドルのような扱いになり、人気で政党の支持率が左右されるのも、実を言えば小選挙区制の「定理」で、私たちはその仕組みを選んだのだから、しょうがないのだそうだ。小泉さんが悪いわけではない。いやはや勉強になる。

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