Vol.476 09年10月31日 週刊あんばい一本勝負 No.471


10月はいろいろありました

今日で10月も終わり。長くてつらい1カ月だった。
個人的な問題もいろいろあった。初旬の健康診断結果がここ数年では最低の数値を記録、健康オタクとしてはがっくりきた。月初めにハンマーで頭をガツンと殴られた気分である。日ごろから身体を動かし、飲食にも気を使っている自分にうっとりしていたのだが、それが見事にうわべだけだったことが証明されてしまった。このショックが1ヶ月、尾を引いた。
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1ヶ月間山行ゼロ、というのもこの3年間では特筆すべき記録。「山の学校」のスケジュールでは「八甲田1泊登山」と「裏岩手山小屋泊縦走」の2本が10月中に計画されていたのだが、八甲田は台風で中止、裏岩手は今年の5月に行っているので、行かなかった。山に行かないとなると週末はほとんど事務所周辺でゴロゴロ、これがけっこうストレスをためる要因になったのかも。
9月下旬ころから原因不明の咳が出るようになった。喉が常にいがらっぽく、ようやくおさまったら今度は頭痛が激しくなり、痛風の予兆まで出てきてしまった。病気のオンパレードだ。あれやこれやの不調が治まるまで約1カ月かかった。1ヶ月間ほとんど外に出ないで家の周りで逼塞。いっときは真剣に新型インフルエンザを疑ったのだが、熱は出ないし、寝込むほど症状が悪化することはなかった。この数年間、調子に乗って週末のたびに山行や小旅行を繰り返し、その疲れがピークに達し、病気直前に黄信号を出してくれたのだろうか。どうもそうとしか考えられない。そうした最悪の体調の時期と健診が重なってしまったのだ。
仕事では2冊の新刊が出た。『パソコンで作曲しよう!』という教則本と、殺人事件のルポ、『秋田「連続」児童殺人事件』。新聞広告も近年にはない本数を出稿した月だった。読売新聞5段12割にはじまり朝日新聞3段8割、東奥日報全3段、秋田魁新報全3段、といった具合で、チビ出版社の1カ月間の広告出稿量としては、ちょっと異常だ。自棄になっていたのかも。
明るい話題はほとんどないのだが、下旬から体調が回復、近所のスポーツクラブに通い出しエアロビクスを再開した。この20年以上、心身が最悪の状況に落ち込むとエアロビクスの爽快さに救いを求めてきた。今回もやはりエアロビクスは裏切ることなく、心身のよどんだ空気をきれいに入れ替えてくれた。エアロは小生にとって一種の宗教なのだ。いや、溺れた時の「ワラ」かも。
(あ)

No.471

本当は恐ろしい江戸時代
(ソフトバンク新書)
八幡和郎

 いささか江戸時代ブームはいきすぎではないのか。毎日のように出る時代物の新刊に、それでもいちいち興味を抱いてしまう自分は棚に上げてだが、なぜいま江戸時代なのか、自分でもよくわからない。本書はそうしたブームに冷や水をあびせているわけではない。イキだ、いなせだ、エコロジーだ、といささか美化しすぎるきらいのある風潮に実像をもって反論する。江戸ブームの屋上に屋を重ねた本、ともいわれそうだが、書いている内容に説得力がある。さすが江戸本のスペシャリストである。「江戸時代は北朝鮮と同じような楽園だった」という皮肉の利いたキーワードが本書の骨子である。武士も将軍も社会制度もも旅も民権も、すべてこの1点からめった切り。なるほど江戸と北朝鮮の対比は実に効果的だ。「地方は江戸藩の植民地」といわれれば平壌がすぐに頭に思い浮かんでしまう。食生活は米だけが頼りで、女性の地位は驚くほど低く、教育水準は低レベル、武士たちは賄賂が大好きで、裁判はサドマゾ趣味でデタラメ、旅は許されず、自由も民権もなく、餓死者は続出し、はげ山だらけ……と「地上の楽園」批判はとどまることを知らない。といってもむやみやたらと攻撃的でヒステリックなわけではない。丁寧に批判の根拠を示し、目から鱗の実像が説得力を持って語られている。

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