Vol.538 11年3月5日 週刊あんばい一本勝負 No.532


雪山に夢中!

昨日(5日)、冬師山のスノーハイクで、はじめてワカンジキをはいた。スノーシューより軽くて扱いやすく、すっかり気に入ってしまった。
冬師山は、山というか鳥海山麓にある高原である。ほとんど登りのない平坦なハイキングコースだが、なんといっても「冬師」という言葉が、素敵だ。秋田らしくないハイブローな感じで、語源は何なんだろう。知ってる人がいたら教えて。

今年に入って雪山ハイクは何回目になるだろうか。もしかしたら夏場の山登りもよりも回数的には多いのでは、っていうことはないか。元旦の筑紫森にはじまり翌日の太平山・前岳、河辺・岩見ダムハイクに観音森、1月は毎週のように登っているなあ。2月は房住山ひとつ。3月に入って先日の冬師山だが、来週は観音森に再チャレンジする予定だ。

4月に入ると男鹿三山に花が咲く。春山のスタートの合図だ。その前にひとつでも多く雪山にチェレンジしたい。雪山には土の山にない魅力がある。スノーシューをはいてガシガシと登っても運動量の割には汗をかかない。この汗をかかないというのが私にとっては冬山の魅力の一つといえるかもしれない。ものすごい汗っかきだからだ。というわけでスノーシューで登る雪山を年々好きになっている。

ところが先日の房住山で、「ばば落とし」と呼ばれる急登を登った。ここでスノーシューが急登の山登りにはまったく向いていないツールであることに気がついた。仲間たちのほとんどがワカンジキですいすい登っていくのに、私の長いスノーシューは雪に埋まり、重くてにっちもさっちもいかない。小ぶりで軽いワカンジキが、うらやましかった。

翌日、スポーツ店にかけ込みワカンジキを入手。木製でなくアルミ製のやつである。軽くて扱いやすい。そしてさっそく先日の冬師山ハイクとなった。足慣らしの意味もあったのだが、ここは坂がほとんどないのでスノーシューのほうが歩きやすかった、のかもしれない。でもワカンジキ・デビュー、はやく自家薬籠中のものにしたいものだ。
(あ)

No.532

純平、考え直せ
(新潮社)
奥田英朗

奥田の新刊が出ると、必ず買う。まちがいなくおもしろいからだが、テーマや主人公が「普通の人」であることが、自分の好み(琴線)に響くのかもしれない。すぐに人を殺したり銃をぶっ放すお話しは受け付けない。本書も情けないチンピラが主人公の話で、おもしろくなるのは必定。小説のあらすじをここに書く訳にはいかないが、そうか、若いチンピラの日常ってこんな感じなんだ、ということがよくわかる。昔から、いろんな職業の人たちの日常や仕事のノンフィクションを読むのが大好きだったが、さすがにそうした聞き書きやノンフィクションに「若いチンピラの1日」といったルポを見かけることは少ない。そこは小説の分野だ。ことやくざとなるとすぐに銃や刀、金や女に殺し合いが定番になり、そこからぬけ出すことはない。どんな本を読んでも、そのへんは大差がない。奥田の描くチンピラの世界や精神科医の日常は、まったくそうしたパターンからは遠く離れている。意外性があるのに主人公にシンパシーを感じ、親近感が芽生える。本書でも純平にどんどん親近感がわき、おもわず「がんばれ」と応援したくなる。難しい言葉も使っていない。言い回しも平易そのもの。読者に余分な負担をかけずフィクションの世界にストンと落としこんでしまう。この作家、好きだなあ。

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