Vol.553 11年6月18日 週刊あんばい一本勝負 No.547


地震日記14 机を温める暇もない?

6月13日(月) 目に見えるほどではないが身辺が、というか仕事が忙しくなってきた。いつものことながら時間のメリハリをうまくつけられないことを悔やんでしまう。いま、これだけ忙しいのなら、5月中のあの暇な時期をもっと有効に使っていれば、といういつもの後悔だ。そんなこと悔やんでもしょうがないけど。昨夜観た映画『善き人のためのソナタ』は面白かった。壁崩壊前の東ドイツの諜報官と芸術家夫婦の物語。なるほどなあ。世界の現代史をオレ、ほとんど映画でまにあわせ勉強してるなあ。

6月14日(火) 2つ倉庫があるのだがパンパンだった。もう倉庫を増やしたくないので半年ほど前からダイエット中。近所の福祉施設と協力、毎週段ボール10個ほどの在庫を処分し続けている。ただしお金のやり取りはなし。施設では紙屑業者に売って利益を得る。もちろんその場での断裁が条件。だいぶスリムになったので1つの倉庫を空にして、かわりに義母の土地に小さなプレハブ倉庫を建てた。そこを第2倉庫に。昨日1日でプレハブは完成、6月いっぱいかかって在庫の移動をする。本をつくる以外にも、やることが沢山ある。

6月15日(水) 山仲間「モモヒキーズ」3名で真昼岳登山。この時期にしか見られないオサバグサをみるため。天気は今一つだったが、花は盛りで堪能してきた。山の花の名前を10種以上はどうにかわかるようになった。うれしい。

6月16日(木) 夏DMの通信発送のめどが立ち、昨日今日と臨時に2日間休みをもらった。ちょこちょこと忙しくなりつつあるのだが、そんなことを言っているとまた休みなしの仕事スパイラルに陥るので、無理やり自分の身体を机から引きはがし、外に遊びに出るようにしている。昨日は真昼岳でオサバグサとキジムシロの群落を観てきたし、今日は鳥海山の湿原を歩いてきた。2つ3つ、また新しい花の名前を覚えたが、もうすっかり忘れてしまった。ミズキの花のへんてこりんさだけが印象に残っている。天気は快晴。

6月17日(金) 今週はほとんど事務所にいない。水木と休みをもらったし、ようやく仕事復帰と思ったら金土は隣県への出張。外注しているデザイナーに不幸があり、依頼している仕事のピンチヒッターを探さなければならなくなり、休みなんて取らなければ、と後悔することしきり。でも外は毎日快晴で気持ちいい。机に垂れこめてヘンな企画を考えるよりは、いいか。
(あ)

No.547

ユニクロ帝国の光と影
(文藝春秋)
横田増生

正直言うとユニクロのヘビーユーザーである。とくに下着類はほとんどがユニクロ御用達。あれにしようか、これにしようか、といった迷いから開放されただけでなく洋服屋に行く苦手意識がすっかり消えた。自分にとってはありがたい企業なのである。とはいっても日本を代表する大企業、そろそろ批判本が出てもおかしくない頃とおもっていたら、案の定、出た。さっそく買って読んでみると著者はあの『潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影』を書いた人ではないか。そういえばアマゾンもいろんな批判はあるが、私個人はこれまたヘビーユーザー、このネット書店のおかげで読書生活が根底から変わってしまった(いい意味で)。出版社を経営しているのに書店や取次には申し訳ないのだが、書店の少ない地方にすむ人間にはユニクロ同様、アマゾンもありがたく便利な企業である。しかし著者はそうは思っていない。アマゾンもユニクロも、その経営手法の非情さや劣悪な労働環境が問題なのである。でも本書を読んでも(前作もそうだが)、正直なところ、それがどうしたの、という感想しか持てないのが本音だ。もしかしてヘビーユーザーの身びいきから来るものだろうか。あまりにひどい企業であればユーザーであることをやめるぐらいの覚悟はできているのだが、本書を読むかぎり、両社とも、そんな特別に悪いことをしている企業には思えない。もっと大きな時代の流れの中で生まれるべくして生まれた企業なのではないだろうか。

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