Vol.592 12年3月17日 週刊あんばい一本勝負 No.585


歯痛もやんで春風の中

3月10日 歯痛の痛め止めをもらってきて服んでいる。服むと痛みは止まるが7,8時間たつとモーレツにまた痛みだす。痛み止めは1日半分しかない。明日痛みだしたら、やっかいだ(山行なので)。歯科医にお願いして痛み止めを数日分もらってきた。それにしても歯の神経を抜くための麻酔治療による化膿で、ここまで長期間(2週間)痛むものか。腫れはどうして引けないのか。10年ほど前、歯の治療中に菌が肺に転移、あっさり死んでしまった友人のことを思い出した。

3月11日 朝起きたら一面の銀世界。また冬に戻ってしまった。あの日からちょうど1年目、やっぱり雪はふった。今日は秋田で一番春が早く来るという男鹿の山に登る予定だ。相変わらず歯痛。今週は河北、朝日全国、読売全国、岩手日報と広告ラッシュ。ということは忙しい日々が続くことになる。そんな大事なときに歯痛というのも無様。人生、うまくは行かない。それより問題は今日の山。スパイク長靴それとも登山靴にワカン。雪で状況が一変、どちらとも決めかねている。

3月12日 山に登っている間、歯痛はピタリと止まった。もうそろそろ治まる時期だったのかもしれない。歯痛が止まるととたんに酒を飲みたくなった。現金と言うかさもしいというか。山行後そのままシャチョー室宴会。このところ酒肴はもっぱらナポリサラミ。これを食べたいために酒を飲む、という感じだ。塩分が強く食べ過ぎ要注意なのだが、とにかくワインと相性がいい。かくして夜はのどが渇いて目を覚まし深くうなだれる。1週間に1度と回数を制限しているのだが、食べるとき大盛りで食べてしまえば元の黙阿弥。いっときやはりワインと相性のいい枝付き「ホシブドウ」にはまった時もあった。これは甘くてカロリーが高すぎ、やめた経緯がある。はたして今度のサラミは…。

3月13日 いつも出版点数のばらつきを嘆いているが、ここ半年ぐらいは月2本ペースで順調に推移している。といっても偶然的要素が強いだけだが、仕事量が安定し、精神的にも悪くないペースだ。今月は自費出版が1本加わり3本、来月も3本くらいか。秋までは月3本ペースで冬になるとガクンと落ちて1,2本、といった予想をしている。昔は月に7本の新刊を出したこともあった。今ならとても考えられない。月2本の新刊と増刷が1本、といったあたりが零細出版社の理想型かも。

3月14日 不謹慎かもしれないが、スペインやポルトガルの財政危機が報じられるたび、心のどこかで「ザマアミロ」と思ってしまう自分がいる。中学の世界史レベルでみても、彼らが大航海時代におこなった殺戮や略奪のすさまじさは常人の理解を超えている。そうした傷跡を南米などで見てきた身には、旧宗主国ポルトガルがブラジルに大量の移民を送りはじめている、という現実に喝采を送りたい気持になってしまう。世界は日に日に変わっていく。ヨーロッパがこじ開け、勝手に色分けしてきた大航海時代以来の世界地図は、確実にいま別の色に塗り替えられつつあるということか。

3月15日  外飲みよりも家飲み(舎内)が増えている。そのせいか週1回は確実に近所のスーパーに買い物に。そのたびにレジの遅さにイライラする。せっかちなこっちの問題だが、「おれは何を急いでるんだ」といつも反省しきりである。スーパーだけではない。本屋やレンタルビデオ屋でも常にイライラ。近所のレンタル屋はレジがいっぱいあるのに、いまだに「フォーク並」をしていない。そのため割り込みが当たり前。これに嫌気がさして行くのを止めた。領収書を書いてもらうと「出版」の「版」の字が書けない店員に殺意を覚える。……大きく深呼吸でもするか。

3月16日 昨年末ハイブリッドの新車が届いたが、雪のためほとんど乗っていない。ようやく春の風をきって走らせているのだが、これがすこぶる軽快だ。街を走っていて気になったのは五輪マーク(?)のアウディという外車が目につくこと。売れているのだろうか。プリウスの独壇場なのもよくわかった。車は走ればいい、移動できればそれでいい。そう信じていたが地方では、この必需品の乗り心地は生活の根幹と関わってくる。散歩以外の外出はめったにしないが、天気がいいと車でどこかに出かけたくなった。
(あ)

No.585

アホ大学のバカ学生
(光文社新書)
石渡嶺司・山内太地

自分にも20代の息子がいるから「若者」に興味があるのだろうか。いい年をして。いや、そんなことじゃないナ。いまの若者は自分の20代とどこがどのように違うのか、そこが知りたいのだ。それがわかれば自分の仕事や老後の行く末への、ある種の指針になる。年をとるにつれ、若い人の手助けはさまざまな分野で必要になる。いずれは自分も彼らのお世話になる。最近は、そんなこともあり秋田大学の新聞部の連中ともお付き合いしている。そんな中で本書を読むと、なるほどと得心の行く部分と、ほんとにそこまで? と首をかしげたくなる記述が交互に登場する。アルファベットが読めない学生や九九の計算のできない大学生がいても驚かないが、就活なるものが二年生の終わった時点からすでに始まっている、という事実にはのけぞった。友人の学生に聞くと、どうやら本当のようだ。そして本書でも優秀な大学の代表として秋田の「国際教養大」が登場する。すべての授業が英語で行われ、20人以下の少数授業。1年間の海外留学が義務づけられ、専任教師の半数は外国人。入学後1年間は寮生活で、図書館は1年中24時間開館。これならおじさんも何だが入学したくなってしまうが、本当にこんなに素晴らしい大学なのだろうか、ちょっと眉に唾をつけたくもなっている。

このページの初めに戻る↑


backnumber
●vol.588 2月18日号  ●vol.589 2月25日号  ●vol.590 3月3日号  ●vol.591 3月10日号 
上記以前の号はアドレス欄のURLの数字部分を直接ご変更下さい。

Topへ