Vol.589 12年2月25日 週刊あんばい一本勝負 No.582


春のスタート台に立った気分

2月19日 4,5年前に急速に上達したと自負していたスキーが、まったくダメ。スピードが怖くて、初心者コースも青息吐息。進歩どころではない。どんどん下手になっていく恐怖と闘っている始末だ。これって年と関係あるのかなあ。70歳を超えてもうまくなっているひともいるって言うからなあ。昨日の矢島スキー場は散々。今日は鳥海山ろく獅子が鼻のスノーハイクの予定だったが、大雪のため中止。ぽっかり1日が空いてしまった。何して過ごそうか。

2月20日 広面で生まれ育った工務店のKさんとの会話で、しきりとケーブルテレビが登場する。不思議に思って訊ねると、「自分の住んでいる広面のはずれはケーブルテレビが映る境界線。隣の家からはもう柳田地区でケーブルが映らない」のだそうだ。だから自分は都会の住民です。「ケーブルテレビも映らないような田舎者じゃないって無意識に強調してしまうんですヨ」。広面地区は大学病院の所在地だけじゃない。実はケーブルテレビでも有名なんです。

2月21日 またぞろ近所の大学病院内にあるスタバにコーヒーを買いに行くようになった。専用ボトルに詰め込んでもらい仕事場で飲むのだがラテがけっこう好きだ。問題は病院に入るときにマスクを着用しなければならないこと。これはほぼ「暗黙の了解」で出入りのほとんどの人がマスク姿。マスク嫌いのこちらとしては面倒この上ない。ひたすら息を止めてお持ち帰り。駅前まで散歩のときは、タリーズの「ジンジャ・ミルクティ」の砂糖抜きがお気に入り。生姜入り紅茶です。去年あたりからさすがの秋田でもこうしたコーヒー屋さんはいつも女性客でいっぱい。

2月22日 山場の1週間は切り抜けたみたいでホッとしている。まだまだ何があるか分からない。2月はちょっと不気味な日々といったイメージ。昨日はあるイベントが終わって一息、友人を誘って(つきあってもらい)小料理屋で一献。この頃ひとり酒がめっぽうきつい。お酒がおいしいと思わないのだ。ところが飲み相手がいると酒のバラエティが広がり、いつもは飲まないビールや酎ハイ、ウイスキーからどぶろくまで、なんでもござれ。楽しい。

2月23日 若い人がよく行く居酒屋チェーンに入ることはほとんどない。暗くて古民家風の個室のつくりが嫌いだ。閉塞感で息がつまりそうになる。それと酒を飲むのに靴を脱ぐというのも面倒というか大げさでいや。下足箱のある店はそれだけで敷居が高いと感じがしてしまう。日頃そんな事を思っていたら、昨日の新聞に「進む座敷離れ」と靴を脱ぐ居酒屋の話題が。やっぱりそうか。若い人たちも同じようなことを考えていたんだ。それと最近は胡坐で酒を飲むのもぺけ。できればテーブル席にしてほしい。

2月24日 ここ数日、雨模様だが穏やかな日々。雪が降らないだけで気持ちは晴れやか。ちょっぴり春の予感も。その春のDMや執筆者アンケートの印刷も終わり、来週からは発送作業が始まる。3月は朝日(全国)、河北、岩手、さきがけと新聞広告もラッシュ。年をまたいで作業をしてきたものが形となって多くの人のもとに届けられる。いや多くはないか。あと残りの人生で、何冊の本を作ることができるだろうか。いろんな思いを託した本が旅立っていくとき、きまってそんなことを思ってしまう。
(あ)

No.582

生物と無生物のあいだ
(講談社現代新書)
福岡伸一

バリバリの理系の本である。自分に読みとおせるだろうか。著者はしばしばテレビに登場する。だから、この本を読んでいないと時代遅れのような「勢い」すら感じてしまう。著者はベストセラー作家である。ベストセラーになるためには理由がある。多くの人が読んで面白いと感じることができる本しかベストセラーにはならない。であれば小生にも読みとおせるかもしれない。分子生物学の研究の歴史的推移を、著者の個人的な体験をベースにしながら書かれたエッセイである。なるほど、おもしろいしスリリングだし、分子生物学の初歩的な全体像が素人にもすっきりと理解できる。とにかくも本の書き出しが「絶妙」だ。日本人ならだれもが知っている千円札の野口英世のことから物語は幕を開ける。ロックフェラー大学はNYにあり、そこの大学図書館には野口の胸像がある。しかしアメリカでの野口の評価はアル中のプレイボーイとしてしか、実は知られていない。彼の業績、狂犬病やポリオ、梅毒、黄熱病の研究結果は当時こそ称賛を受けたが、その多くの研究結果はその後、矛盾と混乱に満ちたものであることが証明され、学問的にも間違いだったことが判明。科学者としての名誉はほとんどないに等しい、とまあこんな劇的なコラムから始まるのだ、これがおもしろくないわけがない。

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