Vol.596 12年4月14日 | 週刊あんばい一本勝負 No.589 |
初めての119番 | |
4月7日 煙草は30年前にやめた。人並みに「何度も禁煙体験」はしたが、最終的にやめられたコツは「最初の1本を吸わない」と決めたこと。このコツは結構気に入って吹聴しているのだが、昨日読んだ本の中に、あの医師にして歌人の斎藤茂吉が「火のついた煙草は口にしない」という簡単な方法で禁煙に成功した逸話が紹介されていた。これは山村修『禁煙の愉しみ』という本に書いてあったこと。この本は洋泉社、新潮OH!文庫を経て最近朝日文庫で再刊されたもの。もう死んでしまったが山村修の本はどれもみな面白いが、個人的には『気晴らしの発見』が一番好き。 4月8日 今年に入って初めてといっていい本格的な山登り。といっても小生のような初心者にとっては、というエクスキューズ付きだが。近所の太平山中岳に金山滝から登頂。けっこう疲れた。出発前の朝一番でこの欄を書いていく予定だったが、パソコンに@pod用のアイチューンを入れたことと関係あると思うのだが、急にパソコンの動作が不安定になった。ローマ字入力ができなくなり、頻繁に勝手にひらがな入力になってしまう。どこが悪いんだろう。良いことがあれば決まって悪いことが裏側にひっついてくる。 4月9日 昨夜11時半ごろ事件があって、人生で初めての119番。寝ていたら音のない雷のような大きな閃光が2回。外を見るとそばの電線から火花が散っていた。すぐにサイレンを鳴らして消防車からパトカー、新聞記者までがかけつけた。それから2時間半、簡単な消火作業と東北電力の電線張り替え作業が終わるまで、外に立ち続けた。寝たのは2時過ぎだ。先日の暴走低気圧の影響で塩が電線についてショートしているのだそうだ。「電線塩害」である。全国各地で起きている現象ときいて少し安心したが、いろんなところが老朽化している。まだまだヘンな事件が身辺に起きそうな、悪い予感がする。それにしてもこんなことで119番とは。なんだかまだドキドキしている。 4月10日 筋肉痛がひどい。2階への階段が遠い。太平山・中岳が効いた。トレーニングのつもりだった今年の数々の冬山登山は単なるハイキングだったということか。同じ日深夜の「電線塩害119番事件」も引きずったまま。家に救急車やパトカーがサイレンを鳴らして駆けつける。そんな日はいつか来るだろうと予想していたが、こんなに早く実現? するとは。こちらのほうはなんだか一足先に未来不安をクリアーしたような気分もあるのだが、あのいたたまれないような2時間余りは精神的に堪えた。 4月11日 筋肉痛がようやく収まった。鳥海山に登っても筋肉痛にならなかったのに。体力不足、トレーニング不足に尽きる。正直なところ一挙に自信がしぼんでしまった。でも身体の老化、劣化はどうしようもない。このごろ気力のほうにも劣化の波が忍び寄るのを感じている。こっちのほうがずっと怖い。新しいこと、冒険的な企画、リスキーなものに対して、極端に憶病になっている。リスキーなものに挑戦するには半端ではない体力が必要になる。ということは結局、体力が落ちていることがすべての元凶になってしまう。対策を考えないと。 4月12日 雲ひとつない快晴。朝から意味なくウキウキするのは天気のせい。昨日、郊外にあるY電気へたまたま行き、@padを衝動買い。連日の雨でむしゃくしゃしていたせい。Y電気は初めて入った店、アップルの製品(特に@pad)を置いている店は秋田では珍しい(専門店は別だが)。買ったはいいが使いこなせるかは自信がない。ま、勉強のためだ。使わなかったら誰かにやればいい。しょせん高価な文房具にすぎない。それにしても@podのほうもあんなに小さくなっているとは。値段も前の機種の3分の一、日進月歩の世界には近づかないほうがいいのかも。 4月13日 他の人はどうなのわからないが万年筆はよく使うほう。手紙だけでなく手帳のメモも万年筆。なんとなく他の筆記用具より好きなのだが、手が汚れるという欠点がある。どうしてもインクが手に付き、それが他のものを汚す。用途の違う3本の万年筆を持っているがカートリッジ・インクは漏れがない。吸入式がダメ。インクのいれ方に問題があるのだろうか。何年も使ってきたモンブランは2,3年前からインクを縮小リニューアル、好きな色が消えてしまった。正直なところもう万年筆はやめようと思っているのだが、そうなると手紙はどうしよう。 4月14日 好天が続いて、うれしい。昨日は大平山リベンジ登山。先週、中岳でバテたのが悔しかったので、前岳までもう一度チャレンジ。筋肉痛はなし、よしよし。今日は「山の学校」始業式だ。夜はモモヒキーズの居酒屋宴会(シャチョー室宴会ではない)。先週、うれしかったのは友人たちと外飲みした時、おしゃべりに花が咲き、お酒がスイスイすすんだこと。ずっと酒が飲めなくなったことを嘆いていたが、楽しい酒だといつもと変わらず飲めた。ひとり酒がダメなだけだった。これはけっこう大きな「発見」。ipodにいれた落語聴くのが毎日の愉しみで散歩は欠かせない。ニヤニヤ笑いながら歩いているジッコがいたら、それは私です。 4月15日 秋田大学入試課から、教育文化学部の今年度の入試問題にうちの本を使った旨の郵便物。もっと早く教えてよ、と思ったが、それじゃ事前に問題がバレてしまうか。引用されたのは『秋田県民は本当に〈ええふりこぎ〉か?』(日高水穂)。3,4年前は歩青至著『少年』が複数の全国の高校入試や教科書に採用されたことがあった。自舎の出版物が使われるのは光栄だし、ありがたいことだと思うが、入試の性格上、無断でかつ著作権使用料もゼロ。こうした引用の常連である谷川俊太郎や人気作家らが、入試問題にも印税や謝礼を支払うべきだ、と訴えを起こしたこともあった。あの問題はどうなったんだろう。 4月16日 近所にあったお気に入りの洋食屋さんが閉店。広面に引っ越してきて間もなく洋食屋さんもオープンした記憶がある。30年以上は続いていた計算だ。揚げ物中心のメニューだったが、行くと決まってチーズパネカツ(だったかな)を注文。本当に美味しい店だった。寿司屋以外の食べ物屋さんがこんなに長持ちするのは珍しい。定食で1300円以上するから安い店ではないが、昼はいつも女性客で満員だった。閉店の理由はわからない。昨日も店の前を通ったら、車で駆け付けたらしい女性客が驚いたように閉店の張り紙を見ていた。これからは外食チェーン店の世話になる機会が増えそうだ。それを考えただけでゲンナリする。 4月17日 人さまのことをとやかく言えた義理ではないが、ちょっと半畳を入れたくなった。昨日の朝日新聞に、テレビ朝日系の番組「ちい散歩」が終了になることを惜しんだ署名記事。6年間で2千キロ、テレビ番組で下町を歩いた地井武男を「現代の宮本常一」かもしれないといい、彼を「忘れられた日本人」とまで持ち上げている。地井武男に罪はない。が、記者氏、この2人の「比較」はちょっとまずいかな、とは思わなかったのだろうか。「ちい散歩」は何度か観たことがある。目線の低さには確かに好感がもてた。でも、その俳優の仕事と、生涯かけて地球4周分を歩き、すさまじい執念で膨大な記録に残した民俗学者を、同じ土俵に並べるのはいかがなものか。 4月18日 夜はナイターのプロ野球がある。そのため散歩は昼に逆戻り。先日、駅前を歌手の小田和正が歩いていたが、誰も気が付いていない。跡をつけようと思ったが、それじゃストーカーだ。昼の散歩もけっこうスリリングだ。散歩忠は注意力が散漫にならないよう、もっぱらipodで枝雀の落語を聴いている。噺のなかに「チチボーロ」という単語が何度も出てきて客は爆笑。チチボーロって何? 気になって、なぜかものすごい遠まわり。「やぶ医者」の「やぶ」の意味も枝雀に教えてもらった。街を歩きながら突然噴き出したり笑いだしたり、外目には異常な光景にうつっているだろうな。 4月19日 散歩中、突然吐き気がして道端でゲーゲー。なにも出てこなかったが、こんな経験は初めて。散歩を中止し事務所のソファーで2時間ほど休息。夕食後、気を取り直し散歩に再チャレンジ。そこで吐き気の理由がようやくわかった。ipod用の新しいイヤフォン(耳に引っ掛けるスポーツタイプ)のせいでメガネと目の焦点距離がズレたためだった。これじゃ気持ち悪くなるわナ。脳血管がどうにかなっているのでは、とまで心配したのに、まったくドジな理由だった。あの耳にフックさせるイヤフォンは、メガネ男にはダメですね。 4月14日 好天が続いて、うれしい。昨日は大平山リベンジ登山。先週、中岳でバテたのが悔しかったので、前岳までもう一度チャレンジ。筋肉痛はなし、よしよし。今日は「山の学校」始業式だ。夜はモモヒキーズの居酒屋宴会(シャチョー室宴会ではない)。先週、うれしかったのは友人たちと外飲みした時、おしゃべりに花が咲き、お酒がスイスイすすんだこと。ずっと酒が飲めなくなったことを嘆いていたが、楽しい酒だといつもと変わらず飲めた。ひとり酒がダメなだけだった。これはけっこう大きな「発見」。ipodにいれた落語聴くのが毎日の愉しみで散歩は欠かせない。ニヤニヤ笑いながら歩いているジッコがいたら、それは私です。 4月15日 秋田大学入試課から、教育文化学部の今年度の入試問題にうちの本を使った旨の郵便物。もっと早く教えてよ、と思ったが、それじゃ事前に問題がバレてしまうか。引用されたのは『秋田県民は本当に〈ええふりこぎ〉か?』(日高水穂)。3,4年前は歩青至著『少年』が複数の全国の高校入試や教科書に採用されたことがあった。自舎の出版物が使われるのは光栄だし、ありがたいことだと思うが、入試の性格上、無断でかつ著作権使用料もゼロ。こうした引用の常連である谷川俊太郎や人気作家らが、入試問題にも印税や謝礼を支払うべきだ、と訴えを起こしたこともあった。あの問題はどうなったんだろう。 4月16日 近所にあったお気に入りの洋食屋さんが閉店。広面に引っ越してきて間もなく洋食屋さんもオープンした記憶がある。30年以上は続いていた計算だ。揚げ物中心のメニューだったが、行くと決まってチーズパネカツ(だったかな)を注文。本当に美味しい店だった。寿司屋以外の食べ物屋さんがこんなに長持ちするのは珍しい。定食で1300円以上するから安い店ではないが、昼はいつも女性客で満員だった。閉店の理由はわからない。昨日も店の前を通ったら、車で駆け付けたらしい女性客が驚いたように閉店の張り紙を見ていた。これからは外食チェーン店の世話になる機会が増えそうだ。それを考えただけでゲンナリする。 4月17日 人さまのことをとやかく言えた義理ではないが、ちょっと半畳を入れたくなった。昨日の朝日新聞に、テレビ朝日系の番組「ちい散歩」が終了になることを惜しんだ署名記事。6年間で2千キロ、テレビ番組で下町を歩いた地井武男を「現代の宮本常一」かもしれないといい、彼を「忘れられた日本人」とまで持ち上げている。地井武男に罪はない。が、記者氏、この2人の「比較」はちょっとまずいかな、とは思わなかったのだろうか。「ちい散歩」は何度か観たことがある。目線の低さには確かに好感がもてた。でも、その俳優の仕事と、生涯かけて地球4周分を歩き、すさまじい執念で膨大な記録に残した民俗学者を、同じ土俵に並べるのはいかがなものか。 4月18日 夜はナイターのプロ野球がある。そのため散歩は昼に逆戻り。先日、駅前を歌手の小田和正が歩いていたが、誰も気が付いていない。跡をつけようと思ったが、それじゃストーカーだ。昼の散歩もけっこうスリリングだ。散歩忠は注意力が散漫にならないよう、もっぱらipodで枝雀の落語を聴いている。噺のなかに「チチボーロ」という単語が何度も出てきて客は爆笑。チチボーロって何? 気になって、なぜかものすごい遠まわり。「やぶ医者」の「やぶ」の意味も枝雀に教えてもらった。街を歩きながら突然噴き出したり笑いだしたり、外目には異常な光景にうつっているだろうな。 4月19日 散歩中、突然吐き気がして道端でゲーゲー。なにも出てこなかったが、こんな経験は初めて。散歩を中止し事務所のソファーで2時間ほど休息。夕食後、気を取り直し散歩に再チャレンジ。そこで吐き気の理由がようやくわかった。ipod用の新しいイヤフォン(耳に引っ掛けるスポーツタイプ)のせいでメガネと目の焦点距離がズレたためだった。これじゃ気持ち悪くなるわナ。脳血管がどうにかなっているのでは、とまで心配したのに、まったくドジな理由だった。あの耳にフックさせるイヤフォンは、メガネ男にはダメですね。 (あ)
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