Vol.598 12年5月5日 週刊あんばい一本勝負 No.591


4月はいろいろあったけど、5月は……

4月28日 GW一日目。だからどうした、といわれそうだが、ま、仕事です。今日と明日は来客や雑用。GW明けに一挙にスパートするための準備です、って言うとかっこいいが、心配性なだけだ。月明けからポチポチ山行予定があるが、実は山仲間(モモヒキーズ)に故障があいついでいる。思うような山行のスケジュールが立てられない。だから例年通りの地味でさえないGWになるのは確実だ。でも前半の天気はいいみたい。今日も青空。元気に仕事しま〜す。

4月29日 朝一番で東京から来客。通常であれば山にでも行きたいGWだが、昨日も書いたように「山と酒」仲間であるモモヒキーズに異変が起きている。みんな故障中なのだ。ひとりは半月板損傷、ひとりは医師に酒を禁止、ひとりは重度の花粉症。一番若い50代は現役でいまが稼ぎ時だ。5人の主要メンバー中、健康でヒマなのは小生ひとり。これでは動きようがない。今はじっと我慢の時だ。家で夕食をつくったり、倉庫をかたして点数稼ぎ。早くGWなんか終わってほしい。早く普段通りの生活がしたい。天気なんかよくなくってもいいから。

4月30日 今日は朝から気合が入っている。この2日間、事情があって夕食をつくっているのたが3日目にしてエスカレート。ジャージャーメン・ソース、カレー、玉子焼の3品をつくってしまった。Sシェフからの薫陶もあるが、今日は飯島奈美さんの「LIFE」という料理本を手本に忠実につくってみようと思っている。Sシェフから教えられたのは、とにかく調味料の分量は正確に計量する、ということ。目分量なんていうのは主婦や天才料理人の「特権」だそうだ。テキストの計量を守ると、ふだん自分がいかに調味料の分量を多めに使い、濃いめの味付けをしているか、よくわかる。緊張するなあ。

5月1日 もう5月か。4月はいろんなことがあったようななかったような……よくわからない。ずっとipodで落語を聴いて散歩をしていたし、8日深夜の電線塩害による119番通報も忘れられない。いい思い出ではないが、これからの老後にとってはいい経験になったのは確か。山行は少なかったし、歯痛からは脱却したものの、メガネが合わずに気分の晴れない日が多かった。これはどうやら大型テレビを至近距離で観すぎたせいのようだ。お粗末。新刊は3冊出て増刷が1冊。これは出来過ぎてその反動は5月に来そうだ。5月は出した本を「せっせと売る月間」にしたい。

5月2日 つくづく天の邪鬼だが、みんなが仕事をしている今日は休みをとって太平山。休日出勤で夏DMの発送準備を完了させたし、朝日や日本農業新聞の連載原稿も10日以上早めに原稿を書いて送ってしまった。でも本当のところは人が仕事をしているときに「遊び」に行く、というのが昔から好き。だから、みんなが遊んでいるときは、ひたすら仕事をする。ま、ただの偏屈オヤジです。夜は秋田大学新聞部の連中に招かれ懇親会。若い人たちと話せるのは無条件にうれしい。

5月3日 天気は今ひとつだったが3人で太平山中岳。金山滝コースがすっかり好きになった。山頂付近以外の雪は消えスミレ類が咲きはじめていた。下山後、一足先に温泉に入って着替え、秋田大学へ。図書室で新聞部の連中とデスカッションするのだが、ギリギリ間に合った。そして駅前の白木屋で打ち上げ。若い人たちと飲んでいると自然テンションは上がる。いい年して。彼らのご両親ですら自分より年下。就活という高いハードルの前に立ちすくむ若者たち。その彼らは過去のどんな時代の若者よりも「幸福感に包まれている世代」でもあるのだそうだ。よくわからないが、自分の学生時代よりは彼らのほうがずっと「冷静沈着」なことだけは確かだ。

5月4日  また映画のDVDを観だした。まずいなあ。ウディ・アレンのロンドン3部作「カサンドラズ・ドリーム」はそろそろうんざり。殺人よりコメディを。「阪急電車」はやっぱり原作が圧倒的におもしろい。漫画が原作の映画も難しい。「岳」には失笑。昭和32年制作、市川歌右衛門主演「旗本退屈男ー謎の蛇姫屋敷」はカラー映像がきれいでびっくり。小学生のころ映画館で息をのんで観たのがこの映画だったんだ、と当時を思い出しコーフン。監督は秋田県人だった。時代劇は顔が大きく足が短くないと決まらない。
(あ)

No.591

限界集落株式会社
(小学館)
黒野伸一

この本は売れているらしい。新聞のベストセラーリストに載っているので初めて知った。書名がいいからだろう。本の売れ具合に書名が大きく関与している代表のような本だ。前に「限界集落」に関するまじめな(?)なルポ本の書評を農業新聞に書いたことがある。出口の見えない(解決策のない)問題のルポルタージュは読んでいて気が滅入る。おもしろい本だったが、だからどうすれば、という問いは最後まで残った。それが本書のような小説だと難問はすべて都合よく解決する。スーパースターが登場してスイスイと解決してくれるからだ。おまけにラブストーリーのおまけつき。痛快で爽快で笑いまであるエンターテイメントである。でも読後感はそうすっきりとは晴れない。こんな風にうまくいかないことを知っているからだろう。農林業、過疎や後継者、高齢化から格差の問題まで痛快な解決策なんてあるはずがない。誰もが立ちすくむ、そうした問題の解決の糸口に娯楽本が役に立たないと言いたいわけではない。問題はいまひとつ小説よりも複雑なのだ。村にはいつも、この小説を地で行く甘い話(スーパースター物語)で金もうけしている輩がいっぱいだ。講演という名目で調子のいいことを語り倒すコンサルタントや評論家がウジャウジャなのだ。「事実は小説より奇なり」なのである。

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