Vol.599 12年5月12日 週刊あんばい一本勝負 No.592


本と映画とフェイスブック

5月5日 ipodにipad、iphoneとフェイスブックにアイチューンズ、そしてツイッター。よく飲み込めない機能やツールに囲まれている。使いこなせなくても、意味不明でも、十分生き延びては行けるのだが、それらを横目にみて不安や不満、焦燥を感じてしまうのも事実。昨日、国際教養大のY君にきてもらい初歩的なソーシャル・メディアのレッスンをしてもらった。興にのり5時間近い授業になったが、ようやくなんとなく、いろんなことが納得できた。でもツイッターもフェイスブックも自分でやるか、といわれるとウ〜ンとかんがえてしまう。

5月6日 GW最後の休み。見事にどこにも出かけず映画(DVD)や本を読んでダラダラ8日間をやり過ごした。といっても山は太平山2回、秋大や教養大の学生たちとも仲良くなる機会にも恵まれたし、フェイスブックやツイッターをやりはじめたりし(続かないと思うが)、ipadもどうにか使えるようになった。どうせどこに行っても人だらけ、そんなところにわざわざ出かける必要はない。昔からそう思っていたから、今年のGMはけっこう収穫の多い充実した長期休暇だった、といってもいいかも。さあ、明日から仕事がんばるゾ。

5月7日 ようやくGWが終わってくれた(笑)。今週は忙しくなりそうだ。でもこれはどこも同じか。たまたまGW明けに夏の愛読者DMの印刷・発送時期が重なった。休みの間、意識的に仕事をしなかったのも大きいなあ。忙しいほうがテンションは上がるし、仕事好きだから問題はないが、体力の衰えは、やっぱり感じる。昨夜はGW最後の日、親しくしている大学生たちと発作的に飲み会。2次会まで強行してしまい、いささか二日酔いぎみ。

5月8日 フランスで60年代初頭につくられた映画『穴』をレンタルしたつもりだったが観たらイギリスの同名のホラー映画(01年製作)。名門バブリック・スクールの4人の男女の殺し合いサスペンスで思いもかけぬ内容に驚いた。実はアメリカ映画にも児童文学の傑作を映画化した(ひたすら子供たちが穴を掘り続ける)同名の映画があるようだ。予想以上にイギリス映画が面白かったから文句はないのだが、これからはこの手の「単純ミス」がいろんな場面で増えそうだ。映画の中でよく意味のわからないところがあると、ネットで調べると、たちどころに答えがわかった。ネットって本当にすごい。本屋がなくても困らないのも、本当に助かっている。でもネットのなにもかもいいわけではない。たとえばフェイスブックは、今のところ何がいいのかちっともわからない。同じネットでもこれは自分には無理かも。

5月9日 昔から、本好きたちは「8ポ2段組みの分厚い本」を愛した。原稿用紙(400字詰)で千枚をゆうに超す長編の多くは8ポ2段組み。内容的に面白いのはまちがいないのだが、読みだすと読了まで時間がかかり他のことができなくなる。増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)は、まさにその手の本。2段組みで700ページ、普通の本の4冊分。買って「積読」していたのだが、ついに我慢しきれず一昨日から読みだした。昨夜で3分の1まで読み進んだが、読了までは今週いっぱいかかりそう。その間、何もできない。えらいことになってしまった。やめておけばよかったかなあ。

5月10日 だからいわんこっちゃない。徹夜してしまった。何年ぶりだろうか。心配していた通り『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』を最後まで読んでしまった。確信と本音が最後の最後に書いてあるんだもん、ずるいよ。昨日はテレビでナイターを観た後、映画「ソーシャル・ネットワーク」。主役が悪人というアメリカ映画も、ちょっと珍しい。フェイスブックって「名鑑」という意味だったんだ。映画を楽しんだ後、寝床にはいり8時間ぶっつづけで「木村〜」を読み続けた。もうフラフラ。なにやっているのジブン、いい年をして。

5月11日 朝起きたら5分後にはご飯を食べている。こんな生活を長く続けてきた。最近ご飯がのどに詰まるようになった。むせてしまうのだ。食道ナントカ逆流炎?……と疑っているのだが、もっとひどい状態になっているのかも。まずは無理な朝食の取り方をやめることにした。朝は食べないことにして今日で1週間がたつ。朝ごはんをとるのは人間として原則、のように思っていたのだが、ブランチ(朝昼兼用)にしたら、なんだかちょっと、いろんなことから自由になった。決めつけないでいろんなことを試してみよう。残り少ない人生だもの。
(あ)

No.592

おじさん図鑑
(小学館)
なかむらるみ

最近この手の「オヤジ本」多くない? たまたま文庫で出た内澤旬子さんの「オヤジガキ」や、ながたはるみさんの定番のイラストオヤジ本を読んだからかな。この著者の本は初めてだが、その内澤さんやながたさんの本を足して2で割ったイメージ。彼女も影響を受けているのかも。どうやら便乗本ではないようで、おもしろかった。著者は30代のイラストレーターで学生時代からからオジサンに興味をもち、描き続けている人。絵も文章もしっかりしているし、取材も丁寧だ。難点は活字が小さすぎることだが、これは読者のターゲットが若者のためのようだ。オビに「おじさんになる前に、おじさんを知るべきだ」とある。でも若者がこんな本読むかなあ。登場人物は無名のおじさんだけでない。たまたま著者の身近にいたのだろう、小学館の社長や作家の泉麻人、写真家の岩合光昭といった著名人まで登場する。このへんも自然体で好感が持てる。日本全国に取材対象が広がっているのも、いい。都市中心のおじさんばかりだと、どうしても画一化の恐れがある。田舎の年寄りって、これがなかなかしたたかで面白い。

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