Vol.87 02年4月27日号 週刊あんばい一本勝負 No.84


春の販促シーズン、戦闘開始

 昨年は目いっぱい本を出し、その反動(疲れ)から5月になろうとする今も本格的にエンジンがかからない状態にいます。いくら去年の貯金があるといっても予定納税もあり、のんびりもしていられなくなりました。書店売上の落ち込みがかなりひどい状態になっています。5月から「販促」戦闘モードにはいります。とりあえず4月中に5千通余のDMを出しました。結果はあまりよくないのですが、この程度のことに一喜一憂してられません。さらに4月中に地元新聞に月2回、全三段広告をうちます。5月中旬には朝日新聞に38広告が出ます。ここ数ヶ月に出た新刊を中心にありとあらゆる営業を仕掛け、一気に去年と同じレベルまで売上を引き上げていく予定です。「企画営業」部門の売上がここに来てあがり始めたため全体に影響はでていないのですが、書籍部門だけの数字を見ると、上半期はこの10年で最低です。こわいこわい。
(あ)
魁全3広告と朝日用ゲラ

珍しいお客様

 いつもは所長自らが顔を出す藤庄印刷だが、今月からなんと若い女性の営業員が顔を出すようになった。新入社員の渡辺あきほさんである。彼女は入社したてのほやほや、よく考えるとわが舎に新入社員がくる機会というのはほとんどない。前にコピー機の営業に若い女性がきていたが、邪険に扱われるのに反発してか、いつのまにかこなくなった。オジサンがくるより若い女性は花があっていいのだが、気を遣いすぎて集中力が殺がれるのも怖い。もう一人、蕎麦屋「一会寮」の主人、小田原裕紀さん。仕事着そのままの姿がかっこいい。『そばの実の空』という本を出したばかりだが、心はもう続編に傾いているあたりが、この人の真骨頂である。ちなみに頭にまいた手ぬぐいも伊達ではなく、これをとると粉がとんで迷惑をかけるからだそうだ。小田原さんは仕事の合間を縫って事務所にきてくださるので、いつも仕事着である。粋なもんですね。最後は斎藤政広さん。酒田在住のアウトドアカメラマンです。生まれは横浜ですが鳥海山に魅せられて奥さんの故郷に移り住んでしまった人です。クリスチャンで温厚な紳士ですが、仕事は頑固一徹でなかなか妥協しません。今回は小舎の雑誌のカメラマンとして来舎したところをパチリ。
(あ)
渡辺さんと小田原さん、斎藤さん

花と牛乳

 10日に一度、近所の花屋さんから花が届く。その昔、男たちばかり4人で仕事をしていて事務所がオヤジ色に染まり、うっとうしくなったので花で飾って見た目をよくしようとはじめた習慣である。今週の花は白ガ―ベラにニューコリーネ、アンスリュ―ム、ソリダスターの四種。ちなみにこれで1000円である。最近、花のほかに牛乳も事務所に届けてもらうようになった。飛び込みで営業にきた人の印象がよかったので、そのまま配達してもらっているのだが週2回で8本の牛乳が届く。この牛乳でよくミルクティーを作るのだが、午後の紅茶のひと時はいいもんです。
(あ)

牛乳を届けてくれる人

今週の花

No.84

イルカと墜落(文芸春秋)
沢木耕太郎

 一気苛成に読んだ。文章が丁寧だし、冗漫に流れないし、つぼをはずさない。売れっ子作家になるにはそれだけの理由がある、というさりげないプロの芸を見せてくれる。さすがである。ブラジルのアマゾン奥地にテレビのクルーと文明未接触インディオの取材に行く話なのだが、前半がその旅行記、後半が自分の乗ったセスナの墜落顛末記になっている。ほとんど墜落以外のドラマはないのだが、ブラジルでの取材活動や非日常の暮らし、細かな見聞もディテールをちゃんと押さえていて視点の確かさを感じる。私もアマゾン奥地でおんぼろセスナに乗った経験があるので共感できる描写が多かった。ただそこにあるだけの「死」というのは、たぶんそのとおりだとおもう。セスナを墜落させたパイロットに激しい憎悪を燃やすのも、ヘンな屈折がなく著者らしくて気分がいい。文春には珍しく精興社活字を使っている本である。著者のやわらかくてしなりのいい文体とよくマッチしていて読みやすい。これは、もしかして著者のリクエストなのかもしれないな。最近の著者の本はどれもテーマそのものに興味惹かれなかったのだが、この本はぴったりきた。あ、映画の本もよかったな。

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