Vol.85 02年4月13日号 | 週刊あんばい一本勝負 No.82 |
隣の家の桃の木 | |
今年、雪国ではかなり早い桜が話題の中心です。秋田市の千秋公園の桜もすでに六分咲きで、もう気の早い酔っぱらいがそわそわするシーズンになりました。我が事務所の隣でも桜はまだですが桃の木が凄まじいほど妖艶なピンク色で、これ見よがしに咲き誇っています。そのあでやかさに、桜も梅も影が薄くなってしまいそうです。毎年この桃は咲いていたのですが、去年まで気にかけることはありませんでした。今年だけなぜこんなに桃が気になるのか、その理由を考えたのですが、この木は小生の2階の寝室からもろに見えます。事務所からは身体をねじらなければよく見えない位置にあるので、そうそう目にすることはありません。ということは私のライフスタイルが微妙に変化して、昔よりも家で過ごす時間が増え、そのためこの桃の木を気にとめるようになったのかな、とも考えています。とにかくこの花の色、きれいというよりも毒々しい、といったほうがいいほどあでやかで、この世のものと思えない色です。
(あ)
| 色が落ち着いた4月12日の桃の木 |
ホームページに新しい連載二本 | |
ホームページに新しい連載が二つはじまります。一つは「入門・東大宇宙線研究所」で、これはすでに今月からスタートしています。筆者は千葉県柏市在住で、研究所の所在地のある場所で生活しています。「ニュートリノ質量」の発見で近い将来のノーベル賞候補にもあげられている研究内容を、地元の利を生かして丹念に取材、出来るだけわかりやすくルポします。ご意見、ご批判いただければ幸いです。
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もう一つは、能代市在住の鍼灸師・武田金三郎さんの長編小説「僕のノーサイド」です。障害を持つ子供、差別、愛、古くさいかもしれませんが、そうした問題とまっすぐに取り組んだ正統派のまじめな小説です。武田さんは過去にも無明舎から二冊の小説集を出版しています。いずれも地味なテーマながら渾身の力をこめて社会に振り下ろした刃です。武田さんは失明の危機にある障害を持っていますが、小説を書き続けることが生きるエネルギーになっている人です。
| 武田さんの本 |
今回の二冊ともわが舎にとって異質の連載です。こうした新しい試みは読者からの励ましや叱責が大切なエネルギーになります。ぜひ忌憚ない意見をお聞かせください。 (あ)
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教科書副本をつくりました | |
1年半ほど前、秋田県北部にある森吉町の教育委員会から依頼を受け、小学校3.4年生向けの社会科副読本を制作しました。大学教授から頼まれて大学のテキストを制作したことはありますが小学校の副読本づくりは初めての経験でした。といっても企画・目次立てから、取材、撮影、執筆、編集、校正、印刷といった一連の作業は普段の本づくりとまるっきり同じです。違いは文部科学省の「新指導要領」にのっとった編集を心がけることと、5人の先生たちと無明舎で構成した「編集委員会」で3回の編集会議を行ったぐらいです。小学生をモデルにして撮影したり、社会科見学に同行したりと普段あまり味わえない経験もありました。
| 完成したばかりの副読本 |
最近かなりの頻度で「総合学習」のため、中学生たちが無明舎にレクチャーを受けに来たり、無明舎で制作した本の使用許可を求められたりなどのケースが増えてきています。よく耳にするのは、現場の先生たちが「総合学習」の時間に生徒たちに何をテーマに取り組ませるかの指導に困っているという話です。そんな時「郷土の本」が多い無明舎の存在は便利なようです。今後、副読本制作の協力依頼や無明舎の本をテキストにするケースが多くなっていく気がしますね。
(鐙) |
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