Vol.82 02年3月23日号 週刊あんばい一本勝負 No.79


忙しいのかヒマなのか、よく分からない

 取次の地方・小センターの幾志さんからは「最近売れ筋の本が出てない、何やってるの」と怒られているのだが、さぼっているわけではない。5月に出る売れ(る予定の)本の編集に四苦八苦しているのだが、たまたま時期的にどうしようもないところにさしかかっている。お役所などから依頼を受けた製作本が、この時期、年度末で一気に追い込みにはいり、いつ金になるかわからない企画本は、隅っこに追いやられる傾向があるのである。だから事務所の1階では小生が細々と机に垂れ込めて企画本の仕事を孤独にこなしているだけで、2階では6,7人の人間が必死の形相で夜遅くまで「熱い」仕事をしているという、アンバランスな現象が同じ舎内で起きているわけです。毎年2月3月は似たような状況ですが、今年は例年に比べてヒマなほうで、徹夜作業がないのをみてもそれはよく分かります。私個人は結構忙しがって仕事をしているのですが、2階の連中からみれば年寄りが道楽仕事に熱中しているふうにしか見えないのかもしれません。こうした年度末のアンバランスな光景もすっかり定着してしまいました。
(あ)

孤独な作業をするあんばいの机

耳掻きと水枕

 週2回ぐらい近所のスーパーにカミさんからいわれた食料品を買い出しに行く以外はほとんど外出しない。したがってお金を使う機会もほとんどないのだが、ここ数日間であいついで高価(?)な物を買ってしまった。一つはテレビの通販番組でみた「イヤークリーナー」。ようするに自動耳掻き器でETの出来損ないみたいな姿がかわいいのだが、これがまるっきりダメ商品。吸引力が弱く耳の入り口付近の垢しかとれない。3500円もしたのに改良の余地大です。
 もう一つは「ウオーターピロー」訳せば水枕ですが、病気じゃないんだから、横文字のまま呼んだほうがオシャレでしょう。これは1万円、結構買うまで勇気がいったが寝心地は意外にもきわめて良好、拾いものをした気分である。水の量で枕の堅さや高さを調整できるのが優れている。3リットルほどの水を使うのだが、寝ている間にゴボゴボぴちゃぴちゃ音はしないし、水の感触を意識することがない。枕をしているという感覚から自由になれる、という言い方が正鵠を射ているかもしれない。今回の買い物は1勝1敗。
(あ)

耳掻きと水枕のツーショット

片づけ魔に変身!

 ハンディタイプの掃除機を自宅と事務所に買ってから、にわか掃除魔に変身した。ある生活整頓ガイドの本で、ちゃんとした掃除機の他にハンディタイプを1台備えておけば、1週間に一度だけ本格的に隅々のゴミをとるだけでいつも部屋はきれい、と書いていたが、これは本当だった!掃除は「大仕事」ではない。充電式のハンディタイプだとおっくうがらず気軽に、ゴミ一つみつけても親の敵のように素早くやっつけることができる。汚れたところに掃除機をかけると他の場所の汚れも気になりそっちも・・・で、結局はくまなく全フロアー掃除しまくることになる。小生、この数週間ヒマを見つけては掃除ばっかり。カミさんの機嫌はいいし、自分の精神衛生上も良い。
 とにかく綿ゴミというのは何もしなくても1週間ですごい量がたまる。部屋も事務所もピカピカになると今度は机の周りの雑然さが許し難くなる。そこで仕事を中断して机の中外を引っかき回し、不要なゴミを大量に処分、すっきりさせた。汚れたものをきれいにする、という行為には精神的になにか深い意味が隠されていてのではないか。とにかく気分がリフレッシュ、皿洗いもそうだが掃除や整理整頓には共通のカタルシスがある。
(あ)

きれいに片づいた2階事務室

No.79

中年まっさかり(光文社)
永井愛

 この人の『ら抜きの殺意』は面白かった。演劇という文学空間がなぜ必要なのか、作品の力でわからせてくれた戯曲だった。戯曲に感動するなんて久しくなかったことだが、この人が主宰する「二兎社」の公演をいつか観てみたい。最近でも「萩家の三姉妹」「こんにちは、母さん」「日暮町風土記」とたてつづけに話題の戯曲を発表している。ストーリー展開や人物造形の面白さは新鮮である。でも初エッセイ集はあまり面白くなかった。「エッセイの人」ではないようである。あんなに軽妙な台詞を書き、計算され尽くした舞台を造る人にしてエッセイはまた別の才能を要する仕事、ということなのだろうか。いみじくも本文に「私は不思議でしょうがない。こんな普通のオバサンが、こんなに面白い作品を書くなんて」といわれて傷ついたことの顛末を書いている。私に言わせれば、「あんなに面白い戯曲を書く人が、エッセイになったとたん、こんなに面白くなくなるなんて」というところである。戯曲集を注文しているので早く読みたい。

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