Vol.78 02年2月23日号 週刊あんばい一本勝負 No.75


友人たちと「かまくら」見物

 久しぶりに横手に行き「かまくら」を見てきました。京都から料理屋さん「梁山泊」主人の橋本憲一さんがみえたので案内してきたのですが、夜は五十嵐市長や仙台の結城登美雄さんも交えて一献。楽しい一夜を過ごしてきました。半分仕事がらみの小旅行だったのですが、横手は母の実家のあるところで、父もここの中学出身です。ですから小さな頃からなじみが深く「梵天」はよくみにきたものです。子供心に祭りよりもその後の「ソース焼きソバ」(横手独特のもので湯沢にはなかった)がゴツゥ愉しみだったことをおぼえています。最近はこんな機会でもなければ県内の市町村を訪ねるなんてこともほとんどなくなってしまいました。それぞれの町や村には行かなければ見られない魅力がある人や祭りがたくさんあります。東北の村をコツコツと奥さんと二人で歩いている民俗研究者結城さんを真似て、今年は少し村々を真剣に回ろうかと思っています。
(あ)

かまくらの前で橋本、結城、筆者

市長も交えて一杯

温泉めぐりというほどでもないですが

 このごろ、遠出をするとふらりと周辺にある温泉に寄る様になりました。昔だったら少しでも時間が空けば「飲み屋」を探していたのですが、年とともに心境も変化してくるようですね。といっても温泉が格別好きになったわけではありません。長湯や熱い湯が苦手なので烏の行水をして、後は休養室でぐったりしている時間がたのしくなったのです。先日も仕事の帰り3時間ほど隙間ができたので、小安峡のほうにある「湯沢市市民保養所日帰りセンター くつろぎ荘」に行ってきました。入り口に小舎刊『秋田の公共温泉』のゲラがはってありました。ゲラはチェックして返してくれよなオヤジ。休息室でぐったりしているうち本格的に寝てしまい、管理人にたたき起こされました。お湯がよくても休息室の雰囲気が悪ければ、すぐ帰ります。まだ温泉初心者なのでおどおどして会話に加われずにいます。
(あ)

これが「くつろぎ荘」の湯

そっくり雑誌にイライラ

 最近書店に行ってうんざりすることがあります。それは男性雑誌コーナーにズラリと並ぶ似たような雑誌の表紙が原因です。「ナトラ」「オブラ」「ブリオ」「一個人」「男の隠れ家」「個遊空間」「自遊人」「おとなの週末」「ヘミングウェイ」などなど。これは昨日行った近くの書店でメモしてきた雑誌名で、これ以外にもまだあると思います。何が似ているかというと、本の企画が中年の男性(女性も?)をターゲットにして、お互いに同じような特集を繰り返していることです。日本酒、おいしい和食の店、蕎麦屋、すし屋、高級和風旅館、リゾートホテル、市場、温泉、さらに露天風呂、鉄道の旅。これらを適当な季節と組み合わせるのですが、毎号必ずのように複数の雑誌が特集のバッティングをしています。それもどこかで見たことがあるような店や温泉がくり返し出てきているという印象で、「サライ」の特集からもっともお手軽な部分をチョイスしているだけではないか、と思っていろのは私だけでしょうか。
 雑誌が同じような企画を繰り返すというのは今に始まったことではありません。おそらく女性雑誌も何十年も似たようなことを繰り返していることでしょう。しかし私はなぜか先にあげた雑誌たちを店頭で見るとイライラしてしまいます。このタイプの雑誌がまだ2、3誌しかなかった頃は、私も特集によっては買うこともありました。それがここ1、2年の間に10誌を超えるようななってしまい、これだけ同じような特集のオンパレードを見せられるとうんざり以外のなにものでもありません。雑誌の平積み状態をみてもそんなに売れているようには見えませんし、編集者の企画力が貧困なことをさらけだしているのがうんざりの原因でしょう。私も編集を仕事にしている一人なので、自戒の意味をこめてこの雑誌たちに個性が出ることを期待しています。
(鐙)

センサー付のライトが登場!

 無明舎の倉庫は2階建てです。1階にはびっしりと本が並び、2階には発送用ダンボールなどの備品や出版した本の資料、その他いろいろなものが入っています。2階に上がる階段は外についているのですが、今までは電気がなく夜になると足元が見えなくてこわい思いをしながら上り下りしていました。特に冬は最悪です。細い段にふんわりと雪が積もり、2階へ続く急なスロープに変身してしまうのです。また、昼間に日が照って表面の雪が溶け、夜になってそれが氷になったときも大変です。上がって行く時は大体手ぶらですが、下りる時は両手にたくさん物を抱えていて足元が見えないことが多いので、とにかくスリル満点な階段でした。
 その階段に、人が近づくとパッと点灯するライトが付きました。設置したあと、渡部は大喜びで「どのくらい手前から光るのか、確かめに行こう!!」と、階段に向かって歩いて行きました。かなり感度が良く、階段の手前3〜4mくらいからライトがつきます。これで夜も怖くなくなりました。でも密かに「いつの日か、会社と倉庫が渡り廊下でつながらないかなぁ…」なんて考えている欲張りな私です。
(柴)

No.75

ひとり暮らし(草思社)
谷川俊太郎

 詩を書いて日本で唯一生活できている「詩人」のエッセイ集である。クレーの絵に詩をつけた本は小生の愛読書だが、実はそれしかこの高名な詩人の本は読んでいない。恥ずかしい。確か黒姫で童話作家の佐野洋子さんと一緒に暮らしていると聞いたのだが、題名からみて別れたようだ。本書にはそんな野暮なことは書いていないが、下世話な興味から本をひもといた小生の志の低さを笑うかのように、まじめであんがい素直な詩人の「ふつうの」日常がほの見える淡々としたエッセイである。特に小さな頃のことを書いた文章がいい。父母への一筋縄ではいかない愛憎のニュアンスをうまく伝えている。数年前から生まれて初めてつけはじめたという日記も面白い。なんとなく交友関係の派手な人、というイメージが強かったのだが、そうでもないことに安心した。この続編とも言えるエッセイ集も同じ版元から出版されたが、そちらも読むかはまだ迷っている。でも、詩集は買って読んでみようと思っている。

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