Vol.77 02年2月16日号 週刊あんばい一本勝負 No.74


大学食堂も「イラコン」世界

 毎日零下5度前後の冷え込んだ日が続いています。雪の降らない地方の方はこの数字だけで震え上がるでしょうが、長く雪国に暮らしていると寒さというのは気温ではなく風(吹雪)が一番堪えます。マイナス何度になっても澄み渡った青空の広がる日は心もうきうきで、寒さなんか感じません。逆にこんな日は外に出たくてたまらなくなります。そんな青空の広がった一日、ぶらぶら遠出をして秋田大学のキャンパスまで歩き、学食で「カレーオムレツ」を食べてきました。これがけっこういけます。学食は昔の面影がほとんどなく(場所は同じ)アホバカ学生たちが楽しいそうに食事をしていましたが、あの学食のおばさん(だいぶ若返っていましたが)が「いらっしゃいませッ、こんにちわ」といま流行の若者バイト風の挨拶をするのにはぶっ飛びました。一瞬ツタヤかブックオフにいるような錯覚に陥り、辺りを見回したほどです。小生はこれを「イラコン店」と呼んで、この手の店にはなるべく入らないように気をつけているのですが、まさか大学の生協食堂までが「イラコン」に犯されているとは・・・。しかし、メニューは栄養バランスに優れ、値段は相変わらず安く(サラダの量り売りまでやっていた)、調理は手早く、変な食材を使っていない安心感もあり、ランチのお店としては他の追随を許さないレベルにあります。これからも行くべきか、辞めようか(「イラコン」がいやだから)、正直迷っています。
(あ)
冬景色とカレーオムレツ

池田満寿夫の世界展

 東京の上野公園にある「東京都美術館」で「版画家池田満寿夫の世界展ー黒田コレクションから」をみてきました。久しぶりに上野に行き公園内をぶらついたのですがホームレスのテントの多さにまずは度肝を抜かれてしまいました。上野は美術館や美味しいそば屋、食べ物やさんも多いので好きな街です。これからは積極的にここへ出かけてみようと思いました。さて、展覧会のほうですが生前のタレント業に精を出す池田満寿夫はかなり嫌いでした。しかし、たまに目にする作品は好きで、いつかまとまった作品展を観たいと思ってました。思っていたとおり、展覧会は素晴らしい作品ばかりで、圧倒され、感動して3時間、堪能してきました。こんなのは「バスキア」の展覧会を伊勢丹でみたとき以来です。3月24日まで開催されているようですので、ぜひご覧ください。
(あ)

ポスター
作品の一部

ビデオお預け、仕事三昧の日々

 毎日のようにビデオ映画を観るという生活を半年近く続けたせいで読書量と睡眠時間がかなり減った。そのほか生活や仕事にいろんなしわ寄せや影響が出てきた。もちろん悪いことばかりでなく良いこともたくさんあるのだが、とにかくレンタルビデオ屋に行くのをここ数週間自分に固く禁じている。借りると時間を作ってみてしまうからだ。先日の三連休はビデオに頼らず時間を有効に使おうと、机の前に積まれていた「アマゾンのほほん生活誌」「北前船おっかけ旅日記」「神保町書肆アクセス半畳日記」の三本の原稿の編集作業に没頭した。原稿に朱を入れ、不備や不足資料、書き直しをチェックし、印刷所への入稿の準備を三日間で完了させた。けっこうきつかったが充実感も大きい。さらに連休明けには一挙に三冊の新刊が出来てきた。そのうちの一冊にカバーの刷りミスを発見、やり直しになったが、やはり仕事漬けで過ぎていく時間は充足感がある。名作といわれる映画の楽しみや満足感もなかなかのものだが、読書の充実感や仕事の満足度には換えがたい。・・・でも映画もやっぱり観たいなあ。
(あ)

これが同じ日に出来てきた本三冊

今週の花

 今週の花はチューリップ、マーガレット、ストロベリーフィールド、ソリダゴ。
 ソリダゴという名前は初耳なのに花は馴染み深い気がする、と思っていたら、セイタカアワダチソウのことでした。よく空き地や河川敷に群生して一面を黄色にしているあの花です。漢字では「背高泡立草」。花の咲き方がお酒の発酵に似ているためついた名前らしいのですが…ピンときません。北米原産の植物で、理科の時間には帰化植物の代表と教わりました。他の植物の成長を妨げる成分を出すそうで、生命力が強く、在来種をおびやかす悪者のように言われています。でも、嫌われ者の雑草といえどもキチンと飾れば魅力的に見えるものですね。
(富)

No.74

立花隆先生、かなりヘンですよ(洋泉社)
谷田和一郎

 立花隆の本は面白い。理系の知識をわかりやすくかつ刺激的に(文学的に)説いてくれるからである。立花本のおかげで遺伝子問題や脳のこと、宇宙飛行士や環境ホルモンのことに興味を持つことが出来たし、21世紀は理系の知識に疎い文系文化人は生き残りが難しいことも、よおく理解できた。しかし、これほど快刀乱麻に活劇っぽくアカデミズムの世界をなで切りにしたら、批判や叱責された医学や物理の専門学者たちからの反論はないのだろうか、と人ごとながら心配ではあった。それが現役の東大生(もう卒業したらしいが)の手でこのような形で本になった。京都大学のある先生が物理学の方面から反論本を書いているらしいのだが、その反論が難しすぎて一般の人にはよくわからないらしい。それに比べると、この本はわかりやすい。揚げ足とりや下半身ネタ(個人の外見的美醜や性格など)にいっさい触れていないのにも好感が持てる。反論の内容がしっかりしているので、これはぜひとも立花先生に再反論をお願いしたいところである。

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