Vol.74 02年1月26日号 週刊あんばい一本勝負 No.71


珍しく静かな事務所です

 この1週間、事務所は電話も少なく、注文にあたふたすることもなく、来客もわずか、穏やかで静かな1週間で、これほどまで静かな事務所はここ数年来では珍しい。営業の岩城は岩手方面の書店販促、鐙や柴田は山形に資料撮影、渡部は風邪を引いて休み、出てきても鼻声でてんで元気がない。富山はもともと無口で、小生は2階や自宅で仕事をしているから事務所はひっそり、まるで休日のように沈み込んでいます。見る人が見ればほとんど「倒産寸前の事務所光景」といった状態です。去年少しがんばり過ぎ40点以上の本を出した反動で、1月2月は新刊点数が少なく、仕事も去年からの持ち越し企画がほとんどで、後は印刷所の出来を待つだけ、もしかすると1月中は新刊ゼロの記録を残す可能性もあります。今年もまた月によって点数の偏りが極端に出てくるのが怖い今日この頃ですが、とにかく、もう少し活気がでて、事務所がヒートアップしてくれる日をじっと待つ日々です。
(あ)

静かな事務所

今年もイルカが届きました

 羽後町の高橋良蔵さんから今年も「イルカの味噌煮」が届きました。世間では鹿児島に打ち上げられたクジラをめぐって食べるか処分するか、大もめのようですが無明舎は食べています、もうすでに。イルカを食べるというと驚く人も多いようですが、秋田の県南部では昔から三陸から運ばれてくるイルカを食べる習慣があったようです。貴重な冬の蛋白源だったわけです。最近は「イルカ」と言うだけで世界中の批判をあびる恐れもあるので、食べてる人も売っている魚屋さんも公にしたがりませんが、実を言うとみなさんが食べているクジラの缶詰の中にはかなり「イルカ」を原料に使っているものが多い、という事実をご存じでしたでしょうか。クジラもイルカも分類学的には同じ種類の動物なのです。それはともかく「イルカの味噌煮」の味のほうですが、なかなか野菜類との相性がよく、こってりとした深みのある複雑な食味があります。 機会がありましたらご賞味ください。
(あ)

これがイルカの味噌煮

風呂場に集荷依頼・・・・・

 書籍やゲラ、事務連絡書など、荷物の発送は一日平均30個、多い時には一日3,000個という日もあります。そのほとんどを佐川急便に依頼しています。秋田県内の依頼客の中でも小舎の扱い量はトップクラスだそうで、そのため担当者もきまっています。わが舎の担当者が写真の白石秀夫さんです。新潟県の出身で、最近阿仁町生まれの女性と結婚したばかりの新婚ホヤホヤ。仕事熱心で誠実さまるだしのプロドライバーです。
 こんなことがありました。集荷時間をオーバーしたのに無理を聞いてもらおうと白石さんの携帯に電話をかけたことがあります。しばらくしてエコーのかかった声が聞こえてきました。なんと休日の自宅の風呂場につながってしまったのです。風呂に入っている白石さんに、奥さんが携帯を渡してくれたのです。一瞬おこられるかと思ったのですが白石さんはいつもと同じようにていねいに応対してくれました。頭が下がります。これぞ営業の鏡ですね。それにしても失礼なのは休日の風呂場に連絡をする私です。
(七)

佐川急便秋田支社・白石秀夫さん

山形のおもしろ看板

 先日、出張で山形県に行ったときに見つけた看板です。山形自動車道の庄内空港ICの出入り口に立っていたのですが、軽車両の欄に大八車が描かれているのにびっくり。山形自動車道はいくつかの区間に区切られていて、区間内は料金が同じなので料金所がありません。普通だったら軽車両が高速道路に入ろうとしても料金所で止められてしまいますが、ここでは入ろうと思えば徒歩でも入れてしまうのです。
 それにしても、軽車両といってまず思いつくのは農作業用の車とか自転車とかもっとメジャーなものが沢山ありそうなのに、なぜ大八車なのでしょう?完成したばかりのときはものめずらしさに地元の人たちが入りこんで歩いていたこともあったという話を聞いていたので、もしかしたら大八車で通ろうとしたツワモノもいたのかも知れません。
(柴)

軽車両に注目

これは山形出張の夜の出来事

今週の花

 今週の花は日本水仙、ポピー、チース、カーネーション。
 水仙の世界は奥が深く、1950年にイギリス王室園芸協会が花の形、色、姿を基準に12の分類法を提唱し、そこに登録されているだけで2万種以上。それ以外も含めると3万種を超えると言われているそうです。
 中学生の頃、国語の先生が「水に映った自分の姿に恋したナルキッソス青年が、叶わぬ恋に力を落として死んだ後に水仙が咲いた」というギリシャ神話を話してくれました。その頃の私には「見とれてしまうほどの美しさ」と「水仙」のイメージが結びつかなくて不満でしたが、この分類法では、私が知っている水仙とナルキッソスの水仙は別のジャンルに分類されていました。花びらが真っ白で中心のラッパの縁が赤い水仙です。約15年ぶりにあの時の神話に納得がいきました。
(富)

今週の花

No.71

都立水商!(小学館)
室積光

 新宿歌舞伎町に水商売を教える高校を作る。これは前代未聞の発想、と担当編集者はオビ文でいうが、発想はそんなに突飛ではないと思う。現実のほうがずっと「とんでもない」からだ。我が秋田では10年前、竹下総理の「ふるさと創生」の1億円で村に「キャバレー」を作った実績がある。それに比べれば奇想天外と言うほどではないが、小説の内容がいい。おちゃらけでいながら泣かせどころや見せ場の的をはずしていない。10年間この高校に勤め退職する教師が友人に校舎を案内しながら過去を振り返る、という構成や、物語の核を野球部の甲子園出場に凝縮させたのも成功している。「ソープ科」「バーテン科」「ヘルス科」「ホステス科」「マネージャー科」「ゲイバー科」というカリキュラム設定にもうなる。甲子園で優勝した野球部監督が「どんな高校スポーツが理想ですか」と聞かれて、「能代工高バスケット部」と答えているのもリアリティがあるし、実名で江夏豊が出てくるのも絶妙なスパイスになっている。荒削りながら見事なエンターテイメント小説に仕上がっている。

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